公開日: 2026年8月28日
地震や台風、豪雨などの自然災害によって自宅が大きな被害を受けた場合、住宅ローンはどうなるの?と不安に感じる方もいるでしょう。
住宅が全壊したとしても、住宅ローンの返済義務が自動的になくなるわけではありません。住宅を失った後もローンが残れば、新しい住まいや生活の再建にかかる費用と重なり、家計への負担が大きくなる可能性があります。
一方で、被災者の生活再建を支える公的な支援制度や、住宅ローンの返済が難しくなった場合に利用できる仕組みもあります。
住宅を購入するときは、借入額や金利だけでなく、万が一の災害が起きた場合にどのように生活を立て直すかまで考えておきたいところです。
この記事では、住宅ローン返済中に自宅が被災した場合の考え方から、保険、公的支援、住宅ローンの返済に困った場合の対応まで解説します。
住宅ローンを返済している途中で、地震や水害などによって自宅が被害を受けても、住宅ローンが自動的に免除されるわけではありません。
たとえば、住宅ローンの残高がある状態で自宅が大きな被害を受け、修繕や建て替えが必要になったとします。この場合、住宅の復旧にかかる費用とは別に、残っている住宅ローンの返済についても考えなければなりません。
さらに、自宅に住めなくなれば、仮住まいや新しい住まいを確保するための費用が必要になることもあります。
このように、被災後に住宅ローンを抱えながら住まいを再建することが、いわゆる「二十債務」の問題につながる場合があります。
ただし、自然災害によって住宅ローンなどの返済が難しくなった場合には、一定の要件を満たすことで「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を利用できる場合があります。
住宅を購入するときは、火災保険への加入を検討しますが、火災保険だけでは地震による被害は補償されません。
地震による火災や損壊などに備えるには、火災保険に地震保険を付帯して契約する必要があります。地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする建物や家財の損害を補償するものです。
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定し、上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。
また、損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」に区分され、支払われる保険金額が決まります。そのため、地震保険だけで住宅の再建費用をすべてまかなえるとは限りません。
一方、地震保険で支払われる保険金には、使い道の制限がなく、生活の再建に幅広く活用できます。住宅ローンの返済が残っている場合は、被災後の生活費や住まいの確保なども含めて、どのように使うかを考えることになります。
自然災害によって住宅や家財、収入などに大きな影響を受け、住宅ローンの返済が難しくなった場合は、できるだけ早く借入先の金融機関に相談しましょう。
金融庁は、災害時の金融機関に対して、返済猶予などの貸付条件の変更や融資相談など、被災者の事情に配慮した対応を求めています。
ただし、具体的な対応は金融機関や被災状況によって異なります。
返済ができなくなってからではなく、今後の返済に不安を感じた段階で相談することを心がけましょう。
災害によって住宅に被害を受けた場合、住宅ローンの返済だけでなく、生活そのものを立て直すための支援制度も確認しましょう。
住宅が被害を受けた場合、まず確認したいのが罹災証明書です。
罹災証明書は、災害による住宅の被害の程度を市区町村が証明するものです。被災者向けの支援制度などを利用する際に、被害状況を確認するために使われることがあります。
災害発生後は、住んでいる市区町村に申請方法や必要書類を確認しましょう。
また、自治体によっては罹災証明書をオンラインで申請できる場合もあります。マイナンバーカードを利用してマイナポータルから申請できるほか、自治体独自のシステムから申請できるケースもあります。市役所に行かずに申請できるため、被災直後の負担を減らせるのもメリットです。
ただし、オンライン申請への対応状況や申請方法は自治体によって異なります。災害が発生した場合は、住んでいる自治体の公式サイトなどで確認しましょう。
金融庁は災害時に金融機関が罹災証明書を求める手続きについて、交付状況などを考慮し、現況写真などによる確認や、罹災証明書の後日提出を認めるなどの配慮を金融機関に求めています。
住宅が全壊するなど、生活の基盤に著しい被害を受けた世帯には、被災者生活再建支援金が支給される場合があります。
制度では、住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と「住宅の再建方法に応じた「加算支援金」があり、最大300万円が支給されます。
ただし、対象となる災害や世帯、住宅の被害程度などには、要件があります。
そのため、被災した場合は市区町村などに、自分が支援の対象になるかを確認することが大切です。
自然災害によって住宅ローンなどの返済が難しくなった場合には、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を利用できる場合があります。
このガイドラインは、災害救助法の適用を受けた自然災害の被災者などを対象に、住宅ローンなどの返済が難しくなった場合に、金融機関との合意に基づいて債務整理を行うための仕組みです。
金融庁は2026年の熊本地震に関する案内でも、住宅ローンなどの返済に困っている被災者に対し、このガイドラインを活用して住宅ローンなどの免除・減額を申し出られることを案内しています。
この制度を利用する際には、弁護士などの「登録支援専門家」による手続きの支援を受けられます。
この支援にかかる費用は、国の補助により無料です。
手続きは、まず最も多額のローンを借りている金融機関などに、ガイドラインの手続き着手を希望することを申し出るところから始まります。その後、金融機関の同意を得たうえで、登録支援専門家による支援を依頼します。
ただし、利用には一定の要件があり、災害に遭ったからといって必ず債務が免除・減額されるわけではありません。
返済が難しい場合は、まず借入先の金融機関に相談し、利用できる制度がないか確認しましょう。
災害への備えというと、火災保険や地震保険を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、住宅ローンを選ぶ段階でも、「もし返済中に災害が起きたらどうするか」という視点を持っておきたいところです。
金融機関によって、災害時の対応や取り扱っている商品・保障が異なるため、住宅ローンを比較する時は次の点も確認しておきましょう。
・災害時の相談方法
・返済方法の変更に関する対応
・自然災害に対応した商品や特約の有無
・対象となる災害や被害の程度
・保障を利用するための条件
・金利上乗せなどの費用
自然災害に対応しているという言葉だけで判断するのではなく、どのような場合に、何が保障されるのかまで確認することが大切です。
住宅ローンを組んだ時に災害への備えを整えていても、時間が経てば家族構成や住宅ローンの残高、保険の契約内容などは変わっていきます。
住宅ローンの返済期間は長期にわたるため、契約後も定期的に確認しておきましょう。
ハザードマップポータルサイトでは、洪水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクに関するデータを地図上で確認できます。2026年8月にも土砂災害警戒区域のデータが更新されています。
住宅を購入した後も最新の情報を確認し、指定避難所や避難経路など家族で共有しておきましょう。
なお、ハザードマップに災害リスクが表示されていないからといって、その場所で災害が起こらないという意味ではありません。掲載されている情報の内容や解釈については、作成した自治体などに確認する必要があります。
加入している保険についても、保障対象や保険金額を確認しておきたいところです。
特に火災保険と地震保険では補償される損害が異なります。自宅がある地域で想定される災害と、現在加入している保険の補償内容があっているか確認しましょう。
住宅ローンを購入してから時間が経つと、住宅ローンの残高も変わります。
万が一、自宅が大きな被害を受けた場合に備えて、現在どの程度の住宅ローンが残っているのかを把握しておきましょう。
返済が難しくなった場合には、早めに金融機関へ相談することも大切です。
住宅ローンは長期間にわたって返済していくため、住宅を購入するときは、金利や借入額だけではなく、災害が起きた場合の生活まで考えておくことが大切です。
購入前にはハザードマップで土地の災害リスクを確認し、火災保険や地震保険についても補償内容を確認しておきましょう。
また、実際に被災した場合には、罹災証明書や被災者生活再建支援金などの公的支援を確認できます。住宅ローンの返済が難しくなった場合には、借入先の金融機関への相談に加え、一定の要件を満たせば「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を利用できる場合もあります。
災害が起きたらどうするか?を事前に考えておくことは、住宅ローンを選ぶことと同じくらい大切なポイントです。
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