2020年9月17日
目次
2019年7月30日にスタートしたジャパンネット銀行の住宅ローン。他のインターネット銀行から遅れること数年、ようやく住宅ローンに参入したわけですが、まずまずの商品性で一定の人気をあつめています。
がんと診断された時に住宅ローンの残高が半分になる”がん50%保障”に加えて、精神障害を除く全ての病気や怪我を保障する“全疾病保障”も無料でセットされるauじぶん銀行の住宅ローン。
金利が低いだけでなく、充実した無料の疾病保障サービスの魅力は他の住宅ローンとの競争から頭1つ抜け出しているとも言える状況で、申し込み先候補に加えておきたい住宅ローンです。今後、他のネット銀行が今後どのようにauじぶん銀行に対抗してくるかにも注目です。
それではジャパンネット銀行の住宅ローンのメリットやデメリットについてわかりやすく解説していきたいと思います。
注目は金利の低さです。変動金利は年0.380%(全期間引下型)!とメガバンク・地方銀行とは比べ物にならない低金利なのは言うまでもありませんが、他のネット銀行も踏み出していなかった0.3%台と言う水準まで低い金利で住宅ローン業界に参入してきています。
ただ、注意しなければならないのは疾病保障サービスで、ライバルのauじぶん銀行などは無料の疾病保障がついているので、疾病保障に加入する場合、金利が逆転します。疾病保障を利用する人は順調に増えているわけですが、もし、疾病保障を考えたいと言う人はauじぶん銀行の住宅ローンは確認しておくようにしましょう。
続いて金利以外のメリットとデメリットをチェック&解説していきます。
ジャパンネット銀行の住宅ローンには保証料がかかりません。保証料は一般的に金利に換算すると0.2%ぐらいの負担があります。銀行によっては審査結果で0.4%・0.6%も保証料がかかることがあります。インターネット銀行はこの保証料がかからないのがメリットですが、ジャパンネット銀行も保証料がかからない形で提供してきています。
ネット銀行の住宅ローンと比較した場合にはメリットにはならない(互角)ですが、メガバンク・地方銀行・信金などの大多数の金融機関と比べた場合メリットと言えます。
住宅ローンの総返済額を最終的に減らすには「積極的な繰上返済」が重要です。ジャパンネット銀行の住宅ローンはインターネットなら1万円から手数料無料で繰上返済できます。1万円ぐらの小額から繰上返済できるので、借りたあとに便利に感じることが多いでしょう。(余裕ができた月に少しずつ繰上返済できる)
なお、あまり使う人もいないでしょうし、影響は少ないですが、電話で繰上返済する場合は5,500円(税込)、全額繰上返済は33,000円(税込)の手数料がかかります。
ジャパンネット銀行は申し込み手続きを全てインターネットで完結できます。申込書や必要書類をパソコンやスマートフォンからアップロードして提出できるので、郵送の手続きがいらないので契約までの手続きのスピードが早いというメリットもありますし、収入印紙代(借入金額や契約数によって変わりますが2万円~)がかからないので借り入れ費用を節約できるメリットがあります。
郵送で提出することもできますし、アップロードと郵送を使い分けて提出することもできますので、アップロードが心配な人も問題ありません。
ジャパンネット銀行の住宅ローンは団信のラインナップも豊富です。一般団信以外は金利上乗せによる費用負担がありますが、がんに対する備えに特化した疾病保障から幅広い病気に備えることができる疾病保障まで用意されています。
また、ワイド団信にも対応していますので、健康状態に不安を抱えている人も利用しやすいサービス内容になっています。例えば、変動金利なら年0.380%/全期間引下型(通常金利)+0.300%(ワイド団信の上乗せ金利)で年0.680%で借入できます。
ワイド団信を利用してもここまで低い金利で住宅ローンを借りることができるのはかなり驚異的です。
ジャパンネット銀行の住宅ローンは最大で2億円までの融資に対応しています。この住宅ローン融資には団信が付帯されるので、仮に2億円の借入をした場合には2億円の生命保険が無料で手に入ることとなります。
37歳の方が1億円の生命保険に入った際の月額保険料は19000円にもなります。2億円の生命保険を見つけることはできませんでしたが、おそらく保険料は2倍の4万円近い金額になるでしょう。年間では50万円近くになることが想定されます。
富裕層向けの規模感のメリットとなりますが、団信が無料で付帯することは大きなメリットがあります。(※もちろん数千万円の借り入れでも十分な団信の保障メリットがあります)
仮にジャパンネット銀行で住宅ローンを借りたとしたら、毎月、ジャパンネット銀行の口座に返済用の資金を移すことになります。ジャパンネット銀行をメインバンクにして、給与振込口座にする人でなければ良いですが、そうでないと毎月振り込んだりする手間が発生しますし、何よりも振込手数料やATM手数料が継続的に発生してしまうと心配になる人もいると思います。
ジャパンネット銀行には「定額自動入金サービス」というサービスがあり、毎月、決まった金額をジャパンネット銀行の口座に手数料無料で引き落としすることができますのでその心配はありません。
例えば、購入時の条件によって変わりますが3,000万円のマイホームを借りようとした場合、100万円~200万円ぐらいのお金がかかります。不動産会社への仲介手数料や事務手数料・火災保険料・司法書士報酬・登記費用などです。
ジャパンネット銀行の住宅ローンの場合、それらの費用を住宅ローンの一部として借入することができます。手元資金が不足しそうな場合に一部の費用を上乗せして借りて賄うこともできますし、新生活開始の準備に備えて手元に資金を残しておきたい場合などに重宝するサービスです。
借り換え時にも利用できますので、手元の資金を減らさずに借り換えできるのはメリットの1つと言えます。
なお、ジャパンネット銀行の住宅ローンは諸費用を借りても金利があがったりしない点も好感がもてます。
他にも「2億円まで借り入れできるので高額な物件にも対応」「リフォーム資金を上乗せして借り換えできる」などのメリットがあります。最後発だけに他の銀行の住宅ローンのサービスを研究して、メリットになるサービスを多数取り入れているのがジャパンネット銀行の住宅ローンの特徴です。
まず最初にデメリットとしてあげたいのは「事務手数料が高額」という点です。
高額と言っても、借入金額×2.20%(税込)なので、手数料が高く金利が低い住宅ローンの一般的な水準ですが、事務手数料を固定金額にしている住宅ローンと比較した場合です。ただ、仮に1億円借りた場合、220万円(税込)も事務手数料がかかることになります。同じく2億円までの融資に対応している楽天銀行の住宅ローンの場合、330,000円(税込)で固定されていますので、高額な部類に入るのは間違いありません。
ジャパンネット銀行の住宅ローンは、とにかく低金利にこだわっているので、無料の疾病保障は無くて疾病保障が選択式になっています。がん50%保障団信は0.1%、がん100%保障は0.2%の上乗せなどです。ジャパンネット銀行の団信の引受保険会社はクレディ・アグリコル生命でライバルのauじぶん銀行と同じ保険会社を採用しています。
なお、一般団信以外の疾病保障付きの団信は50歳を超えると利用できません。そのため、50歳を超えてauじぶん銀行に申し込んでもがん50%保障団信がセットされないことになってしまう点、また、auじぶん銀行の住宅ローンに申し込んでも健康状態などを理由にがん50%団信に加入できずに一般団信のみになってしまうこともあります。そのため、50歳を超えている方は、金利を優先し、ジャパンネット銀行に申込をするのが正解です。
ジャパンネット銀行の住宅ローンの変動金利には5年ルール・125%ルールが適用されないことになっています。最初にこの2つのルールについて簡単に解説しておきます。
変動金利の金利は市場の金利に照らし合わせながら銀行が決定するしますが、5年ルールは「住宅ローンの変動金利があがっても、最大で5年間、毎月の返済額はが変わらない」というルールです。
誤解の無いようにしておきたいのは、「あくまでも金利はすぐに上がっている」という点です。毎月の返済額が変わらないのは「利息返済が増えた分、毎月の元本返済が減っている」ことになりますので、住宅ローンの元本返済が遅くなると同時に5年後から遅くなった分を負担していくことになります。
125%ルールは、前述の5年ルールで毎月の返済額が変わらない5年間が終わった後に訪れる返済額の見直しタイミングで、「それまでの返済額から125%より増えることが無いようにします」というルールです。毎月10万円返済していた人は12.5万円までしか上げないということです。
ここでも誤解が無いようにしておきたいのは、仮に本来の見直し後の返済額が13万円だった場合、このルールで減った月5,000円の減額分はさらに5年たった後に負担していくことになるという点です。
「急激に金利が上がった時でも毎月の返済額が増えて困ることが無いようにするショックを和らげるメリット」と「本来支払うべきお金を先延ばしするので総返済額が増えるデメリット」を併せ持つこのルールには賛否両論あるので、必ずしもデメリットとは言い切れませんが、ジャパンネット銀行の住宅ローンにはこの2つのルールが無いという点は覚えておくようにしましょう。
なお、ジャパンネット銀行と同様にこのルールを採用していない銀行の代表例は新生銀行とソニー銀行です。
2020年7月10日時点で個人事業主、会社役員、親族が経営する会社勤務の方は利用不可となっています。低金利を実現するため、貸し倒れリスクが比較的高いこうした職業の方は審査対象外となっています。
ネット銀行の中ではソニー銀行が派遣社員の不可としており厳しい基準となっていますが、ジャパンネット銀行ではそれ以上に厳しいものとなっています。この点は次項で詳しく解説しています。
次に住宅ローンの審査基準について主要なポイントを確認しておきたいと思います。主な利用基準には以下のように定められています。
審査基準 | 説明・ポイント |
年齢 | 借入時の年齢が20歳以上65歳未満。完済時年齢は80歳未満。 |
年収 | 前年度の年収が200万円以上 |
職業 | 個人事業主・家族が運営する会社経営者の利用は不可 |
収入合算・ペアローン | 収入合算・ペアローン共に利用可能(希望する金額が借りられないときに活躍) |
資金使途 | 戸建・マンション購入(中古もOK)、戸建ての新築費用、借り換え費用。諸費用の借り入れも可能。 |
借入可能上限金額 | 2億円 |
ポイントは「年収200万円以上」と年収基準が比較的甘い一方で、個人事業主や家族経営の経営者へを利用対象外にする厳しさを併せ持っているという点です。
2億円まで借りることができますし、物件などの条件は特に厳しいと言えるものはなさそうです。
住宅ローンを始めたばかりということもあり、まずは収入が安定している公務員・正社員を対象に開始しているように見えます。そもそも、ジャパンネット銀行は以下のように報道機関に戦略について発表していましたので、個人事業主・家族経営が利用できないという従来型で審査基準を定めていること自体に当初の発表からは矛盾がある状態なので、今後、段階的に改善していく可能性は高いと言えます。(この戦略を守るつもりがあるのであれば、ですが)
インターネット専業のジャパンネット銀行は2019年夏にも住宅ローン事業に参入する。将来は人工知能(AI)を審査に活用し、顧客の属性に応じた適切な融資につなげる。住宅ローンの提供で貸出金を伸ばすほか、顧客のメインバンクにしてもらうことを目指す。
ネット銀行は店舗がなく、経費率は一般的な銀行に比べて低い。住宅ローンの最低金利も低く抑えやすく、地方銀行やメガバンクから借り換える顧客が多い。 ただネット銀行で住宅ローンを借りている顧客は信用力の高い人に偏っており、顧客の裾野を広げることが課題だった。
将来的には融資の審査にAIを導入し、給料や勤続年数などによる画一的な審査ではなく、幅広いデータから返済能力などを見極めて融資を判断する。親会社のヤフーがもつビッグデータ解析の技術を顧客情報の分析に活用する。 住宅ローンは金利の引き下げ競争が激しいが、金融機関側のメリットも大きい。
住宅ローンを通じて顧客のメインバンクになれば、デビットカードの利用や投信の販売が見込める。こうしたプラス効果を重視し、ジャパンネット銀は住宅ローンの参入を決めた。日本経済新聞
ジャパンネット銀行は預金残高は堅調に増えていて2020年3月時点で9,200億円以上の残高があります。一方で、貸出金はわずか974億円しかありません。国債などの有価証券の残高も2,700億円程度しかなくて、その結果、3,200億円以上が現金・預け金となっています。
口座保有者から預金として預かっているお金の30%以上、3,000億円以上が現金・預け金という預金が多すぎる”カネあまり”の状態になっています。
このような状況なので、ジャパンネット銀行は預金を集めたいとはほとんど思っていないのはもちろん、「余っているお金をどこかに使いたい」という経営上の大きな課題があると言えます。
例えば、ジャパンネット銀行のホームページのメニューに「定期預金」はありません。また、普通預金の金利も限界まで下げていて、ジャパンネット銀行の中で預金が多すぎて、その使い道に困っているという課題に苦労していることはここからもわかります。
銀行は「預かったお金を貸したり、運用して儲けるビジネス」ですが、日銀による金融緩和・マイナス金利政策の影響で利ザヤ収益も見込めず、利益を確保していくことが難しくなっています。
結論として、ジャパンネット銀行の中では、預金が多すぎる状態を解決するために「貸出金」をなんとか増やさならければならないという課題が深刻化しつつあり、その課題を解決するための方法の1つとして、住宅ローンに参入して貸出残高を増やさなければならない、そのためには金利を限界まで引き下げて勝負していくことが必要だったという背景があると考えられます。
逆にこのあたりの課題が解決してくると金利を限界まで下げ続ける理由がなくなるので、いつか金利をあげるかもしれませんが、少なくとも数年・長ければ10年ぐらいかかると思われます。
ジャパンネット銀行の住宅ローンが、Yahoo!の情報を活用した住宅ローン審査を行う以上、YahooIDを使って申し込む仕組みが確実に導入されてくると思っていたのですが、現時点ではそのような連携は見られません。今後の商品・サービス追加に期待、と言ったところです。
2019年7月30日に登場したジャパンネット銀行の住宅ローンは、検討候補に加えておくべき最新の商品性と驚異的な低金利を実現している住宅ローンと言えます。
特に年0.380%の変動金利/全期間引下型(2020年7月適用金利)は他のネット銀行の金利にも大きな影響を与えると考えるほどの大きなインパクトがある住宅ローンと言えますし、実際申し込みが殺到して手続きに遅れが発生したりしている様子です。
auじぶん銀行・楽天銀行・新生銀行など様々な銀行がそれぞれの魅力ある住宅ローンを提供していますが、ジャパンネット銀行の住宅ローンがその一角に食い込むことになったのは間違いないと言えるでしょう。
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