2018年3月22日
2018年3月20日にみずほフィナンシャルグループと静岡銀行が住宅ローンや信託分野などで連携すると発表しました。
みずほフィナンシャルグループは2017年11月に2018年度中にも東北や中国、九州などで新規住宅ローン貸し出しから撤退すると発表していました。
今回の提携で発表されていた地域に先駆け、静岡エリアから撤退ということになりそうですね。
メガバンクをめぐっては住宅ローン以外にも店舗網、人員などでリストラの話が2017年から活発に報道されています。今回はメガバンクのリストラをめぐる動きを振り返りつつ、その理由も解説していきたいと思います。
年月 | グループ | 内容 |
2016年6月 | 三菱UFJ銀行 | 国債入札の特別参加者の資格を返上へを報道 |
2017年6月 | 三井住友銀行 | 4,000人を再配置し、本店に事務を集約と報道 |
2017年10月 | 三菱UFJ銀行 | 店舗を2割削減を検討と報道 |
2017年10月 | みずほ銀行 | 地方の住宅ローンサービスから撤退と報道 |
2017年11月 | 三菱UFJ銀行 | 23年度までに従業員6,000人削減と発表 |
2017年11月 | みずほフィナンシャルグループ | 店舗数を500から400に削減、26年度までに1万9,000人の人員削減を発表 |
2017年12月 | 三菱UFJ信託銀行 | 2018年3月で住宅ローンサービスから徹底と発表 |
公務員に次ぎ最も安定していると見られていたメガバンクがこうした大規模なリストラに動く最大の理由は、①人口減少によるマーケットの縮小②インターネットなどの普及③日銀のマイナス金利政策導入による利ざやの縮小があげられます。
まずは人口の減少です。少子高齢化が続く中ですでに人口減少社会に突入しており、店舗や人員などの多くの固定コストを有するビジネスはこれに対応を迫られています。特に銀行は社会的なインフラとしての位置づけがあり多くの固定コストをかけ事業展開をしています。
内閣府の予想では2050年に人口が1億人の大台を割るとしておりインフラ産業には大きな影響を与えると考えられます。
次にインターネットの普及ですが、私たちが子供のころ、現金を下ろすには銀行の支店に行く必要がありましたが、現在はコンビニにATMが置かれており銀行に行く回数も大幅に減っていると思います、またネットバンキングの普及で振り込みもネットで完結したり、クレジットカードを利用した決済もシェアを伸ばしています。実際に三井住友銀行では、来店者数が過去10年で約3割も減少しているとしています。
また銀行という業態をとってもインターネット専業銀行がさまざまな分野で攻勢を強め、ユーザーの支持を得ています。
最後にメガバンクに決定的なダメージを与えたのが日銀が2016年に導入したマイナス金利です。長引く低金利政策で金融機関の利ざやは低下傾向にありましたが、マイナス金利政策の導入で利ざや縮小が決定的となりました。下記はみずほフィナンシャルグループの決算資料から引用した貸し出しの粗利を示すデータです。2014年上期に0.82%あった中小企業向けの利ざやは、2017年第3四半期には0.63%へと25%ほど低下、大企業向けは0.59%から0.49%へと20%程度低下しています。金融機関この利ざやが粗利にあたるわけですので、短期間に20%以上も粗利が低下するのはかなり厳しい状況におかれているといってよいでしょう。
住宅ローンは長期間にわたり金融期間との取引につながりメインバンクとして利用される傾向が強いことから金融機関はこぞって住宅ローン獲得競争を繰り広げました。
住宅ローン金利の引き下げ、疾病保障の付帯、ネット住宅ローンの取り扱いなどを積極的に行ってきました。景気低迷に伴う低金利政策の影響で住宅ローン金利は低下の一途をたどるとともに、ネット専業銀行の攻勢でメガバンクや地銀などの住宅ローンは劣勢の状況となっており、金融機関から見ると住宅ローンサービスは儲からないサービスとなりつつあることが背景にあります。
2017年にはみずほ銀行だけではなく、三菱信託銀行も住宅ローンから2018年3月に徹底すると発表しています。
それだけ住宅ローン金利の低下が著しく金融機関は収益的に厳しい状況にあるといえます。逆に我々契約者からするとこの低金利を活用しない手は無いといえます。
みずほ銀行や三菱信託銀行で発表された住宅ローンサービスからの撤退という動きは拡大していくと考えた自然だと思われます。一方でメガバンクでは住宅ローンに関連した新しい動きも出ています。
銀行名 | 動向 |
三井住友銀行 | 2006年よりネット専用住宅ローンを提供 |
みずほ銀行 | 2015年よりネット専用住宅ローンを提供 |
三菱UFJ銀行 | 2016年1月よりグループのカブドットコム証券を通じてネット専用住宅ローンの提供を開始 |
みずほ銀行 | ネット完結型の住宅ローンの取り扱いを開始 |
みずほ銀行 | ソフトバンクグループとAIを活用した個人向け融資を開始、ソフトバンクの孫社長が将来的な住宅ローンサービスの活用にも言及 |
三井住友銀行やみずほ銀行では自行で既にネット専用住宅ローンの提供を行い、みずほ銀行はauじぶん銀行や住信SBIネット銀行に対抗しネット完結型の住宅ローンも提供を始めています。
今後のメガバンクや地銀の住宅ローンをめぐる動きはずばり「ネット対応、疾病保障などの付帯サービス、低金利のすべてを実現してネット専業銀行に対抗していくことだと思われます。
2018年3月現在メガバンクの変動金利は年0.60%台~年0.70台% 前後の金利を提示していますが、疾病保障(年0.2%程度の費用)が付いておらず別途保証料(年0.2%程度の費用)なども必要にあり、すべてを加味すると1%を越えることとなります。一方で、ネット専業銀行では疾病保障を付帯した上で、0.50%を下回る金利を提示しています。(※別途 事務手数料が年0.2%程度相当必要)。
変動金利 | 備考 | |
---|---|---|
auじぶん銀行 | 年0.434%(全期間引下げプラン・物件価格の80%以内で新規借り入れの場合) ・新規借り入れ(※1) | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる保障とすべてのケガや病気を保障する全疾病保障が無料で付帯。保証料も無料(審査の結果で保証会社を利用することになった場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途支払う保証料はありません)。 |
SBI新生銀行 | 年0.410% | すべてのケガや病気による介護保障が無料で付帯。 ※自己資金10%以上の場合 |
住信SBIネット銀行(WEB申込コース)※2 | 年0.448%(通期引下げプラン) | すべてのケガや病気を保障する全疾病保障が無料で付帯。保証料も無料。 |
PayPay銀行※4 | 年0.420%(全期間引下型・キャンペーン適用時) | 変動金利タイプの金利の低さに注目。 個人事業主・自営業、同族企業にお勤めの方は申込不可。 |
住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面)※3 | 年0.448%(通期引下げプラン) | 通常の団体信用生命保険、全ての病気やケガに備える全疾病保障に加え、お借入時のご年齢に応じてガン診断時給付を含む3大疾病保障特約(50%)を基本付帯 |
ソニー銀行 | 年0.647%(新規購入) (変動セレクト) | 2023年11月1日以降、物件の購入価格を超えて借り入れる場合は金利が年0.05%上乗せになります(新規購入時)。
がんと診断されるだけで住宅ローン残高が1/2になる疾病保障が無料付帯。 |
みずほ銀行ネット住宅ローン | 年0.375%~ | メガバンクのみずほ銀行がネット限定の低金利住宅ローンを提供中。50歳まで年0.1%の上乗せでがん団信に加入可能。 |
イオン銀行 | 年0.530%(金利プラン) | イオングループでの買い物が5%引きになるサービスがセット。保証料も無料。2024年12月の適用金利。 |
こうしてみるとネット専業銀行の住宅ローン金利が有利になっている状況です。またメガバンク最大手の東京三菱UFJ銀行が出資しているauじぶん銀行は2016年末から住宅ローンの契約がネットだけで完結する住宅ローンを扱うなど利便性でも一歩先を行っています。
今後もネット専業銀行とメガバンク・地銀、入り乱れての住宅ローン獲得競争に注目していきたいですね。
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