公開日: 2026年10月14日
長年、住宅ローンといえば、最長で35年というのが一般的な認識であったため「住宅ローンは定年までに完済できるもの」と考えている方は少なくないかと思います。
しかし、近年では金利の上昇や住宅価格の高騰などが影響で、40年~50年かけて返済する「超長期住宅ローン」を選択する人が増えてきました。
超長期住宅ローンは毎月の返済額を抑えられるというメリットがある一方で、定年後も住宅ローンの返済が続くというデメリットもあります。老後に住宅ローンが残っていると、どのような問題が起きてしまうのでしょうか。
この記事では、定年後の住宅ローン返済で起こりやすい問題をまとめました。
老後に向けてどういった点を注意して将来準備したらいいのか、返済に余裕がある今のうちにしっかりと考えていきましょう。
近年、住宅価格が上昇していることをうけて、住宅ローンの返済期間も40年・50年と長期になりつつあります。返済期間を長く設定することで毎月の返済額を一定の範囲に抑えることができるため、返済以外にも教育費や投資に資金を回したいという人たちに幅広く支持を得ているようです。
ただ一方で、返済期間が長くなることで完済時の年齢も高齢になるという問題が出てきます。
例えば、30代で超長期住宅ローンを組めば、完済時の年齢は80代です。40代に組めば完済時は90代になります。「住宅ローンを組んだ時は問題なく返済できると思っていたが定年後もローンが残ってしまって生活が苦しくなる」という事態は、今や誰にでも起こりうる無視できない問題となりつつあるのです。
超長期住宅ローンを選択する人も少なくない中で、今後住宅ローンを組む際は定年後(老後)の住宅ローン計画も頭に入れて計画を立てなければいけません。では、実際に定年が訪れた際、または老後生活に移行した際に起こりやすい住宅ローン問題を見ていきましょう。
定年後の住宅ローン返済で最も注意したいのが、収入の減少です。
現役時代であれば普段の給与収入から問題なく返済できるかと思いますが、定年後は年金や再雇用による収入が中心となります。現役時代と同様にフルタイムで働けたとしても、同じ収入を長く維持できるとは限りません。
一方で、そういった事情があったとしても住宅ローンの返済額は基本的に変わることがありません。この収支のバランスが崩れることで「現役時代には無理なく返済できていたのに定年後に家計を圧迫してしまう」といった問題が出てきてしまいます。
住宅ローンを組む際は、現役(現在)の年収だけでなく、定年後の収入まで含めて返済計画を考えたいところです。
定年時に住宅ローンが残っている場合、「定年時の退職金で一括返済すればいいだろう」と考える人もいるかもしれません。
確かに、福利厚生がしっかりとした会社に長年勤めていたのであれば、退職金もそれなりの額になっているはずです。その退職金でローンを完済すれば、当然その後の返済負担はなくなるでしょう。
しかし、退職金は老後の生活を支えるための重要な資金でもあります。
例えば、退職金が1,500万円だったとして、住宅ローンの残高が1,000万円だった場合、手元に残るのは500万円です。住宅ローンを完済できたとしても、老後はその500万円で生活費を賄う必要があります。
「退職金で完済すること」だけを目標にするのではなく、完済後にどれだけ老後資金を残せるかまで考えることも返済計画を立てる上では大切です。
変動金利型の住宅ローンを利用している場合、今後起こりうる金利上昇の可能性も頭に入れておかなければいけません。
特に定年後になると上記で説明した通り収入が減ってしまうので、現役時代よりも金利上昇の影響を受けやすくなります。
住宅ローンを借りる際は「この金利なら返済できる」と現在の金利だけを見るのではなく、金利が上昇した場合でも老後まで返済を続けられるかをシミュレーションなどで確認しておきましょう。
住宅における住宅費は、何も住宅ローンだけとは限りません。
例えば戸建て住宅であれば、外壁や屋根、給湯器などといった経年劣化による修理・修繕・買い替え費が必要となる場合があります。また、マンションの場合も管理費や修繕積立金、建物によっては大規模修繕に伴う追加負担などが発生する可能性も捨てきれません。さらに、住宅を購入すれば固定資産税も毎年必要となってきます。
こういった住宅の維持に関する費用は、ちょうど定年間際で次々と出てきがちです。定年後の住宅費を考える際は、住宅ローン+固定資産税+修繕費+管理費をまとめて考えておきましょう。
住宅を購入する際は、その時の家族構成や生活スタイルに合わせた基準で選んでいたかと思います。
ただ、老後になると下記のような理由で現在の生活スタイルに合わなくなってしまうことがあります。
現役時代だと、より快適に過ごせるように引っ越すという選択も可能ですが、老後となると収入が減る中でも住宅ローンや生活費にお金がかかるため、「住宅ローンがが残っていて引っ越せない」といった問題も起きる可能性もゼロではありません。
住宅ローンはいわば「家を買うための借金」です。家を購入する際は、「老後もずっとここに住むのかどうか」という点まで考えておきましょう。
こうして老後のことを考えると、住宅ローンに関する様々な問題が見えてくるかと思います。それなら、必ず定年までに完済すれば老後の生活は安定するのでしょうか?
例えば、住宅ローンの金利が低く、資金も老後まで十分に確保したうえで無理なく返済できているのであれば、急いで繰上げ返済する必要はありません。そこで資金がたくさんあるからといって慌てて繰上返済を行うと生活費が確保できなくなり、却って生活が苦しくなってしまう可能性があります。
ただ、シミュレーションをした結果、老後の収入や年金だけで返済が難しくなること予想できるのであれば、現役時代から繰上返済や借り換えなどを検討しておく必要があります。
このように、定年までに完済させれば確実に安定した老後の生活が手に入るとは限りません。「何歳までに完済するか」ばかりを重視せず、老後の家計でも無理なく返済できるように借入れの段階で細かく計画を立てておきましょう。
それでも「退職金を使って住宅ローンを一括返済したい」という人はいるかと思います。ただ、退職金を住宅ローンに充てる際は、少なくとも以下の点は確認しておかなければいけません。
特に、老後になると現役時代と比べて医療費や介護費が増える傾向にあります。さらに、住んでいる住宅も築年数が経過することで屋根や外壁、給湯器や水回りなど大規模な工事を要する修繕が必要となるかもしれません。
一括返済を計画する際は、完済した後もこういった費用が発生するということを考えて資金を確保するようにしたいところです。もし、計画の時点で「一括返済に充てると資金がなくなる」と分かったのであれば、無理に一括返済を行わずにコツコツと返済していきましょう。
超長期住宅ローンを組んで定年後に住宅ローンが残った場合、金利や返済条件によっては住宅ローンを借り換えるという手もあります。
ただし、借り換えをする際は諸費用がかかるほか、年齢や収入などによって借り換えできる商品が限られる場合もあります。借り換えを検討する際は、現在の住宅ローンと借り換え後の条件をしっかりと比較して負担を抑えることができるかどうか判断するようにしましょう。
また、住宅ローンの残高が大きいものの、現在の住宅に住み続けるメリットや必要性が低いという場合は、思い切って住宅を売却して住み替えるという方法もあります。
この場合は「住宅の売却代金で住宅ローンを完済できるかどうか」という点が重要なポイントになります。もちろん、売却してしまえばその住宅には住めなくなってしまうので、売却後に住み替える予定の住居費も含めて慎重に判断したいところです。
老後の住宅資金を考える中で、近年ではフラット35でおなじみの住宅金融支援機構が「リ・バース60」という住宅ローンを各金融機関と連携して提供しています。
「リ・バース60」とは、満60歳以上の人を対象としたリバースモーゲージ型の住宅ローンです。
住宅や土地を担保にして借り入れる住宅ローンで、毎月の支払いは利息のみ。元金は契約者が亡くなったときに相続人が一括返済するか、担保になっている住宅・土地を売却して返済する仕組みとなっています。
リ・バース60の大きな特徴は、毎月の支払いを利息のみに抑えられることです。
通常の元利金返済型住宅ローンと比較して、毎月の返済負担を抑えやすくなります。
ただその一方で、毎月返済するたびに元金そのものが減っていくという住宅ローンではありません。契約者がなくなった後に住宅を売却するにしても、売却価格だけで残債をすべて返済できるかどうかという問題は出てきます。
また、リ・バース60(リバースモーゲージ)にはノンリコース型・リコース型の2種類があり、返済義務の有無や金利など、どちらを選ぶかによって大きく変わってきます。ノンリコース型は、担保物件の売却後に債務が残った場合でも相続人がその不足分を返済しなくてもよいという仕組みですが、その条件は金融機関によって様々です。
そのため、リ・バース60の利用を検討する際は、下記の内容について事前に確認しておきましょう。
【リ・バース60のチェックポイント】
老後の住宅ローン問題は、ほとんどの人が定年を迎える前後に対策するものだと考えるかもしれません。しかし、定年後に老後の住宅ローン問題にぶつかって慌てないためにも、実際には住宅ローンを組む前からしっかりと対策をする必要があります。
ただ、若いうちから老後を想像するというのはなかなか難しいことでもあります。なので、住宅ローンを組む際は以下のポイントを参考にして老後の生活をシミュレーションしてみましょう。
住宅ローンを組む際は、借入開始時期から計算して定年した頃にどのくらい住宅ローンが残るのか、シミュレーションしておく必要があります。
特に、40年・50年の超長期住宅ローンを考えている方は「完済年齢」だけでなく、60歳・65歳・70歳と年齢を重ねた時点で住宅ローンがいくら残るのかしっかりと確認しましょう。
今の収入だけで借入金額を決めるのではなく、定年後に年金だけになった場合や再雇用で収入が減った場合でも返済できるかどうか、住宅ローンを組む前から考えておきたいところです。
老後は返済だけでなく、生活費や介護費・医療費などにもお金がかかっていきます。
退職金を住宅ローンに充てる際も、退職金をどのくらい充ててどのくらい残すか、また残った退職金はどのように使うかは事前に計画を立てておきたいところです。
完済のことばかりを気にして後先を考えずに退職金を全額返済に充ててしまう・・・といったことがないように気を付けましょう。
変動金利で住宅ローンを申し込む場合は、将来金利が上昇した時のことも視野に入れておきましょう。
金利が上昇した場合でも返済を継続できるかどうか確認し、無理のない借入額に設定することが大切です。
住宅を購入する際はこれからの返済計画や生活費だけではなく、最終的に住宅を将来どうしていくかも一緒に考えて計画を立てておきたいところです。
70代や80代になっても住み続けるのか、将来的に売却して手放すのか、早い段階で考えて対策を練ることで老後を迎えた時も焦ることなく手続きすることができるでしょう。
住宅価格の高騰により、住宅ローンの返済期間は長期化しつつあります。
40年・50年の超長期型住宅ローンは毎月の返済額を抑えられる一方で、老後まで返済が残ってしまうという問題があります。だからといって、長期ローンそのものが必ずしも悪いというわけではありません。
これからの時代の住宅ローンは、「何歳で完済するか」だけを見るのではなく、返済しながら老後の生活を無理なく維持できるかどうかを、早い段階で考えことが重要です。
住宅ローンを組む際は、定年後も返済できるか、退職金をどれだけ残すか、老後資金はどれだけ残せるか、将来も今の家に住み続けるか、なども含めた返済計画を立てておきましょう。
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