2024年10月19日
この特集ページでは、社長や代表取締役など、オーナーとして、または、役員として会社を経営をしている人の住宅ローン審査について解説しています。なお、一言で社長・役員と言っても東証プライムに上場しているような大企業の社長から、中小企業・同族企業を経営している社長までありますが、この記事は主に中小企業の経営者向けの内容です。
なお、国税庁が公表している令和元年度の日本の法人数は276万社(申告法人数・普通法人)です。1人で2社以上を経営していることも多いでしょうし、正確ではありませんが、単純計算で日本には250万人ぐらいの社長がいることになります。
目次
社長や経営者の場合、「法人の書類を大量に提出しろと言われることが多い」ので、基本的にサラリーマンが住宅ローンに申し込むよりもかなり手続きが面倒です。
審査の通りやすさ(必要書類)・金利・諸費用・審査・利便性などの様々な観点から総合的におすすめしたいのは、auじぶん銀行の住宅ローンとSBI新生銀行の住宅ローンとARUHIのフラット35です。
これらの住宅ローンは全く異なる商品性の住宅ローンで、おすすめ理由も違います。
auじぶん銀行の住宅ローンをおすすめする理由は「変動金利の低さ・がんに対する保障・入院保障※」の3点です。社長・経営者の方は「ビジネスで成功すること」に集中していますし、どうしても大企業で働く人と比べると福利厚生が充実していません。福利厚生の替わりとまではいいませんが、住宅ローンで病気やケガに対する備えをしっかりさせておくことは、社長や経営者の人にとって大切なポイントです。
SBI新生銀行の住宅ローンをおすすめする理由は「変動金利タイプの金利の低さと、審査基準(審査提出書類の少なさ)」のバランスの良さです。後ほど紹介するフラット35は審査基準の面、審査の通りやすさの面からおすすめですが、「固定金利タイプ」しか選べないという欠点があります。
SBI新生銀行の場合、会社の決算書も2期分提出するだけで良いですし、「附属明細書(勘定科目内訳明細書)を含むすべてのページ」を提出する必要もありませんので、民間銀行の住宅ローンの中では会社経営者が利用しやすく設計されています。
しかも今なら低金利キャンペーンを実施していますしぜひチェックしてみてください。
また、ARUHIをおすすめする理由は「相談しやすさ・審査基準・フラット35で最低水準の金利」の3つと提出する書類(会社の決算書の提出は原則不要)の少なさです。前述した通り、住宅ローンの審査においては決して有利な立場とは言えないため、審査が通りやすい住宅ローンを選択肢の1つに入れておくことも社長や経営者が住宅ローンを申し込む時の大切なポイントです。
他にもauじぶん銀行と同じぐらい保障が手厚いソニー銀行や、民間銀行の中でも審査に通りやすい傾向があるイオン銀行がおすすめです。これらの銀行は最新のオリコン顧客満足度ランキングでも上位にランクインしており、魅力の高さがうかがえます。
中小企業の場合、会社での立場(や収入)は「社長>役員>従業員(正社員)」だと思いますが、住宅ローンの審査では「従業員(正社員)>役員>社長」と判断されることが多くあります。例えば、社長や役員は通常の社員のように労働者として労働法で保護されることがありませんし、会社の業績が収入に直接的に影響することので、小さな会社だと社員よりも収入の安定性に欠けると判断されがちです。これれは住宅ローンの審査上は不利になります。
会社が経営難に陥ると社長は経営責任を問われます。会社の借り入れを個人で保障していることもあるでしょうし、会社の業績が個人の収入や家計に大きく影響します。会社の役員になっている人も社長ほどではありませんが同じです。他にも、社長や役員のような会社経営者は「雇用保険」対象外で、従業員(正社員)と比べて収入を維持しにくい側面もあります。
また、一般の社員であれば経営陣が変わっても同じ条件で仕事を続けられることも多いでしょう。減給されることはあっても、社長や経営者のように業績不振で更迭されるリスクはあまりありません。
これらが中小企業の社長・経営者が普通の社員よりも住宅ローンが利用しにくいと言われている理由の1つです。特に中小企業や歴史の浅い企業の会社役員・経営者は厳しく審査されることを最初から意識して住宅ローンを選ぶ必要があります。
例えば、PayPay銀行の住宅ローンは「家族経営の会社の社長」の申込みを最初から受け付けていません。PayPay銀行のように家族経営の会社で働く人からの申込を受け付けていないことを明示されていなくても、どの銀行も審査で厳しめに見ていることを忘れないようにしましょう。
社長や会社役員・経営者、特に中小企業を経営している人であれば、住宅ローン審査書類を確認しただけであれば、大半の人がフラット35を選びたくなると思います。自営業に近い小さな法人であればなおさらで、実際、筆者の周りの社長や会社役員はフラット35を利用している人が多くいます。
そもそも、民間銀行の住宅ローンは、そもそも中小企業の経営者の審査、特に中小企業の経営者に対する審査が厳しい傾向はあるのですが、提出書類も多く、例えば、3期分の決算書を勘定科目内訳書まで添付して提出する必要があります。フラット35の場合、決算書の提出は原則不要です。これを聞くだけでもフラット35にしようかなという気持ちになると思います。
決算書の提出が物理的に不要なので、手間がかからないというメリットがありますが、決算書の提出が不要ということは、万が一、会社が赤字でも住宅ローン審査に影響しないと考えることができます。
特に2020年から世界的なパンデミックとなっている新型コロナウイルスの影響で業績が芳しくない企業も増えていますが、経営する会社の決算書の提出が必要な民間銀行の住宅ローンと違って、特殊要因での赤字を含む会社の業績を気にしなくて済むのは大きなメリットです。
民間銀行の住宅ローンの場合、大量の書類を提出してもあっさり審査に落とされ、その理由も教えてもらえませんが、フラット35の場合、中小企業の経営者でも審査に比較的通りやすく、利用のしやすいのがフラット35が人気を集める大きな理由の一つです。
例えば、フラット35は個人事業主やパート・アルバイトでも利用することができるようになっています。これは、ビジネスとして提供している民間の銀行では実現しにくいことで、国が支援して、幅広い国民が優良な住宅を保有することを支援する目的があるフラット35だからこそ実現できていると言えます。
なお、基本的にはどの金融機関から申し込んでもフラット35そのものの審査基準は変わりませんが、書類の準備や住宅金融支援機構との交渉などの面では、最大手のARUHIから申し込むのがおすすめです。
このページの後半でもおすすめのフラット35を紹介していますが、同じフラット35を申し込むのであれば、少しでも条件のよい金融機関に申し込むようにしましょう。
「オリコン顧客満足度®」調査の住宅ローン版の最新結果が2024年8月に発表されました。
総合1位はソニー銀行の住宅ローンが獲得しました!2023年に1位を獲得していたソニー銀行が再び1位を獲得した形です。2位はauじぶん銀行の住宅ローンで、3位にイオン銀行、続いてSBI新生銀行と住信SBIネット銀行がランクインしています。
上位の銀行間の得点はかなりの僅差で、いずれも高い顧客満足度を得ていることがわかります。
中小企業庁のまとめによると日本国内の企業の廃業率はこの20年ぐらい年6%程度で推移しています。一方で新しく誕生した会社は全体の5%程度です。
100個の会社があったとするとそのうち5社が誕生したばかりの会社で、6社は廃業しているわけです。
バブル崩壊後は「開業数」よりも「廃業数」が常に上回っている状況で、会社は作るよりも維持するほうが難しいということがわかります。廃業手続きせずに実質的に営業していない会社も多数ありますので、実態はこれ以上に廃業していると考えてく必要があります。
これからの日本の中小企業は深刻な人手不足と高齢化社会の影響を受けて更に厳しい経営環境になります。人口が減る≒会社(社長)も減る。もちろん、1つ1つの会社の経営状況が同じわけではありませんが、「日本の法人全体」を取り巻く環境は決して良いわけではありません。
社長や会社経営者が住宅ローンの審査に通りにくいのは、会社を安定的に継続することの難しさが反映されている側面があります。
会社の役員になった人であれば認識しているはずですが、正社員・従業員の時に加入できていた「労災保険」「雇用保険」は会社役員になると入ることができなくなります。また、立場上、事業や商売の責任を取らされて即解任させられる可能性があります。
従業員として雇用保険に加入しながら働いている人は、その会社を離れた後に一定期間・一定割合の収入が雇用保険により守られますが、会社役員の場合はそのような保護を受けることができないわけです。
これは、東証一部などに上場する大企業の役員でも基本的な考え方は同じです。大企業の社長・役員でも業績が悪ければ株主に解任を求められる可能性があるためです。ただし、大企業の場合は退職金なども積みあがっていたりしますし、従業員として再雇用してもらえる可能性も高いので中小企業ほど厳しく審査されることはないでしょう。
昔に比べると個人保証を求められる機会は減っていますが、会社が軌道に乗るまでは代表者による個人保証がないとお金を借りられないことが多くあります。また、資金繰りが厳しくなった時に会社に個人のお金を貸して一時しのぎすることもあるでしょう。
普通の従業員なら経営状態が悪い会社を捨てて、他社に転職することもできますが、社長や会社役員はそう簡単にはいきません。
企業として安定していない中小企業の会社役員・経営者を取り巻く環境が、数千万円単位のお金を融資する金融機関の立場からするとどうしてもリスクが高い融資先にみえるわけですね。
特に設立したばかりで金融機関からの借り入れも多い会社の会社役員や経営者がメガバンクや人気のネット銀行の住宅ローンを利用するのはかなり難しいでしょう。
会社員の住宅ローンの審査では、勤め先の会社は審査に影響しますが、その経営資料の提出を求められることはありませんが、社長や会社役員の場合、個人の収入と法人の業績を示す書類を用意する必要があります。
特に「法人」の書類の提出は面倒です。一般的には3期分の決算書、しかも勘定科目内訳書まで提出が必要です。中小企業の社長や役員であれば誰もが面倒に感じるでしょうし、提出したくないと思うはずです。
準備する書類の種類が数が多いので、会社役員、経営者は書類準備に時間がかかることを想定して余裕をもって住宅ローン選びを行うように心がける必要があります。
必要書類 | 備考 |
住民票 | 原本 |
印鑑証明書 | 原本 |
健康保険証 | コピー |
運転免許証 | 無い場合はパスポートなど |
源泉徴収票 | 直近2年分 |
住民税決定通知書 | 直近2年分 |
確定申告書 | ※給与所得以外がある場合 |
一般的に以下の書類の提出を求められます。
必要書類 | 備考 |
法人の決算報告書 | 3期分(勘定科目内訳書を含む) |
法人税の納税証明書 | 3期分 |
法人税の事業税納税証明書 | 3期分 |
残念ながら、社長・代表者の場合、会社の決算書の提出が不要な住宅ローンはありません。しかも3期分の提出を求められることが大半です。
住宅ローンを利用したいだけなのに、3期分の決算書、しかも、勘定科目内訳書まで提出することに大きな抵抗感を持つ経営者の人は多いと思います。
しかも「提出しても住宅ローンの審査に落ちる可能性がある」のでなおさらです。
実は、住宅金融支援機構が提供するフラット35の場合、決算書の提出は原則不要、とされています。フラット35は民間の住宅ローンよりも審査に通りやすいことも社長・経営者に人気を集める理由ですが、提出する必要がある会社資料の少なさも社長・経営者にフラット35が選ばれる理由です。
また、フラット35は代表権のない役員の場合、会社の決算書の提出が不要となっています。これも会社経営者の人にフラット35が選ばれる大きな理由です。
住宅ローン審査において金融機関は「安定かつ継続した収入が見込めるか?」を重視するため、経営者の裁量に収入が依存する会社役員・経営者・社長に厳し視点で審査を行うのは仕方がないことと言えます。
そして、一般企業である銀行がそのリスクを受け止めきれないのは仕方のない側面もあります。
従って、会社役員・経営者・社長におすすめしたいのは「フラット35」です。フラット35は営利目的の民間銀行の住宅ローンと違って、1期分の決算書を提出するだけですみますし、パート・アルバイトでも審査に通ると言われている程、利用しやすい審査基準が設けられています。これは国が所管する住宅金融支援機構が提供している住宅ローンだからこそ実現できていると言えます。
事業性ローンも民間銀行よりも日本政策金融公庫の方が良い条件で貸してくれることが多いのに似ている関係とも言えます。
「社長専用住宅ローン」のような商品はありませんので、「社長・役員・経営者も利用しやすくて、金利やサービス内容が優れている住宅ローンを探す」ことが住宅ローン選びのポイントです。
「住宅ローンの審査には強くない」「大量の書類を提出しろと言われることが多い」など、想像以上に中小企業の経営者が住宅ローンを借りるのは難しく面倒なのですが、審査の通りやすさ(必要書類)・金利・諸費用・審査・利便性などの様々な観点から観点でおすすめとしてあげておきたいのはauじぶん銀行の住宅ローンとARUHIのフラット35です。
この2つの住宅ローンは全く似ていません。むしろ真逆とも言える住宅ローンで、auじぶん銀行の住宅ローンをおすすめする理由は「変動金利の低さ・がんに対する保障・入院保障※」の3点、ARUHIをおすすめする理由は「相談しやすさ・審査基準・フラット35で最低水準の金利」の3つと提出する書類(会社の決算書の提出は原則不要)の少なさです。この2つの住宅ローンは間違いなく選択肢に加えておくべき(少なくとも商品性を理解しておくべき)住宅ローンだと思います。
ARUHIは何年も連続でフラット35の取り扱い実績で1位を獲得し続けている住宅ローン専門の金融機関です。ARUHIは、国内最大のモーゲージバンクとして、全国にある店舗網と豊富な融資実績と商品ラインナップ(独自商品)が特徴。審査面でのサポートも非常に充実しています。
不慣れな住宅ローンの契約手続きや選び方をプロのスタッフがサポートしてくれるのは最大の強みです。
アルヒダイレクトはこちら:https://www.aruhi-corp.co.jp/service/direct/pre.html
たまに、「会社役員であることを隠して住宅ローンを申し込もう」と考える人がいますが、会社謄本(登記事項証明書)には、その会社の取締役の名前や住所が明記されていますので、経営者・役員であることを隠しても金融機関には簡単にばれてしまいます。
仮に申し込み時点でバレなかったとしても、後日判明して虚偽の申告をしていたと判断されるた場合、金融機関から住宅ローンの一括返済を求められるリスクもあります。
親が社長・経営者の息子が社員や役員として働いている場合、住宅ローン審査に不利と言われていますが、これは本当でしょうか。親が経営者である場合、同族経営企業という判断がさえ、金融機関は住宅ローン審査に慎重になるためです。息子さんが親が社長をしている会社に属しているということはいずれ、その会社を継ぐ、経営者という立場になる可能性が高いのでこれはいたし方ありません。
こうした場合には会社の決算書の提出が求められることが多いようです。
中小企業で実際の経営参加権を有していないのに取締役の肩書きを有する場合があると思います。こうした場合でも住宅ローン審査を行う金融機関では取締役として扱い審査を行うため慎重な判断が行われてしまいます。
役員は善管注意義務、忠実義務、競業避止義務などの各種義務、会社に対する損害賠償責任があり、肩書きだけの雇われ役員を引き受けている自体が極めて危険なことと言えます。
また、中小企業の場合には金融機関からの融資を受ける際に代表取締役(社長)の個人保証をつけることが前提となることも認識しておきたいと思います。
赤字が単年なのか、数年続いているのか、また累損が発生しているのか?など「赤字の状況」により住宅ローン審査結果は違ってくるでしょう。前項に記載した会社経営者・社長の役員報酬を含んでの赤字なのか?は極めて重要な判断材料となるでしょう。
また、節税のために、逓増定期保険、生命保険、オペレーティングリースなどさまざまな節税商品が世の中には出回っていますが、こうした商品の多くは何かしらの形で損金処理をし、利益を繰り延べするもので、利益が簿外に流れることになりますが、こうした御社の節税状況を住宅ローン審査を行う金融機関が理解・加味するのはあまり期待しないほうがよいでしょう。
ご自身がオーナーの会社を経営している場合、会社として社宅用意して済んでいるケースもあると思います。自由度が高い経営者の場合、社宅にするのか、個人でマイホームを買ってしまうのかを悩むことが多いので、ここで社宅とマイホーム購入のメリット・デメリットを簡単に整理しておきました
社宅 | マイホーム購入 | |
メリット | 家賃の70%程度を会社の損金とできる |
個人の資産としてマイホームの取得ができる 団体信用生命保険で生命保険と同じような備えができる |
デメリット | 会社で継続的に家賃支払いが継続する |
会社から個人に対して支払われる報酬(所得税や住民税を差し引いた後の所得)から住宅ローン返済する必要がある ローンや建物には会社とは関係ないので損金処理ができない |
今回は、会社役員や経営者、社長のための住宅ローンについて詳しく解説しました。記事で紹介した「auじぶん銀行の住宅ローン」「SBI新生銀行の住宅ローン」「ARUHIのフラット35」は、経営者でも利用しやすいプランとなっているので、各金融機関の公式サイトなどを確認し、ぜひ一度申し込みを検討してみてください。
以下は職業や働き方ごとにおすすめの住宅ローンや注意したい住宅ローン審査のポイントを解説した記事です。合わせて参考にしてください。
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