公開日: 2026年10月26日
中古住宅を購入するときは、物件価格だけでなく、入居前のリフォーム費用が必要になることがあります。
「壁紙や床を張り替えたい」「キッチンや洗面台を新しくしたい」と考えている場合、その費用をどう準備するかも考えておきたいところです。
フラット35では、2026年9月1日資金実行分から、中古住宅の購入とあわせて行う一定の簡易なリフォーム工事費用を、住宅の購入費用とまとめて借りられるようになりました。
また、中古住宅が一定の基準を満たしていれば、借入金利が一定期間引き下げられる「フラット35中古プラス」を利用できる場合もあります。
今回は、中古住宅の購入でフラット35を利用するときに知っておきたい2026年9月からの変更点や、フラット35中古プラス、フラット35リノベとの違いをわかりやすく解説します。
2026年9月1日の資金実行分から、【フラット35】で中古住宅を購入する際、対象となる簡易なリフォーム工事の費用もまとめて借りられるようになりました。
これまでは、壁紙やフローリングの交換、キッチンや洗面台の設置といった比較的小規模な工事費用を住宅購入費とまとめて借りるには、利用できる融資の仕組みが限られていました。今回の制度改正により、一定の条件を満たす簡易なリフォームであれば、【フラット35】の中古住宅融資に工事費用を含められるようになっています。
| 内容 | 金額 |
| 中古住宅の購入費用 | 3,000万円 |
| 簡易なリフォーム | 100万円 |
| 合計 | 3,100万円 |
たとえば、中古住宅を3,000万円で購入し、壁紙や水回りの交換に100万円かかる場合、条件を満たせば合計3,100万円をまとめて借りることができます。購入費用とリフォーム費用を別々に用意する負担を抑えながら、入居前に必要な工事を進めやすくなるのが今回の変更点です。
ただし、すべてのリフォーム工事が対象になるわけではありません。また、フラット35を取り扱う金融機関でも、この仕組みに対応していない場合があります。
対象となるのは、フラット35の適合証明の内容に影響を与えない簡易なリフォームです。
住宅金融支援機構では、例として次のような工事を対象にしています。
| 工事内容 | 対象 |
| キッチンの設置 | 〇 |
| エアコンの設置 | 〇 |
| 洗面台の設置 | 〇 |
| 照明の設置 | 〇 |
| 浴室乾燥機の設置 | 〇 |
| 換気扇の設置 | 〇 |
| ガス乾燥機の設置 | 〇 |
| フローリングの交換 | 〇 |
| 壁紙の交換 | 〇 |
| ドアノブの交換 | 〇 |
| 間取りの変更 | × |
| 断熱材の交換 | × |
| 太陽光発電設備の設置 | × |
| 柱位置の変更 | × |
ポイントは、中古住宅を購入するときに行うリフォームなら全てが借入対象になるわけではないということです。
壁紙やフローリングなどの内装交換、キッチンや洗面台などの設備設置は対象となりますが、柱の位置や間取りの変更、断熱材などの交換は、今回の簡易なリフォームには該当しません。工事内容は、契約書や注文書などで確認されます。
適合証明とは、購入する住宅が「フラット35」の定める技術基準を満たしていることを確認し、証明するものです。今回の簡易なリフォームでは、適合証明検査は工事前の1回のみで、リフォーム工事後に改めて適合検査を受ける必要はありません。
ただし、資金実行後は工事を行えばそれで終わりではなく、資金実行から2カ月後の月末までに、リフォーム工事費用の支払いが確認できる資料や、取得した住宅への入居が確認できる書類を提出する必要があります。
また、借入対象に含めた工事の一部または全部を実施しなかった場合は、実施しなかった工事費用に相当する金額を繰上返済する必要があります。
実際に行うリフォーム内容と費用を決めたうえで、借入額を考える必要があります。
今回の仕組みでは、中古住宅の購入費用に加えて、対象となる簡易なリフォーム工事の費用もまとめて借りられますが、この仕組みは、すべてのフラット35取扱金融機関で利用できるわけではありません。
フラット35を取り扱っている金融機関であっても、簡易なリフォーム工事費用をまとめて借りる仕組みに対応しているとは限らないため、注意が必要です。
中古住宅の購入とリフォームを予定している場合は、物件探しやリフォームの計画を進める段階で、利用を考えている金融機関に対応状況を確認しておきましょう。あわせて、リフォーム費用の借入条件や必要書類、申し込みの流れについても確認しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
購入する物件が決まってから利用できないとわかることを避けるためにも、中古住宅の購入費用とリフォーム費用をまとめて借りたい場合は、早めに金融機関へ相談しておくことが大切です。
中古住宅でフラット35を利用するなら、あわせて確認したいのが「フラット35中古プラス」です。
フラット35中古プラスは、一定の基準を満たした中古住宅を購入するときに、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。
2025年4月から適用が始まっており、2026年9月に新しく始まった制度ではありません。
「フラット35中古プラス」では、一定の基準を満たす中古住宅を購入すると、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。
ただし、中古住宅を購入すれば自動的に適用されるわけではありません。購入する住宅が中古プラスの基準を満たしている必要があります。
また、この制度には予算の上限があり、予算に達する見込みとなった場合は受付が終了します。住宅ローンの借り換えには利用できないため、中古住宅を新たに購入する際に確認しておきたい制度です。
フラット35中古プラスを利用するには、通常のフラット35(中古住宅)の技術基準に加えて、中古プラスの基準を満たす必要があります。
中古プラスでは、住宅の劣化状況なども確認されます。
たとえば、住宅の種類に応じて、
といった項目が確認されます。
マンションの場合は、一戸建てとは検査箇所が一部異なります。単に「築年数が新しい中古住宅だから対象になる」という制度ではなく、フラット35の中古住宅の基準に加えて、中古プラスの基準も確認される仕組みです。
中古プラスでは、一定の中古住宅について物件検査を省略できる場合があります。
対象となるのは、たとえば次のような住宅です。
| 対象となる中古住宅 | |
| 1 | 中古マンションらくらくフラット35の対象住宅 |
| 2 | 築20年以内で長期最良住宅の認定を受けている中古住宅 |
| 3 | 安心R住宅で新築時にフラット35を利用している住宅 |
| 4 | 築10年以内で、新築時にフラット35を利用している住宅 |
物件検査を省略する場合でも、所定の確認書などを取扱金融機関へ提出する必要があります。「検査を省略できる=何も確認せず中古プラスを利用できる」という意味ではない点には注意しましょう。
中古住宅を購入してリフォームする場合、もう一つ知っておきたいのが「フラット35リノベ」です。
フラット35リノベは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを行うことで、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。
2026年9月から始まった「簡易なリフォーム工事費用をまとめて借りる仕組み」とは異なります。
違いを整理すると、次のようになります。
| 簡易なリフォーム | フラット35リノベ | |
| 主な目的 | 工事費用と購入費用をまとめて借りられる | 一定のリフォームを行い金利下げを行う |
| 壁紙・フローリングの交換 | 〇 |
リノベ要件を別途確認 |
| 間取りの変更 | × | 内容・要件による |
| 工事後の適合証明検査 | 不要 | 不要 |
| 断熱材の交換 | × | リノベの条件による |
| リノベによる金利引き下げ | × | 〇 |
今回の簡易なリフォーム工事費用を借入対象にしただけでは、フラット35リノベ(リフォーム一体タイプ)の金利引下げは適用されません。
フラット35リノベでは、一定の要件を満たすリフォームを行うことに加えて、中古住宅の維持保全に関する措置なども必要です。
フラットリノベ35には、金利Aプランと金利Bプランがあります。
2026年10月時点で公表されている金利引き下げは次のとおりです。
| プラン | 金利引下げ期間 | 金利引下げ幅 |
| 金利Aプラン | 当初5年間 | 年▲1.0% |
| 金利Bプラン | 当初5年間 | 年▲0.5% |
ただし、どちらを利用できるかはリフォーム後の住宅性能や工事内容などによって異なります。
「リフォームをするから金利が下がる」というわけではないため、予定している工事がどの要件に該当するのかを確認する必要があります。
フラット35中古プラスとフラット35リノベは、条件を満たせば併用できます。
中古プラスは中古住宅の劣化状況など一定の基準を満たすことで金利引下げを受ける仕組み、フラット35リノベは一定のリフォームなどの要件を満たすことで金利引下げを受ける仕組みです。
それぞれの適用条件を満たす場合は、金利引下げメニューを組み合わせられます。
一方、中古プラスはフラット35維持保全型の「インスペクション実施住宅」とは併用できません。
フラット35には複数の金利引下げメニューがあるため、利用できる制度を一つずつ確認するのではなく、組み合わせられるものがないか確認してみましょう。
中古住宅でフラット35を利用するときは、まず購入する住宅がフラット35の対象になるかを確認することが基本です。
「簡単な内装や設備工事もしたい」
→ 簡易なリフォーム工事費用をまとめて借りられるか確認
「中古プラスの基準を満たす住宅を購入する」
→ 中古プラスによる金利引下げを確認
「住宅性能を高めるようなリフォームをする」
→ フラット35リノベを確認
というように、購入する住宅やリフォーム内容に合わせて制度を確認すると整理しやすくなります。
特に2026年9月からは、壁紙やフローリングの交換、キッチンや洗面台などの設置といった簡易なリフォーム工事費用も、条件を満たせば中古住宅の購入費用とまとめて借りられるようになりました。
中古住宅の購入を考えている場合は、物件価格だけでなく、入居前に必要な工事まで含めて資金計画を立てておきたいところです。
フラット35では、2026年9月からの資金実行分から、中古住宅の購入とあわせて行う一定の簡易なリフォーム工事費用をまとめて借りられるようになりました。
壁紙やフローリングの交換、キッチンや洗面台などの設置が対象工事として例示されています。
一方で、間取りの変更や、床面積の増減、断熱材の交換などは今回の簡易なリフォームには該当しません。また、一定の基準を満たす中古住宅なら、フラット35中古プラスによって当初5年間、年0.25%の金利引下げを受けられる場合があります。
さらに、一定のリフォームを行う場合にはフラット35リノベという選択肢もあります。
中古住宅でフラット35を利用するときは、「住宅の購入費用はいくらか」だけでなく、「入居前にどんな工事が必要か」「中古プラスの対象になるか」「リノベの条件を満たすか」まで確認して、利用できる制度を整理しておきましょう。
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