2023年5月15日
楽天銀行が2023年6月の住宅ローン(金利選択型)の金利を発表しました。
変動金利は据え置き、固定金利タイプは全体的にやや引き下げとなりました。
ネット銀行を中心に住宅ローンの金利の引き下げ競争が激化している状況ですが、楽天銀行は金利引き下げ競争には参加しない方針の様子で、SBI新生銀行やauじぶん銀行のような大きな金利引き下げは確認できません。
グループ会社の楽天モバイルが通信事業に参入したことで多額の先行投資を行っていて楽天グループ全体が苦しい時期にあります。それが影響しているかは不明ですが、楽天銀行は住宅ローンの金利引き下げた時の収益性の悪化を嫌っているような雰囲気があります。
それでは発表された来月の住宅ローンの金利を確認していきましょう。翌月の金利が発表された住宅ローンは「金利選択型住宅ローン」です。
なお、今月はSBI新生銀行では金利を大幅に引き下げるキャンペーンを実施していますし、auじぶん銀行やPayPay銀行も低金利で住宅ローンを提供しているので、金利水準に物足りなさがあります。
SBI新生銀行が住宅ローンの借り換えキャンペーンを実施中です。詳しい利用条件は公式サイトなどで確認して欲しいと思いますが、例えば、変動金利タイプ<変動フォーカス>の金利は年0.29%と業界最安値水準とも言える低金利です。このキャンペーンにより、間違いなく注目すべき住宅ローンの1つになっていると言えます。
目次
以下は、楽天銀行の住宅ローン(金利選択型)の今月と来月の住宅ローン金利の一覧です。それぞれの月の金利水準の確認と金利の動向を把握するための参考情報としてください。
2016年に日銀が開始したマイナス金利政策は形を変えつつも継続していますし、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした経済活動を回復させるための金融緩和も日銀総裁が変わっても継続されています。
一方で、世界的なインフレが進んでおり、各国の中央銀行がインフレ抑制を目的とした利上げを行っています。日本の長期金利にも上昇圧力もかかっていて、長い目で見ると今の金利は十分低金利ですが世界的に金利が上昇傾向にあるので今後の金利動向に注意は必要です。
物価が急上昇し、雇用も急回復している欧州の先進国と比べると日本は賃金の上昇ペースが悪く、実体経済は明るくありません。その結果の1つとして、日銀は大規模な金融緩和を継続することを公表しています。
このような状況が続いた場合に有利な金利タイプは「変動金利」です。楽天銀行の住宅ローンは手数料が33万円(税込)で固定できるのは悪くはないのですが、変動金利の金利水準はちょっと中途な印象があるのと、審査の結果でかなり高い金利を提示される可能性があるのがデメリットです。
変動金利タイプの金利はauじぶん銀行の方が有利ですし、事務手数料などの初期費用はソニー銀行の住宅ローンが魅力的です。固定金利タイプの金利も低いとは言えないので、比較にはならないと思います。
このように、楽天銀行の住宅ローンに魅力がないわけではありませんが、審査の結果で金利が大幅に高くなる可能性があることも考慮すると、最初から楽天銀行1社に絞り込むことはおすすめしません。また、変動金利の低さや疾病保障サービスを考慮すると以下のようなネット銀行の住宅ローンもチェックしておくことをおすすめします。
がんと診断された時に住宅ローンの残高が半分になる”がん50%保障”に加えて、精神障害を除く全ての病気や怪我を保障する“全疾病保障”も無料でセットされるauじぶん銀行の住宅ローン。
金利が低いだけでなく、充実した無料の疾病保障サービスの魅力は他の住宅ローンとの競争から頭1つ抜け出しているとも言える状況で、申し込み先候補に加えておきたい住宅ローンです。今後、他のネット銀行が今後どのようにauじぶん銀行に対抗してくるかにも注目です。
ただし、楽天銀行の住宅ローンは、審査の結果で金利が最大で年0.65%高くなる可能性があります。0.65%の最大幅が上乗せされた金利が提示されることはあまり無いとしても、最優遇金利で借りられるとは限りません。また、年収基準も厳しいので審査によほどの自信がある人を除き、同時に他の住宅ローンへの申し込みの検討を進めておくことをおすすめします。
変動金利 | 特徴 | |
---|---|---|
auじぶん銀行 | 年HPご確認%(全期間引下げプラン)(※1) | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる保障とすべてのケガや病気を保障する全疾病保障が無料で付帯。保証料も無料(審査の結果で保証会社を利用することになった場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途支払う保証料はありません)。 |
PayPay銀行 | 年0.380%(全期間引下型) | キャンペーン適用金利。変動金利タイプの金利の低さに注目。 個人事業主・自営業、同族企業にお勤めの方は申込不可。 |
住信SBIネット銀行(WEB申込コース)※3 | 年0.320%(通期引下げプラン) | すべてのケガや病気を保障する全疾病保障が無料で付帯。保証料も無料。 |
住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面)※2 | 年0.320%(通期引下げプラン) | 通常の団体信用生命保険、全ての病気やケガに備える全疾病保障に加え、お借入時のご年齢に応じてガン診断時給付を含む3大疾病保障特約(50%)を基本付帯 |
SBI新生銀行 | 年0.420% (変動フォーカス) | 変動フォーカスの場合。すべてのケガや病気による介護保障が無料で付帯。 |
ソニー銀行 | 年0.447%※4 (変動セレクト) | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が1/2になる疾病保障が無料付帯。 |
イオン銀行 | 年0.430%(金利プラン) | イオングループでの買い物が5%引きになるサービスがセット。保証料も無料。2023年5月の適用金利。 |
2017年1月以降の楽天銀行の住宅ローンの金利推移は以下です。なお、この表では最優遇金利の金利推移となり、審査の結果で最大で年0.65%金利が上乗せされる可能性があるので注意してください。
変動金利 | 固定5年 | 固定7年 | 固定10年 | |
2023年6月 | 0.550% | 1.063% | 1.210% | 1.394% |
2023年5月 | 0.550% | 1.108% | 1.270% | 1.465% |
2023年4月 | 0.550% | 1.225% | 1.408% | 1.615% |
2023年3月 | 0.550% | 1.308% | 1.495% | 1.714% |
2023年2月 | 0.535% | 1.357% | 1.535% | 1.727% |
2023年1月 | 0.535% | 1.139% | 1.273% | 1.442% |
2022年12月 | 0.535% | 1.077% | 1.215% | 1.398% |
2022年11月 | 0.537% | 1.069% | 1.195% | 1.358% |
2022年10月 | 0.537% | 1.022% | 1.132% | 1.274% |
2022年9月 | 0.537% | 0.908% | 0.984% | 1.115% |
2022年8月 | 0.537% | 1.014% | 1.115% | 1.268% |
2022年7月 | 0.537% | 0.965% | 1.067% | 1.207% |
2022年6月 | 0.537% | 0.905% | 1.079% | 1.215% |
2022年5月 | 0.537% | 0.954% | 1.057% | 1.195% |
2022年4月 | 0.537% | 0.844% | 0.910% | 1.020% |
2022年3月 | 0.537% | 0.866% | 0.805% | 1.024% |
2022年2月 | 0.537% | 0.783% | 0.825% | 0.900% |
2022年1月 | 0.527% | 0.783% | 0.825% | 0.900% |
2021年12月 | 0.527% | 0.775% | 0.823% | 0.897% |
2021年11月 | 0.527% | 0.783% | 0.783% | 0.915% |
2021年10月 | 0.517% | 0.738% | 0.770% | 0.845% |
2021年9月 | 0.517% | 0.729% | 0.747% | 0.812% |
2021年8月 | 0.517% | 0.729% | 0.734% | 0.798% |
2021年7月 | 0.527% | 0.729% | 0.745% | 0.829% |
2021年6月 | 0.527% | 0.744% | 0.802% | 0.902% |
2021年5月 | 0.527% | 0.759% | 0.825% | 0.937% |
2021年4月 | 0.537% | 0.802% | 0.890% | 1.030% |
2021年3月 | 0.537% | 0.745% | 0.802% | 0.917% |
2021年2月 | 0.537% | 0.742% | 0.774% | 0.854% |
2021年1月 | 0.537% | 0.752% | 0.782% | 0.856% |
2020年12月 | 0.537% | 0.773% | 0.812% | 0.897% |
2020年11月 | 0.537% | 0.768% | 0.800% | 0.877% |
2020年10月 | 0.527%% | 0.780% | 0.817% | 0.896% |
2020年9月 | 0.527% | 0.830% | 0.866% | 0.944% |
2020年8月 | 0.527% | 0.801% | 0.836% | 0.916% |
2020年7月 | 0.527% | 0.840% | 0.875% | 0.957% |
2020年6月 | 0.527% | 0.832% | 0.849% | 0.912% |
2020年5月 | 0.527% | 0.851% | 0.883% | 0.966% |
2020年4月 | 0.527% | 0.685% | 0.710% | 0.751% |
2020年3月 | 0.527% | 0.802% | 0.834% | 0.917% |
2020年2月 | 0.527% | 0.868% | 0.916% | 0.988% |
2020年1月 | 0.527% | 0.867% | 0.912% | 1.005% |
2019年12月 | 0.527% | 0.869% | 0.926% | 1.025% |
2019年11月 | 0.527% | 0.759% | 0.807% | 0.915% |
2019年10月 | 0.527% | 0.808% | 0.845% | 0.938% |
2019年9月 | 0.527% | 0.754% | 0.784% | 0.879% |
2019年8月 | 0.527% | 0.814% | 0.844% | 0.947% |
2019年7月 | 0.527% | 0.785% | 0.834% | 0.939% |
2019年6月 | 0.527% | 0.825% | 0.903% | 1.014% |
2019年5月 | 0.527% | 0.825% | 0.904% | 1.020% |
2019年4月 | 0.527% | 0.848% | 0.910% | 1.043% |
2019年3月 | 0.527% | 0.863% | 0.919% | 1.048% |
2019年2月 | 0.527% | 0.870% | 0.960% | 1.092% |
2019年1月 | 0.527% | 0.920% | 0.983% | 1.112% |
2018年12月 | 0.527% | 0.970% | 1.049% | 1.197% |
2018年11月 | 0.527% | 1.012% | 1.099% | 1.242% |
2018年10月 | 0.527% | 0.992% | 1.070% | 1.204% |
2018年9月 | 0.527% | 0.982% | 1.060% | 1.198% |
2018年8月 | 0.527% | 0.947% | 1.005% | 1.120% |
2018年7月 | 0.527% | 0.965% | 1.029% | 1.152% |
2018年6月 | 0.527% | 0.957% | 1.018% | 1.139% |
2018年5月 | 0.527% | 0.925% | 0.983% | 1.097% |
2018年4月 | 0.527% | 0.934% | 0.998% | 1.120% |
2018年3月 | 0.527% | 0.954% | 1.024% | 1.144% |
2018年2月 | 0.527% | 0.944% | 1.107% | 1.143% |
2018年1月 | 0.517% | 0.918% | 0.982% | 1.098% |
2017年12月 | 0.517% | 0.918% | 0.979% | 1.087% |
2017年11月 | 0.517% | 0.932% | 0.995% | 1.099% |
2017年10月 | 0.507% | 0.915% | 0.979% | 1.081% |
2017年9月 | 0.507% | 0.915% | 0.990% | 1.081% |
2017年8月 | 0.507% | 0.928% | 0.999% | 1.112% |
2017年7月 | 0.507% | 0.902% | 0.968% | 1.091% |
2017年6月 | 0.507% | 0.902% | 0.968% | 1.244% |
2017年5月 | 0.507% | 1.074% | 0.933% | 1.071% |
2017年4月 | 0.507% | 0.845% | 1.018% | 1.071% |
2017年3月 | 0.507% | 0.845% | 1.007% | 1.071% |
2017年2月 | 0.507% | 0.845% | 0.948% | 1.071% |
2017年1月 | 0.507% | 0.845% | 0.990% | 1.071% |
※上記は金利選択型住宅ローンの最優遇金利。楽天銀行の金利選択型住宅ローンは審査によって実際の融資に適用される金利が異なることがあります。
次に住宅ローンの金利に大きな影響を与える指標の”長期金利の推移”を確認しておきましょう。
以下は三井住友銀行のホームページから引用した過去1年間の長期金利の推移を示したグラフです。
2022年に入り米国の強いインフレ、大幅な利上げ観測により長期金利が上昇しており、日本の長期金利もこれに連動し、6年ぶりの水準まで長期金利が上昇しています。メガバンクなどの10年固定金利はこうした影響でマイナス金利政策導入以前の水準に戻っています。
続いて楽天銀行の住宅ローンの商品性を確認していきます
ネット銀行の住宅ローンの多くは融資額の2.20%(税込)の事務手数料がかかります。また、メガバンクや地銀で住宅ローンの場合、保証料として融資額の2%程度がかかります。3,000万円の住宅ローンの場合、66万円(税込)以上のコストになっています。楽天銀行の金利選択型では一律330,000円(税込)となっています。住宅ローンを組む金額が小さい時にはメリットは少ないですが、3,000万円以上の融資であれば半額以下で済みます。これは楽天銀行の住宅ローンの大きなメリットの1つと言えます。
上記はメリットの1つではありますが、SBI新生銀行なら55,000円(税込)~、ソニー銀行なら44,000円(税込)の事務手数料しかかからない住宅ローンを提供しています。また、auじぶん銀行や住信SBIネット銀行の住宅ローンは楽天銀行の住宅ローンの金利よりかなり低く設定されています。
事務手数料も金利のバランスが良いという言い方をすることもできますが、どちらも中途半端な水準とも言えるので、他のネット銀行の住宅ローンとしっかり比較するようにしましょう。
同じ楽天グループの楽天生命を引き受け会社とした疾病保障が無料付帯されます。2018年7月までは8疾病のみを保障していましたが、2018年8月に全ての病気や怪我を対象とする全疾病保障に保障内容がグレードアップしています。また2020年1月29日からはがん50%保障も追加で付帯するサービス拡充を開始しています。
楽天銀行の金利選択型 住宅ローンには非自発的な失業を保障してくれる保障を付帯することが可能です。リストラ・倒産などの非自発的な理由で失業した際に、1回の失業に対し最長6ヶ月、住宅ローン借り入れ期間通産で36か月分まで毎月の住宅ローン返済相当額が保障されます。
住宅ローン借り入れ100万円辺り800円(年間)の保険料設定となっています。(3,000万円の借り入れであれば年間の保険料は800円×30=24,000円(年間)の保険料)
この失業保険は会社経営者、会社役員、個人事業主の方も加入できるのが特徴です。(これらの方は雇用保険に加入できないので楽天銀行の失業保険は大きな特徴と言ってよいでしょう)
保険引き受け会社はカーディフ損害保険となっています。
楽天銀行の金利選択型住宅ローンなら、借り換え時にリフォームを行うことが可能です。リフォーム資金を住宅ローンの一部として借りることが可能であるため、金利が割高なリフォームローンを利用する必要がありません。
楽天銀行の金利選択型を利用できる方は前年の年収が400万円からとなります。若干、他のネット銀行と比較しても審査基準が厳しいですね。年収400万円以上の人しか利用できないサービスレベルを提供している住宅ローンと考えるとメリットとして考えることもできます。年収条件を満たすのが難しそうな場合は、収入合算やペアローンの利用を合わせて検討するか、auじぶん銀行やイオン銀行のように年収制限の低い住宅ローンの利用を検討しましょう。
楽天銀行では、健康状態に不安を抱える人のために加入できる条件を緩和したワイド団信は取り扱っていません。持病を持っていたり、治療中の病気があって一般団信に加入できないと楽天銀行の住宅ローンの審査に落ちてしまいます。ネット銀行の住宅ローンでワイド団信を利用したいという場合、ソニー銀行やauじぶん銀行で取り扱っていますのでそれらの住宅ローンの利用を検討すると良いでしょう。
メリット①でご紹介した事務手数料が一律330,000円(税込)は一般的にはメリットですが、住宅ローンの借り入れ、借り換え額が1,500万円以下だと事務手数料2.20%(税込)の方が事務手数料が安くなります。特に住宅ローンの借り換えの場合、1500万円以下になることも多いと思います。その場合、auじぶん銀行、住信SBIネット銀行は事務手数料が2.20%(税込)で低金利の住宅ローンの方が総返済額を抑えられます。
最後にソニー銀行とSBI新生銀行の変動金利を利用した場合の総返済額の比較結果を紹介しておきます。以下は、変動金利タイプの住宅ローンで3,000万円の住宅ローンを返済期間・35年、元利均等返済で完済するケースを想定しています。
楽天銀行(金利選択型) | ソニー銀行 | SBI新生銀行 | |
変動金利(2023年5月) | 年0.550%~ | 年0.397%(変動セレクト・新規借り入れ自己資金10%以上時) | 年0.450%(変動フォーカス) |
事務手数料(税込) | 330,000円 | 660,000円 | 660,000円 |
月々の返済額 | 78,234円 | 76,517円 | 77,214円 |
総返済額 | 32,863,824円 | 32,141,377円 | 32,431,192円 |
総費用 | 33,193,824円 | 32,801,377円 | 33,091,192円 |
変動金利は将来的に金利が上昇する可能性がある金利タイプなので、この返済額が確定するわけではありませんが、上記の通り、SBI新生銀行が総費用を抑えられることがわかります。次点はソニー銀行となり、楽天銀行の住宅ローンは3番手という結果になりました。
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