公開日: 2026年9月13日 更新日: 2026年9月27日

女性が住宅ローンを選ぶとき、「女性専用」という看板はもう決め手になりません。SBI新生銀行の安心パックW(2024年10月31日契約分で終了)、りそな銀行の『凛next』(2025年9月30日事前審査受付分で新規終了)と、代表的だった女性向け商品は新規受付を終えています。いま現実的なのは、女性に多い乳がんなどの病気にどれだけ備えられるか=団信の中身で選ぶことです。2026年9月時点では、auじぶん銀行と楽天銀行が借入時50歳以下なら上乗せ金利なしで「がんと診断されたら残高が半分になる」団信を付けられます。
住宅ローンを検討中の女性に向けて、女性専用ローンの現状、女性がかかりやすい病気のデータ、全疾病保障とがん保障の違い、そしてご家族の暮らしを守る選び方の順に解説します。
国土交通省が全国の金融機関を対象に行っている住宅ローンの調査によると、性別を住宅ローンの審査で考慮している銀行は20%未満となっていて、大半の金融機関は男性・女性という性別で住宅ローンの審査結果を変えていないと回答しています。
この調査結果を踏まえて念頭に入れておきたいのは、最近の住宅ローンは男女問わず利用できるようになっており、女性専用の住宅ローンだからと言って必ずしも優れているとは限らないという点です。女性専用住宅ローン自体を否定するわけではありませんが、”女性向け”という言葉に安易に惑わされないようにしましょう。
ただし、女性特有の病気が多いことや、妊娠・出産などで働けなくなってしまうことがあるのも事実なので、それらについて考えていきましょう。
かつては大手銀行でも女性向けの住宅ローンやサービスが提供されていましたが、近年は新規受付の終了が相次いでいます。代表的だった2つの商品の現状を確認しておきましょう。
※SBI新生銀行の安心パックW(ダブル)及び、安心パックSは2024年10月31日(木)までのご契約分で取り扱いを終了しています。
詳しくはこちらをご確認ください。
https://www.sbishinseibank.co.jp/info/news240731_aplusgold.html
SBI新生銀行がかつて取り扱っていた安心パックWは、165,000円の事務手数料で付帯されるサービスで、繰上返済していた元本相当の範囲で妊娠・育児休暇中など収入減の際に元本返済を中断できる「コントロール返済」と、借入額に応じてクーポン券で家事代行・ハウスクリーニング&病児保育サービスを受けられる特典が、子育て世帯の女性に支持されていました。ただし、上記のとおり現在は新規契約での取り扱いを終了しています。
なお、安心パックWは終了しましたが、現在のSBI新生銀行の住宅ローンも、保証料0円・一般団信の保険料0円に加えて、2026年3月からは金利上乗せ0円の「全疾病保障付団信」が始まるなど、共働き・子育て世帯が使いやすい商品性は健在です。一部繰上返済も1円から手数料無料で何度でもできるため、育休復帰後にこまめに返済を進めたい方にも向いています。
※りそな女性向け住宅ローン・借りかえローン『凛next』は、2025年9月30日(事前審査受付分)をもって新規のお申込み受付を終了しています(すでにご利用中の方は引き続き利用できます)。
都市銀行のりそな銀行が提供していた『凛next』は、女性向けに2つのサービスを行っていました。1つ目がケガや病気で就業できなくなった場合に、住宅ローンの月々の返済を保険金でカバーしてくれる保険(就業不能時あんしん保険)が保険料無料で付帯されていた点。2つ目はがんと診断されたらローン残高が0円になる3大疾病保障特約を、通常の年0.25%より割安な年0.15%の上乗せで付帯できた点です。都市銀行で女性向け住宅ローンを掲げる数少ない存在でしたが、こちらも新規受付を終えており、「女性専用」を売りにした住宅ローンは選択肢としては縮小しているのが実情です(2026年9月にりそな銀行公式サイトで確認)。
次に女性特有の病気について確認してみましょう。厚生労働省の『死亡数・死亡率(人口10万人対)死因順位』より引用したのが、下記の表です。住宅ローンを利用しているであろう30代から60代までの女性に多い病気は悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患(脳卒中)だということが分かりますね。
また、国立がん研究センターの最新がん統計によると、女性がかかる(罹患する)がんとして最も多いのは乳がんで、特に30代後半から働き盛りの世代にかけて増えていきます。心疾患、脳血管疾患(脳卒中)は男性にも多い病気ですので、女性ならではの備えという意味では、まず乳がんへの備えが中心になると言ってよいのではないでしょうか。より保障をしっかりしたい場合には心疾患、脳血管疾患(脳卒中)を含んだ3大疾病が保障されていればかなりの安心が得られると考えられます。

地銀やネット銀行の住宅ローンで付帯されることが増えている全疾病保障・就業不能保障付き団信ですが、この保障は乳がんへの対策として有効なのかをまず確認したいと思います。確認にあたり、全疾病保障を扱う主なネット銀行3行の保障内容を比較してみます。ひとくちに全疾病保障と言っても各銀行で保障基準がばらばらであるため、しっかりと内容を確認することが重要です(下表は2026年9月に各行公式サイトで確認した概要です)。
| ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行) | 楽天銀行(金利選択型) | auじぶん銀行 | ||
| 対象の病気や怪我 | 精神障害等をのぞく全ての病気とケガ | 精神障害・妊娠・分娩・産じょく等をのぞく全ての病気とケガ | 精神障害をのぞく全ての病気とケガ | |
| 保険料(金利上乗せ) | なし(基本付帯) | なし(基本付帯) | なし(がん50%保障団信に付帯) | |
| 保障内容 | 月々の返済に対する部分 | 8疾病は就業不能の期間中の返済相当額を最長12ヵ月分、8疾病以外は就業不能が3ヵ月をこえて継続した場合に最長21ヵ月分(保障開始から3ヵ月は待機期間) | 各月で就業不能状態が15日をこえて継続した場合に当月の返済額(通算36ヵ月) | すべての病気・ケガで入院が31日連続した後、入院が30日に達するごとに毎月の返済額(継続入院につき5回・通算36回) |
| 残高に対する部分 | 8疾病は就業不能が12ヵ月、8疾病以外は24ヵ月継続した場合に残高全額 | 就業不能が1年をこえて継続した場合に残高全額 | 入院が合計180日以上継続した場合に残高全額 | |
| がん診断時の保障(借入時50歳以下) | 3大疾病50%保障が基本付帯(がんと診断で残高50%) | がん保障特約(50%保障)が上乗せなしで付帯(がんと診断で残高50%) | がん50%保障団信が上乗せなしで付帯(がん診断+4疾病で残高50%) | |
※8疾病=がん・急性心筋梗塞・脳卒中の3大疾病と、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎の重度慢性疾患。各行の詳細条件はドコモSMTBネット銀行 スゴ団信の保障内容、楽天銀行 がん保障特約・全疾病特約付団信、auじぶん銀行 団体信用生命保険の各公式ページでご確認ください。
いずれの全疾病保障でも共通しているのは、長期間の就業不能もしくは継続して入院しないと住宅ローンの残高に対する保障がないという点です。ただ、ここまで長期の入院が必要なケースは、がんの中でもかなりステージが進んでいるような、深刻な状態であることがほとんどではないでしょうか。
月々の返済への保障も、早期発見した乳がんであれば1回分の保障を受けられるかどうかも怪しいところだと思われます。無いよりはマシでしょうが、全疾病保障だけを乳がんへの備えとして頼りにするのは心もとない、というのが正直なところです。もう1点、女性にとって見逃せないのが、楽天銀行の全疾病特約は妊娠・分娩・産じょくによる就業不能が保障の対象外と明記されている点です。出産前後の収入減は団信ではなく、家計の貯蓄や産休・育休の給付金でカバーする前提で計画を立てましょう。
次に、乳がんを含む悪性新生物(腫瘍)に対する保障が充実している住宅ローンを確認しておきましょう。今回紹介をしたいのはネット専業銀行のauじぶん銀行の住宅ローンです。
auじぶん銀行の住宅ローンが優れているのは低金利であることはもちろん、がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」と先ほども紹介した保障に近い商品性の「全疾病保障」が、借入時満50歳以下の人に上乗せ金利なしで付帯することです。現在のがん50%保障団信には、急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の「4疾病保障」も付帯しており、保障範囲はさらに広がっています。年0.05%の上乗せで残高が全額0円になる「がん100%保障団信」に広げることもできます(2026年9月13日時点・auじぶん銀行公式サイトで確認)。
就業不能状態や入院が必要な状態になる必要はなく、がんと医師から診断されるだけで住宅ローン残高が半分になるがん50%保障は、乳がんなどのがんに対する備えとしては心強い存在と言えます。
「がん50%保障団信」があるおかげで、住宅ローン残高が3,000万円ある状態でがんと診断されたら半分の1,500万円が保険金で支払われます。がんと診断されるだけで1,500万円もの保険金を受け取れるがん保険を見つけることは難しく、かなり手厚い保障と言えます。
ただし注意点もあります。auじぶん銀行・楽天銀行のがん保障は、いずれも「上皮内がん(子宮頸がん0期や非浸潤の乳がんなど)」と保障開始から90日以内の診断は対象外です。検診で早期に見つかった乳がんが上皮内がん(非浸潤がん)と診断された場合は保険金の対象にならないため、団信に加えて医療保険や貯蓄でも備えておくと、家計の安心が二重になります。
A. 大手ではSBI新生銀行の安心パックW(2024年10月契約分まで)、りそな銀行の凛next(2025年9月30日事前審査受付分まで)が新規受付を終了しており、女性専用をうたう商品は縮小しています。一部の地方銀行には女性向け商品が残っている場合がありますが、金利・団信・手数料を通常商品と比べて選ぶのが確実です。
A. 凛nextの特典は、病気やケガで働けなくなったときに返済をカバーする就業不能時あんしん保険(保険料無料)と、3大疾病保障特約の割安な上乗せ(年0.15%)が中心でした。すでに契約中の方は引き続き利用できますが、新規申込はできません。出産や育休で一時的に返済が厳しくなる場合は、銀行を問わず「返済条件の変更(一定期間の元金据え置きなど)」を相談できるので、早めに借入先へ連絡しましょう。
A. 乳がんへの備えを優先するなら「がんと診断された時点」で保険金が出るがん保障(auじぶん銀行・楽天銀行のがん50%保障など)が実用的です。全疾病保障は1年前後の就業不能や180日以上の入院が条件で、早期発見の乳がんでは使えない可能性が高いためです。ただし上皮内がんは両行とも対象外なので、医療保険との組み合わせも検討してください。
「女性専用」をうたう住宅ローンは新規受付の終了が続いており、今は「女性専用かどうか」より「女性特有の病気にどれだけ備えられるか」で選ぶのが現実的です。乳がんなどの女性特有のがんへの備えを重視する場合は、先ほども紹介した”auじぶん銀行”が最もおすすめできる住宅ローンとなります。2026年9月時点では楽天銀行の金利選択型でも借入時50歳以下なら上乗せなしでがん50%保障が付くようになっており、収入合算やペアローンを考えているご家庭は楽天銀行の収入合算・ペアローンの解説もあわせて比べてみてください。
もし、女性の方で派遣社員や契約社員として働いていて住宅ローン審査が心配という方には、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の”フラット35”に新3大疾病付機構団信を付帯させるのが有力候補となります。ただし、年0.24%の金利上乗せが必要となります(楽天銀行のフラット35の場合。2026年9月確認)。
また、諸費用や団信のバランスで選ぶなら、保証料0円・一般団信0円に加えて金利上乗せ0円の全疾病保障付団信が始まったSBI新生銀行も、家計にやさしい選択肢の一つとして検討する価値があります。年代別の借り方は30代・35歳の住宅ローンはいくら借りられる?でも解説しています。最新の商品内容・金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
以下は、女性専用・女性向けの住宅ローンを取り扱ってきた主な金融機関です(過去に取り扱いのあった金融機関を含む参考情報です。商品の新規受付が終了している場合があるため、現在の取扱状況は各金融機関にお問い合わせください)。
| 西日本シティ銀行 | スルガ銀行 | 武蔵野銀行 |
| 沖縄銀行 | 大垣共立銀行 | 宮崎銀行 |
| 横浜銀行 | 群馬銀行 | 常陽銀行 |
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