公開日: 2026年8月8日

数年前まで、住宅ローンといえば銀行同士の「金利引き下げ競争」が話題の中心でした。ところが、日本銀行の利上げが進んだ2026年は状況が大きく変わり、金利は全体として上昇局面に入っています。この記事では、金利タイプの基本をおさらいしたうえで、いま銀行間の競争がどこへ移っているのか、そして子育て世帯が住宅ローンを選ぶときにどこを見ればよいのかを、最新の状況とあわせて解説します。
住宅ローンの金利は大きく「変動金利」「固定金利(当初固定)」「全期間固定金利」の3種類に分かれ、いずれも「基準金利-引き下げ幅(優遇幅)=適用金利」という計算式で適用金利が決まります。一般的に、金利水準は「変動金利→固定金利→全期間固定金利」の順に高くなり、返済期間中に金利や返済額が変動するリスクは逆に小さくなっていきます。それぞれの金利タイプの特徴を確認しましょう。
・変動金利・・・一定期間ごとに市場金利に応じて金利が見直されるタイプです。
固定金利よりも当初の金利が低く設定されることが多い一方、市場金利が上昇した場合には返済額が増えるリスクがあります。金利の見直し時期や、返済額の急増をやわらげる「5年ルール」「125%ルール」の有無は銀行ごとに異なります。
・固定金利(当初固定)・・・借入後の一定期間(2年、5年、10年など)の金利が固定されるタイプです。
固定期間中は毎月の返済額が一定で資金計画を立てやすい点がメリットです。ただし固定期間が終わると、その時点の金利で改めて金利タイプを選び直すことになります。
・全期間固定金利・・・借入期間中ずっと金利が変わらないタイプで、代表格が住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する「フラット35」です。
返済額が借り入れ時点で確定するため、教育費のピークが先に控えるご家庭でも家計の見通しを立てやすいのが最大のメリットです。そのぶん、変動金利や当初固定より金利は高めに設定されます。
それぞれの金利タイプにはメリット・デメリットがあります。金利タイプを選ぶ際は、家計の状況や今後のライフプラン、金利の動きも踏まえて、無理のない返済計画を立てることが大切です。
かつては「過去最低水準の金利」を各行が競い合っていましたが、いまは前提が変わりました。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、7月31日の会合ではこれを据え置いています。長期金利の上昇を受けて固定型の金利は各行で引き上げが続き、全期間固定の代表であるフラット35(融資率9割以下・返済期間21〜35年・新機構団信付き)の2026年8月の最も多い金利は年3.290%と、現行制度になった2017年10月以降で最も高い水準になりました(住宅金融支援機構・2026年8月3日公表)。
当編集部が2026年8月4日に主要14の金融機関・機関の公式サイトを実際に確認し、銀行×商品×金利タイプなど127件の適用金利を前月と比較したところ、102件が引き上げ、据え置きは23件、引き下げはわずか2件でした(当編集部調べ。フラット35・50は機構公表の最頻金利を取扱各社の行として計上した件数を含みます)。

一方で、変動金利はこの127件のうち27件で、23件が据え置き・4件が引き上げでした。変動型はまだ大半の銀行が据え置いていますが、たとえばドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)はWEB申込コース(通期引下げプラン)の変動金利を2026年8月実行分で年0.950%から年1.200%へ引き上げるなど、一部のネット銀行では動きが出始めています。ネット銀行の中には日銀の利上げ幅を上回る基準金利の引き上げに踏み切った例も報じられており、「変動なら当面ずっと低いまま」という前提は銀行ごとに差が出る時代になりました(2026年8月時点。個別の金利は必ず各行公式サイトでご確認ください)。
金利が全体として切り上がるなかで、銀行間の競争は「金利の安さ」一本から、団信(保障)・手数料・審査スピード・手続きのしやすさといった金利以外の領域へ広がっています。実際、ネット銀行の経営トップが「もう金利競争をする時代ではない」として団信などでの差別化に軸足を移す考えを示したことも報じられました(2026年8月・朝日新聞)。
子育て世帯の目線で見ると、これはむしろ比較がしやすくなった面もあります。がんや3大疾病への保障を金利上乗せなしで付けられるか、事務手数料は定率型か定額型か、共働きのペアローンに対応しているか──「わが家の万一への備え」と「初期費用」まで含めたトータルでの比較が、金利差以上に効いてくるようになったからです。
住宅展示場向けのタブレット申込や申込専用スマホアプリの導入、AI・RPAによる審査の自動化など、審査スピードと手続きの快適さをめぐる競争も続いています。
住宅ローンの申込みから借入れまでは、次のような流れで進んでいきます。
事前審査(仮審査)の申込みと審査
↓
本審査(正式審査)の申込みと審査
↓
本審査に通過後、契約手続き
↓
借り入れ(融資実行)
金融機関の中には事前審査がなく、いきなり本審査から始まるところもあります。たとえばSBI新生銀行は原則として仮審査を行わず、本審査のみで完結する方式です。必要書類は本審査時に一式そろえることになるため、他行と併願する場合は他行側の仮審査を先に済ませておくと段取りがスムーズです。
住宅ローンは審査に落ちてしまうと再申込みまでに時間がかかり、引き渡しまでのスケジュールに余裕がなくなることもあります。そのため、スムーズに結果が出る「審査スピード」はとても重要です。公式サイトで審査日数の目安を公表している主な金融機関を確認してみましょう(2026年8月時点・各社公式サイトの案内によります)。
| 金融機関 | 仮審査(事前審査) | 本審査 |
|---|---|---|
| auじぶん銀行 | 申込日から1〜3営業日が目安 | 必要書類の提出後3〜10営業日が目安 |
| ドコモSMTBネット銀行 | 最短即日(通常数時間〜数日) | 書類到着後1週間〜10日程度(仮審査から融資まで最短1カ月半程度が目安) |
| SBIアルヒ(店舗申込) | 最短当日 | 最短3営業日 |
| SBI新生銀行 | 仮審査なし(本審査のみで完結) | 必要書類は本審査時に一式提出 |
※書類の不備や申込内容(自営業・会社経営の方など)、申込みが集中する時期には日数が延びる場合があります。最新の目安は各社公式サイトでご確認ください。
ネット銀行は、メガバンクや地方銀行よりも仮審査が短い傾向がある一方、本審査にかかる期間はあまり変わらないといわれます。それでも実店舗に出向くことなくオンラインで申込みや契約の手続きができるため、郵送にかかる日数分を短縮できます。
住宅ローン審査には、本人確認書類のほかに源泉徴収票などの収入が確認できる書類も必要です。審査期間を長引かせない対策として、提出する必要書類に不備がないか確認し、事前に準備しておくと安心です。繁忙期は通常より時間がかかる場合もあります。
最近はZoomなどを使ったオンライン相談を行うところも多く、小さなお子さんがいて店舗に出向きにくいご家庭でも、非対面で相談から契約まで進めやすくなっています。
住宅ローンをめぐる銀行間の競争は、「金利をどこまで下げられるか」から「金利のある世界で、保障やサービスをどう充実させるか」へと転換点を迎えています。金利が全体に切り上がるいまこそ、表面の金利差だけでなく、団信の保障内容・事務手数料・審査スピード・手続きのしやすさまで含めた総合力で比較することが、家計を守る住宅ローン選びにつながります。
たとえばSBI新生銀行は、保証料や一部繰上返済手数料が0円で諸費用が分かりやすく、金利上乗せ0円の全疾病保障付団信を選べるうえ、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しています。仮審査がなく本審査のみで完結する方式も特徴的で、金利以外の差別化が進む今の時代を象徴する選択肢の一つといえるでしょう。
ご家庭ごとに「早く結果がほしい」「保障を厚くしたい」「初期費用を抑えたい」など優先順位は違います。わが家の優先順位を決めてから2〜3行に絞って比較すると、無理のない住宅ローン選びがしやすくなります。
いいえ。審査スピードはAIやシステムによる効率化・書類のオンライン提出などで実現されているもので、審査基準の甘さとは別の話です。審査の早さは「結果が早く分かって次の行動に移りやすい」というスケジュール上のメリットとして捉えましょう。
金利の先行きは誰にも断定できないため、「上がりそうだから慌てて借りる」のはおすすめしません。大切なのは、いまの金利水準で毎月の返済額が家計のゆとりを保てる範囲に収まるか、教育費のピークと重なっても続けられるかです。多くの銀行では申込時ではなく融資実行日の金利が適用される点も、資金計画のうえで覚えておきましょう。
①必要書類(本人確認書類・源泉徴収票・物件資料など)を申込前にそろえておく、②書類の不備をなくす、③審査日数の目安を公表している銀行を選ぶ、④併願する場合は仮審査を早めに複数出しておく、の4点が有効です。自営業・会社経営の方は書類が増え日数も延びやすいため、より早めの行動が安心です。
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