2023年2月23日
この特集記事では年収900万円台(900万円~1000万円)の人の住宅ローン選びについて解説しています。
国税庁が調査・発表している「民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均給与は約440万円です。年収900万円は平均年収の2倍を超える高額所得者で、年収900万円を超えるのは日本の労働人口の6%程度です。年齢や性別を問わずランダムに100人集めたとしても年収900万円以上の人は6人しかいないことになります。
住宅ローンを検討する30代・40代に絞ると、平均年収はさらに低いので、30代・40代で年収900万円を超えている人は間違いなく高収入です。
ただし、住宅ローンの審査で年収900万円の人が優遇されるのは公務員や正社員などのサラリーマンの場合です。自営業や個人事業主で年収900万円を超えていても、住宅ローンの審査ではその時点の収入だけでなく、収入の安定性が重視されるので、業歴や会社の決算内容によって住宅ローンの審査は簡単に落とされてしまう可能性があります。
逆に、大企業に勤めていたり公務員で年収が900万円を超えているような人は、一般的な住宅ローンであればほぼ利用できると思って良いでしょう。選びたい放題と言っても過言ではありません。
例えば、ネット銀行の住宅ローンの中でも年収制限が高いソニー銀行、旧シティバンク銀行の流れをくむSMBC信託銀行のような年収制限が厳しい住宅ローンの利用条件ももちろん問題なくクリアしています。
メガバンクや地方銀行の住宅ローンは、住宅ローンの審査の結果でユーザ(利用者)ごとに住宅ローンの金利が変わる仕組みを採用しています。そのような住宅ローンの場合、銀行から提示される金利の水準は信用力が反映されています。
「お金を貸す時には返してもらえなくなるリスクを考えて金利を決める」ので「返済してもらえなくなる可能性が高い人たちには高い金利」、「返済してもらえなくなる可能性が低い人たちには低い金利」でお金を貸します。これが住宅ローンに限らずローンという商品の基本です。
特に信用力が高い部類の人にとって重要なってくるのは自分自身の信用力に見合った住宅ローンを見つけ出すことです。年収900万円を超える大手企業のサラリーマンや公務員の人は、審査に通りやすい誰でも利用できる住宅ローンよりも審査が厳しいと言われている住宅ローンを選んだ方が良いぐらいです。
当サイトの調べでは、auじぶん銀行とソニー銀行の住宅ローン審査はやはり厳しめという結果が出ています。意外なのはソニー銀行よりもauじぶん銀行の住宅ローンの方が審査が厳しいと噂されている点で、業界関係者でも評判になっているほどです。auじぶん銀行やソニー銀行の住宅ローンは金利も低く、付帯サービスも充実しているので、審査を厳しく行わないとビジネスとして成り立たないのは想像できますが、auじぶん銀行とソニー銀行のどちらか、もしくは両方に申し込んでみてご自身の信用力を試してみても良いでしょう。
まず最初に年収900万円台だといくらの住宅ローン借り入れが可能か、借入限度額・上限額を確認していきましょう。
年収が高くなればなるほど累進課税である所得税や社会保険の負担が重くなり、手取りの割合は減るため、税込み年収と手取り年収両方で借り入れ可能額を算出しています。借り入れ可能額の算出にあたっては、某ネット銀行のホームページの住宅ローンシミュレーション機能を利用しています。
年収 | 借り入れ可能額 | 月々の返済額 | 返済負担率 | |
900万円 | 税込み900万円 | 8,115万円 | 211,623円 | 28.1% |
手取り620万円 | 5,590万円 | 145,776円 | 19.4% | |
950万円 | 税込み950万円 | 8,566万円 | 223,384円 | 28.2% |
手取り650万円 | 5,861万円 | 152,843円 | 19.3% | |
990万円 | 税込み990万円 | 8,926万円 | 232,772円 | 28.2% |
手取り670万円 | 6,041万円 | 157,537円 | 19% |
上記のように税込み年収でシミュレーションした借り入れ可能な金額と手取り年収からシミュレーションした住宅ローン借入可能額では大きな差があります。
実際に税込み年収で住宅ローンを組んだ場合を考えてみましょう。
年収900万円の年俸制(ボーナスなし)の方が、8,115万円の住宅ローンを借りたと仮定しましょう。月々の手取りは52万円弱であるのに対し、住宅ローンの月々の返済額は21万円になります。
住宅ローンの返済以外にも、火災保険・地震保険料、固定資産税、マンションの場合には修繕積立金・管理費などの住宅関連費用が発生します。住宅価格が8,000万円前後ですと、住宅の面積も大きいためこうした関連費用もかなり金額となります。手取り給与の半分近くが住宅関連費用となる可能性もあり、家計としては適正ではないでしょう。
結論として、金融機関が提示する借り入れ可能額と実際に返済していけるかは異なるものと考える必要がありそうです。
次に、実際に住宅ローンを借りている人たちが年収に対しどの程度の割合の住宅ローンを借りているかを調査したレポートをここでご紹介したいと思います。
※引用 住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」より
調査によると、全体の60%程度の方は20%以下、さらに全体の80%の方は25%以下としています。
前述の年収900万円の年俸制の方が、8,115万円の住宅ローンを借りる場合の返済負担率は28.1%にもなりますので、やはり借り過ぎであるといえそうです。年収900万円の方の手取年収から借入可能額を計算した際の返済負担率は19%となっていましたので借入可能額を計算する際は手取り年収で計算を行うのが適正と言えそうです。
最後に、年収900万円台の方々の借入限度額の妥当性を判断してみましょう。(手取り年収より妥当性を判断)
住宅ローン借り入れ額 | 判定 | コメント |
4,000万円 | ◎ | 問題なく借り入れと返済ができると思われます |
4,500万円 | ◎ | 問題なく借り入れと返済ができると思われます |
5,000万円 | ◎ | 問題なく借り入れと返済ができると思われます |
6,000万円 | ○ | 900万円台後半の年収があれば可能 |
7,000万円 | × | 住宅ローンの返済が困難になるリスクがある |
8,000万円 | × | 住宅ローンの返済が困難になるリスクがある |
しかし、こうした収入合算やペアローンで気をつけなければならない点もあります。まず、女性の妊娠時の産休などで収入が減り、出産後も一定期間、育児で働けなくなり収入が途絶えた場合でも住宅ローン返済していけるかという点です。また、共働き年収を前提に住宅ローンを組むのであれば、住宅ローン完済まで共働きを続けている必要がある点にも要注意です。子育てや介護などで今まで通り就業し続けることができなくなる可能性も十分にあり得ますので、万が一想定通り仕事ができなくなってしまったとしても返済し続けることが出来るような範囲で家探しをするのが安全と言えるでしょう。
高額な物件を購入した場合にはより注意が必要ですので、マイホーム購入という大きなイベントと同時にご夫婦間の役割分担も明確にしておく必要があります。
こうした問題をクリアした場合には前述の借入限度額のシミュレーションを参考に、収入合算やペアローンを利用できる住宅ローンに申し込みをしてみてください。
金融機関名 | 特徴 |
ソニー銀行 | 日本で初めて住宅ローンを取り扱ったネット銀行。年収制限がやや高いが住宅ローンの歴史と魅力は本物。 |
auじぶん銀行 | ネット完結型で住宅ローン契約書に収入印紙が不要であるため、印紙税を節約可能。 |
SBI新生銀行 | 育児休暇中など特定期間の住宅ローン返済額が減らせる「コントロール返済」サービスを取り扱い |
年収900万円の人におすすめしたいのは「変動金利タイプ」の住宅ローンです。
変動金利タイプは将来の日本の長期金利が上昇すると、住宅ローンの金利が上昇してしまうリスクがある金利タイプですが、とにかく足元では金利が低いことが特徴です。
「金利があがるリスク」があるのは低金利で借りられることの裏返しなので仕方がありませんが、
などの観点から、住宅ローン返済額が年収の30%を超えてしまうような場合を除き、変動金利タイプがおすすめと考えています。
変動金利 | 特徴 | |
---|---|---|
auじぶん銀行 | 年HPご確認%(全期間引下げプラン)(※1) | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる保障とすべてのケガや病気を保障する全疾病保障が無料で付帯。保証料も無料(審査の結果で保証会社を利用することになった場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途支払う保証料はありません)。 |
PayPay銀行 | 年0.380%(全期間引下型) | キャンペーン適用金利。変動金利タイプの金利の低さに注目。 個人事業主・自営業、同族企業にお勤めの方は申込不可。 |
住信SBIネット銀行(WEB申込コース)※3 | 年0.320%(通期引下げプラン) | すべてのケガや病気を保障する全疾病保障が無料で付帯。保証料も無料。 |
住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面)※2 | 年0.320%(通期引下げプラン) | 通常の団体信用生命保険、全ての病気やケガに備える全疾病保障に加え、お借入時のご年齢に応じてガン診断時給付を含む3大疾病保障特約(50%)を基本付帯 |
SBI新生銀行 | 年0.420% (変動フォーカス) | 変動フォーカスの場合。すべてのケガや病気による介護保障が無料で付帯。 |
ソニー銀行 | 年0.447%※4 (変動セレクト) | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が1/2になる疾病保障が無料付帯。 |
イオン銀行 | 年0.430%(金利プラン) | イオングループでの買い物が5%引きになるサービスがセット。保証料も無料。2023年5月の適用金利。 |
40歳で住宅ローンを組む際に気をつけたい点が大きく2点あります。
1つ目は40歳で住宅ローンを組んだ場合に35年返済とする場合、完済時年齢が75歳になるという点です。繰り上げ返済で完済日を前倒ししない限り、定年退職後も年金や貯蓄から住宅ローンを返済していくか、退職金で一括繰上返済するなど、老後の生活に影響を与える可能性があります。
特に60歳以上になるとそれまでの水準の収入を確保しにくくなるので注意が必要です。
2つ目は疾病保障の年齢制限です。例えば、ソニー銀行では疾病保障団信には50歳までに加入が必要です。その他の銀行も50歳前後となって大きな違いはありません。これは新規借り入れだけではなく、借り換えの際にも言えることですので今後借り換えを行う予定がある方は頭の片隅に置いておいてください。
住宅ローン控除・減税は住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合に支払った所得税が還付される税制です。所得税で還付枠を使い切れない場合には上限(課税所得の7%もしくは136,500円)がありますが、住民税からの還付も行われます。
年収900万円台の方が5,000万円の住宅ローンを組んだ場合の住宅ローン控除(減税)で還付される金額を試算してみました。
【前提】扶養家族2名(配偶者および16歳以上18歳未満の子供1名)、各種保険・医療費控除を加味しない
年収 | 支払い所得税 | 支払い住民税 | 住宅ローン控除額(減税額) |
880万円 | 43.8万円 | 45万円 | 40万円(所得税400,000円) |
900万円 | 46.9万円 | 46.6万円 | 40万円(所得税400,000円) |
920万円 | 49.9万円 | 48.1万円 | 40万円(所得税400,000円) |
940万円 | 52.9万円 | 49.6万円 | 40万円(所得税400,000円) |
950万円 | 54.4万円 | 50.3万円 | 40万円(所得税400,000円) |
960万円 | 55.9万円 | 51.1万円 | 40万円(所得税400,000円) |
980万円 | 59万円 | 52.6万円 | 40万円(所得税400,000円) |
住宅ローン控除について10年間、住宅ローン残高の1%還付を選択した場合に、5,500万円の住宅ローン残高があると、住宅ローン控除の40万円/年となります。(住宅ローン控除の上限40万円を使い切っている状態です)
なお、ふるさと納税、扶養控除、医療費控除を受けると住宅ローン控除での還付枠が減るので注意が必要なのですが、年収900万円台であれば納めている住民税も多いので気にしすぎる必要はありません。
みんなの住宅ローンでは年収水準に合わせた住宅ローン審査に関する記事を公開していますので合わせて参考にしてください。
「オリコン顧客満足度®」調査の住宅ローン版の最新結果が2022年8月に発表されました。
総合1位はauじぶん銀行の住宅ローンが獲得しました!2021年まで11年連続で1位を獲得していたソニー銀行が2位。3位にイオン銀行、続いて住信SBIネット銀行、SBI新生銀行がランクインしています。
auじぶん銀行は当サイトでもダントツの人気を誇っていますが、ついにオリコンランキングでも総合1位を獲得し、人気を不動のものにしつつあります。
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