2020年1月17日
2017年の年末に話題になったのが三菱UFJ銀行と三井住友銀行とみずほ銀行のメガバンク3行が銀行口座を維持するための手数料「口座維持手数料」の導入について検討しているというニュースでした。
当時の報道では、口座維持手数料の導入の検討を開始した理由は「日銀によるマイナス金利政策」で銀行が利益を出しにくくなってしまっていることです。
2018年3月期の収益は債券高・株高の影響で高い収益水準でしたが、2018年4月以降の収益水準が厳しくなることが予想されるので2019年3月末までに結論を出す計画を建てるということで報道されました。
月日が経過して、2020年になりましたが、当時の記事でも最短で2020年に口座維持手数料を導入することになりそうだと言われていて、実際、最近になってまたこの話題が盛り上りを見せ始めています。
この数年、メガバンク3行は、①人工知能(AI)を活用した業務効率化と店舗統廃合を最優先で行いながら、②人員削減(メガバンク3行で合計で3万人以上)を進める計画を進めていますが、引き続き銀行ビジネスが儲かりにくくなっている状況に違いはありません。
日本国内で口座維持手数料がかかる銀行口座として有名なのは「SMBC信託銀行(旧シティバンク銀行)」ですが、メガバンク3行が導入に踏み切った場合、地方銀行などにもその流れが波及していくことが予想されますので、銀行口座の維持には手数料がかかることが当然という時代に向かっていく可能性があるわけです。住宅ローンサービスへの影響がゼロとは言えないこのニュース。今回の報道では部分的な情報しかありませんが、今後の展開などを考察してみましょう。
メガバンクなどの民間銀行は日銀のマイナス金利政策やイールドカーブコントロール政策により、収益をあげにくい構造が作り出されているのは確かです。メガバンク3行は100兆円程度のお金を預かっています。例えば、100兆円から年0.1%の収益を上げるだけで1,000億円、年0.5%の収益が上がれば5,000億円もの収益を得ることができるわけです。年0.01%の違いでも100億円の利ざや収益が違ってくることになりますので、マイナス金利などと言って日銀が金利を低水準でコントロールし続けることには、導入当初から抗議の意を示していました。
今回もメガバンクのどこか1行ではなく、3行が情報交換しながら同時に検討を開始している形で報道されるようにすることで、メガバンクのどこか1行がダメージを負うことの無いように綿密に連携していることが伺えます。仮にこれが、日銀の政策に対する抗議だとするならば、検討はしつつも、最終的には実行されない可能性が高いと言えるでしょう。
口座維持手数料という名前だとわかりにくいですが、10万円預け入れていても100万円預け入れていても受け取れる利息よりも手数料の方が高いのであれば、実質的にマイナス金利が預金に適用されたと考えるべきです。また、「収益性を維持できないので泣く泣く検討することにした」のであれば、旧シティバンクのように預金残高が一定金額未満の場合にだけ手数料がかかるような仕組みは「貧困層」からの手数料の搾取に繋がり、「富裕層」を優遇することになります。格差社会をさらに拡大させるような取り組みをメガバンク3行が足並みをそろえて行うことは、筆者としては許されないのではないかと思います。(旧シティバンクは富裕層向けの銀行口座として資産運用ビジネスに特化してサービスを提供していましたので、メガバンク3行とは全く立ち位置が違います)
そうなると本当にマイナス金利を導入することが考えられます。例えば、普通預金の金利を年▲0.01%とするなどですね。これは、お金を預ければ預けるほどかかる手数料が増えることになりますので、お金をたくさん持っている人にとっては非常に不愉快な手数料です。銀行は、富裕層による資産運用や相続などで収益をあげていますので、富裕層離れが進むと逆に収益があげられないようになってしまう可能性もありますので、現実的ではないでしょう。
ということで、日銀に対する抗議するためにインパクトのある報道を流しているだけで、口座維持手数料なんて導入するはずがないというのが筆者の頭の中の8割を占めているのですが、アメリカ最大の銀行である「バンクオブアメリカ」は、1か月に250ドル以上の振り込み・1,500ドル以上の平均残高がなければ、1か月あたり12ドル(約1,500円)の口座維持手数料がかかります(23歳以下の学生は無料)。バンクオブアメリカだけでなく日本以外の国の銀行口座は口座維持手数料がかかるのが一般的なのも確かなので、残りの2割は何らかの形で口座維持手数料を導入するのではないかと言う気がしています。
結論としては、口座をある程度利用している人からは手数料は取らずに、不稼働状態になっている口座から手数料を取るということになるのではないでしょうか。ちょうど2018年1月から休眠口座等活用法が施工され、休眠口座(≒稼働していない口座)に対する扱いが変わりました。
銀行としては、これまで不稼働状態となっていた口座の預金を雑益にできていたものが国から召し上げられた形ですね。不稼働状態の口座だとしても銀行としては、その記録を保持し続けたりするわけでコストがかかっています。最終的に国からとられてしまうのであれば、事前に口座維持手数料という形で事前に銀行の収益にしてしまうという流れは現時点では最有力といったところでしょうか。
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