2024年11月16日
マイホームを購入する際には、住宅ローンを利用する方が多いです。
しかし、住宅ローンは誰でも組めるわけではなく収入状況によってはローンが組めない場合もあります。
そのような時に検討するといいのが、夫婦や親子で共同して住宅ローンを組む「ペアローン」という方法です。最近では共働き世帯が増え、「ペアローン」の利用が増えていると言われています。
住宅ローンを夫婦それぞれで組んで1つのマイホームを購入する住宅ローンのペアローン。この記事ではペアローンのメリット・デメリットをまとめています。特にペアローンと比較されることの多い収入合算との違いについても解説したいと思います。
記事前半ではペアローンのメリットやデメリットに触れ、後半でペアローンに対応しているおすすめ住宅ローンを紹介しています。
目次
ペアローンとは、夫婦などがそれぞれ別の住宅ローンを契約して1つの家を買う方法です。最近は、夫婦以外でも、兄弟や親子やLGBTカップルなど、生計を共にする関係性であれば幅広いペアで利用できるようになってきました。
2人がそれぞれの収入を基準に住宅ローンを組むことになるので、1人では借りられない金額の借り入れができるのが最大のメリットです。その一方で、死別や離婚時などにトラブルになることもあったり、マイホームを売却することになった時の手続きが煩雑になる、(出産・育児休暇・病気などで)一方の収入が途絶えたときに急激に返済負担が高まってしまうなどのデメリット・リスクもあります。
※ペアローンのイメージ。SBI新生銀行の公式サイトより
次にペアローンのメリットとデメリットを具体的に確認していきたいと思います。
ペアローンにはメリットもありますが、デメリットもあります。のちのち、後悔することにならないようにしっかり確認しておきましょう。
住宅ローンの借入可能額は年収や返済負担率に応じて決まります。つまり、収入が飛躍的に増えたりしない限り借りられる金額が大きく増えることはありません。
頭金を増やせればよいですが、住宅ローンで借りられるお金と購入できる家の値段は基本的には比例するので、住宅ローンの借入可能額が足りず、希望する家を買えない可能性があります。
そのようなケースで足りない分を、もう1人が別に住宅ローンを契約する(ペアローン)ことによって補うことができれば、希望する家を買えるようになるというメリットがあります。
※どちらか一方、例えば、配偶者が妊娠して、育休・産休の時もそれまでと変わらないように住宅ローンを返済する必要がありますので、そのようなケースに困ることが無いようにしっかりと返済計画を考えるようにしましょう。
ペアローンは住宅ローンの契約を2本結ぶことになります。今の住宅ローン控除の制度では2人とも住宅ローン控除を利用することができます。状宅ローン控除は1人でも大きなメリットがありますが、それが2人分利用できるのは、実際に住宅ローン控除を利用し始めると想像以上のメリットだったと感じることでしょう。
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡したり、高度障害状態となった場合に保険金が支払われて住宅ローン残高ゼロになる生命保険です。
住宅ローンを組むには原則として団信に加入する必要がありますが、二人で住宅ローンを組むケースでは、どちらか1人が保険金支払い条件を満たした時に支払われる保険金はその1人分のみなので、住宅ローン残高がすべて無くなるものではありません。
ペアローン利用時でも住宅ローンの残債が残らないようするための商品に「デュエット(夫婦連生団信)」というものがあります。デュエット団信を利用することで、どちらか一方に万が一のことあった場合に、2人分(全額)の住宅ローン残高をゼロにすることができます。
ペアローンは2本の住宅ローンを組むことが必要であるため、印紙代、司法書士に関する費用、各種登記に関する費用などが2倍かかることとなります。また、事務手数料に最低ラインが決められている場合には多くの費用が必要となります。
たとえば、最低事務手数料を220,000円(融資額の税込み2.20%)の住宅ローンを使ってペアローンを組む場合で考えてみましょう。2,000万円の住宅を買うために、1000万円ずつのペアローンを借りた場合でも1人あたりの事務手数料は220,000円(税込)となります。
2人で合計440,000円(税込)の事務手数料となりますが、これは1人で借りた場合も同じです。ところが、印紙代、司法書士に関する費用、各種登記に関する費用は2人分必要になりますので、1人で借りた場合よりも高額になります。
ペアローンはお二人で住宅ローンを返済していく必要があるため、産休・育休中の収入減を想定して、住宅ローンを組む必要があります。また、産休・育休後に職場に戻らない際は、収入減が一時的ではなくなるので注意したいですね。
ペアローンを利用し住宅ローンを組むということは住宅ローン完済時もしくはそれに相当する長期間にわたり夫婦共働きであることを前提に住宅ローンを借りることです。これは共働きを前提にした住宅ローン借入を行い、それに応じた月々の住宅ローン返済をしていかなければならないということを意味します。
住宅ローンを問題なく返済していくために、なかなか妻が退職できない状況になるという点覚悟をしておくようにしましょう。
考えたくは無いことですが、日本の離婚率は35%に及び平成27年度には22万組もの夫婦が離婚をしています。ペアローンを利用していると、離婚時にマイホームをどのように扱うかの火種になる可能性があります。
マイホーム売却して得た資金で住宅ローンを完済できればいいですが、売却しても住宅ローンが完済できない場合、離婚した後の新居に関わる費用を工面しながら、残った住宅ローンを払い続けなければならないという状態になる可能性すらあります。
ペアローンを組んでいるとこのような離婚後のマイホームの処理や経済的負担の調整が難解になりがちです。
ペアローンは2人で住宅ローンを組むため、同時に2人が住宅ローン審査に通る必要があります。1人だけ住宅ローン審査に通った場合、希望する金額を借りられない可能性が高まりますので、2人とも、転職・休職など住宅ローンの審査に影響するような行動は注意するようにしましょう。
ペアローンを取り扱う金融機関の多くでは同じペアで同じ銀行の住宅ローンを利用することを条件としています。違う銀行の住宅ローンをペアとすることはできません。
どちらかが住宅ローンの審査に苦戦する可能性が高い場合、その一方の人でも利用できそうな住宅ローンを申し込み候補に加えるようにしましょう。
次にペアローンと収入合算の違いを解説したいと思います。
ペアローン | 収入合算(連帯保証タイプ) | |
契約 | 2本の契約を結ぶ | 1本の契約を結ぶ |
諸費用 | 2倍かかる | 通常の住宅ローンと同じ |
団信 | それぞれで団信に加入が可能 | 契約者のみが団信の保障の対象となる |
メリット | お互いに住宅ローン控除が使える | 1人で借りるよりも多くの金額を借りられる |
デメリット | 2人とも住宅ローン審査に通る必要がある | 住宅ローン控除が契約者分のみ利用できる |
ペアローンに向いてる人
・夫婦ともに安定した収入がある
・しっかりとローンを返済できる見込みがある
・夫婦の収入が同程度
・団体信用生命保険に夫婦どちらも問題なく加入できる。
収入合算に向いてる人
・一方の収入が高く、もう一方の収入が不安定
・将来的に収入が減少する可能性がある
・片方がパートやアルバイトなど、安定した収入が少ない
次に3,000万円のマイホームを1,500万円ずつでペアローンを組んだ際の諸費用を計算してみたいと思います。ペアローンの比較に利用してみてください。
銀行名 | 一人あたりの事務手数料 | 合計の事務手数料(保証料※) | 備考 |
ソニー銀行 | 44,000円(税込)~ | 88,000円~(税込) | 変動セレクト・固定セレクトの場合は左記とは異なります |
アルヒ | 330,000円(税込) | 666,000円(税込) | 最低事務手数料220,000円(税込) |
住信SBIネット銀行 | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
SBIマネープラザ | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
auじぶん銀行 | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
SBI新生銀行 | 55,000円(税込)~ | 110,000円(税込)~ |
次に3,000万円のマイホームを1,500万円ずつでペアローンを組んだ際の登記関連費用をまとめてみました。
ペアローンにより登記費用で2倍かかる項目は司法書士の報酬と収入印紙代となります。
銀行名 | 一人あたりの登記関連費用 | 合計の登記関連費用 | 備考 |
登記費用(司法書士の報酬) | 約8万円 | 約16万円 | |
収入印紙 | 2万円 | 4万円 | auじぶん銀行、ソニー銀行なら無料 |
抵当権設定登録免許税 | 抵当権設定額の0.1%~0.4% | 抵当権設定額の0.1%~0.4% | 条件をクリアすると0.1% |
不動産取得税 | 0円~数十万円 | 0円~数十万円 | |
固定資産税 | 3万円~8万円程度 | 3万円~8万円程度 |
渋谷区のパートナーシップ制度導入以後、金融機関でも同性カップルでもペアローンを利用できる導入するケースが増えています。詳細な記事を当サイトでも用意しています。(LGBTに対応した住宅ローンを一覧形式で紹介/広がる金融機関での対応を一読ください)
下記、2024年9月現在で同性カップルでペアローンが利用できる主な金融機関です。(当サイト調べ、対応銀行はぞくぞくと増えています)
銀行名 | 特徴 |
ソニー銀行 | ペアローンに対応 |
住信SBIネット銀行 | 収入合算も利用可能 |
みずほ銀行 | 収入合算も利用可能 |
三井住友銀行 | 連帯債務型住宅ローンに対応 |
SBIマネープラザ | 収入合算も利用可能 |
三井住友信託銀行 | 収入合算も利用可能 |
auじぶん銀行 | ペアローンや収入合算に対応 |
パートやアルバイトで利用できる住宅ローンはフラット35に限られます。
フラット35は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して取り扱う全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35の審査基準は一般的な金融機関とは少し異なる為、雇用形態にかかわらず申し込むことができます。
フラット35には変動金利タイプや当初固定金利タイプはありません。借入期間中の金利を完全に固定する長期固定金利タイプの住宅ローンのみが提供されています。また、金利優遇制度が充実していると共に、最大50年借り入れ可能なフラット50という商品も提供されていますので、ご自身の状況に合った商品を選ぶこともできます。
フラット35はペアローンを取り扱っていませんが、収入合算には対応していますので、収入合算とペアローンの違いを理解したうえで、フラット35に利用を検討するのも検討されてはいかがでしょうか。
フラット35を低金利で利用したい人はARUHI がオススメです。
ARUHIは11連続でフラット35の取り扱い実績が1位を獲得している最大手の住宅ローン専門の金融機関です。ARUHIの特徴は、全国の店舗で専門のスタッフにじっくりと相談しながら住宅ローンを申し込めることで、対面サービスで契約手続きをサポートしてもらえます。
多くの銀行・金融機関では別銀行・別金融機関でペアローンを組むことはできず、同一の銀行・金融機関で住宅ローンを組むことが前提となります。
このため、お二人の年収の低い方に合わせた銀行・金融機関選びが必要となります。たとえば年収500万円の夫と年収300万円の妻の場合、住宅ローン審査基準の年収基準が400万円以上としているソニー銀行には住宅ローン審査申し込みができないこととなります。
結論としてはペアローンに切り替えるのは難しいでしょう。単独ローンとして借りている状態からペアローンに分割したい夫婦は、配偶者に物件の一部を譲渡し、その譲渡の資金を銀行からの住宅ローンで借り入れ、物件の名義と住宅ローンの借主を同一にする作業をしなければなりません。
また、親族間での住宅の譲渡は住宅ローン減税の対象外なので、減税目的で変更することは意味がありません。
楽天銀行(フラット35) | auじぶん銀行 | SBIマネープラザ |
住信SBIネット銀行 | イオン銀行 | ソニー銀行 |
SBI新生銀行 | 三井住友銀行 | みずほ銀行 |
三菱UFJ銀行 | 三井住友信託銀行 |
※上記はあくまで一例ですので、ローン申込の際は必ず各金融機関に確認をお願いします。
ペアローンを利用することで、理想のマイホームを購入できる可能性はかなり高まります。しかし、ペアローンでめいっぱいの金額の借入をすると、少しでも収入が減少した際に、返済が苦しくなってしまいます。
育児、介護、転職、退職などによる収入減少の時期があっても家計が耐えられるのかをよくシミュレーションしておきましょう。
また、収入合算を利用する際には、連帯債務者または連帯保証人に、連生団信または生命保険による死亡保障を付けることも検討しましょう。
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