公開日: 2026年7月14日

最近は女性の社会進出が進んだことで、女性で住宅ローンを利用する人が増えてきました。それに対応するように女性専用の住宅ローンや住宅ローンに関連するサービスを提供する金融機関もありましたが、実は近年、こうした「女性専用」商品は新規受付の終了が相次いでいます。では、これから住宅ローンを組む女性は何を基準に選べばよいのでしょうか?
この特集記事では住宅ローンの利用を考えている女性のための住宅ローン選びのポイントを解説したいと思います。
目次
国土交通省が全国の金融機関を対象に行っている住宅ローンの調査によると、性別を住宅ローンの審査で考慮している銀行は20%未満となっていて、大半の金融機関は男性・女性という性別で住宅ローンの審査結果を変えていないと回答しています。
この調査結果を踏まえて念頭に入れておきたいのは、最近の住宅ローンは男女問わず利用できるようになっており、女性専用の住宅ローンだからと言って必ずしも優れているとは限らないという点です。女性専用住宅ローン自体を否定するわけではありませんが、”女性向け”という言葉に安易に惑わされないようにしましょう。
ただし、実際、女性特有の病気もたくさんありますし、妊娠・出産などで働けなくなってしまうことがあるのも事実なので、それらについて考えていきましょう。
かつては大手銀行でも女性向けの住宅ローンやサービスが提供されていましたが、近年は新規受付の終了が相次いでいます。代表的だった2つの商品の現状を確認しておきましょう。
※SBI新生銀行の安心パックW(ダブル)及び、安心パックSは2024年10月31日(木)までのご契約分で取り扱いを終了しています。
詳しくはこちらをご確認ください。
https://www.sbishinseibank.co.jp/info/news240731_aplusgold.html
SBI新生銀行がかつて取り扱っていた安心パックWは、165,000円の事務手数料で付帯されるサービスで、繰上返済していた元本相当の範囲で妊娠・育児休暇中など収入減の際に元本返済を中断できる「コントロール返済」と、借入額に応じてクーポン券で家事代行・ハウスクリーニング&病児保育サービスを受けられる特典が、子育て世帯の女性に支持されていました。ただし、上記のとおり現在は新規契約での取り扱いを終了しています。
なお、安心パックWは終了しましたが、現在のSBI新生銀行の住宅ローンも、保証料0円・一般団信の保険料0円に加えて、2026年3月からは金利上乗せ0円の「全疾病保障付団信」が始まるなど、共働き・子育て世帯が使いやすい商品性は健在です。一部繰上返済も1円から手数料無料で何度でもできるため、育休復帰後にこまめに返済を進めたい方にも向いています(最新の商品内容は公式サイトでご確認ください)。

※りそな女性向け住宅ローン・借りかえローン『凛next』は、2025年9月30日(事前審査受付分)をもって新規のお申込み受付を終了しています(すでにご利用中の方は引き続き利用できます)。
都市銀行のりそな銀行が提供していた『凛next』は、女性向けに2つのサービスを行っていました。1つ目がケガや病気で就業できなくなった場合に、住宅ローンの月々の返済を保険金でカバーしてくれる保険(就業不能時あんしん保険)が保険料無料で付帯されていた点。2つ目はがんと診断されたらローン残高が0円になる3大疾病保障特約を、通常の年0.25%より割安な年0.15%の上乗せで付帯できた点です。都市銀行で女性向け住宅ローンを掲げる数少ない存在でしたが、こちらも新規受付を終えており、「女性専用」を売りにした住宅ローンは選択肢としては縮小しているのが実情です。
次に女性特有の病気について確認してみましょう。厚生労働省の『死亡数・死亡率(人口10万人対)死因順位』より引用したのが、下記の表です。住宅ローンを利用しているであろう30代から60代までの女性に多い病気は悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患(脳卒中)だということが分かりますね。
また、がん研究センターの最新がん統計によると、女性がかかる(罹患する)がんとして最も多いのは乳がんで、特に30代後半から働き盛りの世代にかけて増えていきます。心疾患、脳血管疾患(脳卒中)は男性にも多い病気ですので、女性ならではの備えという意味では、まず乳がんへの備えが中心になると言ってよいのではないでしょうか。より保障をしっかりしたい場合には心疾患、脳血管疾患(脳卒中)を含んだ3大疾病が保障されていればかなりの安心が得られるのではないでしょうか。

地銀やネット銀行の住宅ローンで付帯されることが増えている全疾病保障・就業不能保障付き団信ですが、この保障は乳がんへの対策として有効なのかをまず確認したいと思います。確認にあたり、全疾病保障を扱う主な住宅ローンの保障内容を比較して見たいと思います。ひとくちに全疾病保障と言っても各銀行で保障基準がばらばらであるため、しっかりと内容を確認することが重要です(下表は2026年7月時点の各行公式サイトの情報に基づく概要です。最新・詳細の条件は必ず各行公式でご確認ください)。
| 住信SBIネット銀行 | 楽天銀行 | auじぶん銀行 | ||
| 対象の病気や怪我 | 精神疾患をのぞく全ての病気とケガ | 精神疾患をのぞく全ての病気とケガ | 精神疾患をのぞく全ての病気とケガ | |
| 保険料 | 無料 | 無料 | 無料 | |
| 保障内容 | 月々の返済に対する部分 | 住宅ローン契約から3ヶ月経過後、就業不能で住宅ローン返済日を迎えた場合 | 毎月27日を超えて就業不能状態が15日継続している場合 | すべての病気・ケガで入院が31日以上継続した場合、その入院期間中の毎月の返済を保障(月次返済保障) |
| 残高に対する部分 | 住宅ローン契約から3ヶ月経過後、8疾病で就業不能が12か月、8疾病以外では就業不能が24か月継続した場合 | 就業不能が1年を継続した場合 | 入院が180日継続した場合 | |
いずれの全疾病でも共通しているのは、長期間の就業不能もしくは継続して入院しないと住宅ローンの残高に対する保障がないという点です。ただ、ここまで長期の入院が必要なケースは、がんの中でもかなりステージが進んでいるような、深刻な状態であることがほとんどではないでしょうか。
月々の返済への保障も、早期発見した乳がんであれば1回分の保障を受けられるかどうかも怪しいところだと思われます。無いよりはマシでしょうが、全疾病保障自体が乳がんへの備えになり、実際に役立つ可能性はほとんどないかもしれません。

次に、乳がんを含む悪性新生物(腫瘍)に対する保障が充実している住宅ローンを確認しておきましょう。今回紹介をしたいのはネット専業銀行のauじぶん銀行の住宅ローンです。
auじぶん銀行の住宅ローンが優れているのは低金利であることはもちろん、がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」と先ほども紹介した保障に近い商品性の「全疾病保障」が、借入時満50歳以下の人に無料で付帯することです。現在のがん50%保障団信には、急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の「4疾病保障」も付帯しており、保障範囲はさらに広がっています。
就業不能状態になることや入院が必要な状態である必要はなく、がんと医師から診断されるだけで住宅ローン残高が半分になるがん50%保障は、乳がんなどのがんに対する備えとしては心強い存在と言えます。
「がん50%保障団信」があるおかげで、住宅ローン残高が3,000万円ある状態でがんと診断されたら半分の1,500万円が保険金で支払われます。がんと診断されるだけで1,500万円もの保険金を受け取れるがん保険を見つけることは難しく、かなり手厚い保障と言えます。
「女性専用」をうたう住宅ローンは新規受付の終了が続いており、今は「女性専用かどうか」より「女性特有の病気にどれだけ備えられるか」で選ぶのが現実的です。乳がんなどの女性特有のがんへの備えを重視する場合は、先ほども紹介した”auじぶん銀行”が最もおすすめできる住宅ローンとなります。
もし、女性の方で派遣社員や契約社員として働いていて住宅ローン審査が心配という方には、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の”フラット35”に新3大疾病付機構団信を付帯させるのが有力候補となります。ただし、年0.24%の金利上乗せが必要となります。
また、諸費用や団信のバランスで選ぶなら、保証料0円・一般団信0円に加えて金利上乗せ0円の全疾病保障付団信が始まったSBI新生銀行も、家計にやさしい選択肢の一つとして検討する価値があります。
以下は、女性専用・女性向けの住宅ローンを取り扱ってきた主な金融機関です(過去に取り扱いのあった金融機関を含む参考情報です。商品の新規受付が終了している場合があるため、現在の取扱状況は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください)。
| 西日本シティ銀行 | スルガ銀行 | 武蔵野銀行 |
| 沖縄銀行 | 大垣共立銀行 | 宮崎銀行 |
| 横浜銀行 | 群馬銀行 | 常陽銀行 |
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