公開日: 2026年7月26日 更新日: 2026年7月28日

20代〜40代の頃は社宅制度や転勤などの理由で「賃貸派」だった方が、50代に入って「老後も安心して暮らせる住まいを確保したい」とマイホーム購入を検討する、というケースは少なくありません。
50代になってから住宅ローンを利用するとなると、「この年齢でも住宅ローンは組めるのだろうか」「老後までにきちんと返済できるのだろうか」と不安に感じるかもしれません。しかし、自己資金や定年後の収入を踏まえた資金計画をしっかり立てていれば、50代からの住宅ローンでも遅すぎるということはありません。
住宅ローンの審査では年齢の上限も重視されますが、勤続年数や年収などさまざまな審査項目から総合的に判断されます。収入が安定し、ある程度の貯蓄がある50代の方であれば、審査上も十分に住宅ローンを利用できます。
この記事では、50代で住宅ローンの利用を考えている方に向けて、審査・団信・借入可能額・借り換えの注意点を、家計に寄り添う視点で整理します。
目次
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの契約者が返済中に死亡・高度障害になった場合に、残りのローン残高が保険金で完済される仕組みです。これにより、契約者に万一のことがあっても、残された家族がローン返済を引き継ぐ必要がなくなります。家族の暮らしを守るという意味で、50代からの住宅ローンではとくに大切なポイントです。
フラット35を除く民間の住宅ローンでは、団体信用生命保険への加入が契約時に必須です。
原則として団信に加入できないと、住宅ローンの審査に通らないことになります。
団信に加入するには、住宅ローンの審査手続きのなかで、告知書により健康状態を保険会社へ告知する必要があります。
健康状態に問題がなければよいのですが、過去に大きな病気を患っていたり持病があったりすると、団信に加入できないことがあります。これは団信が生命保険の一種であり、加入者間の公平性を保つために、保険金を支払う可能性が高い健康状態の方の引き受けが難しいためです。
一般団信で告知することになるのは、おおむね以下の項目です(金融機関・引受保険会社により異なります)。

健康状態に問題がなければ一般団信に加入できる可能性が高いですが、通院や治療の履歴がある場合には一般団信に加入できず、住宅ローンを借りられないリスクがあります。
また、通院・治療歴だけでなく、健康診断で再検査や精密検査の指摘があったかどうかを問われることもあります。再検査の指摘があったのに病院へ行っていなかった、ということがないようにしましょう。
告知書は自己申告ですが、自分に都合のよいことだけを申告するなど、嘘や隠し事をせず、正確な情報を申告してください。告知義務違反があると、いざというときに保険金が支払われないおそれがあります。
一般団信の審査に通らなかった場合でも、住宅ローンを諦める必要はありません。一般団信に加入できなかった場合には、加入条件を緩和したワイド団信を検討しましょう。
ワイド団信とは、
一般の団信への加入が難しい方でも利用できるよう、加入条件を緩和した保険です。持病がある方や、健康上の不安を抱える方でも、住宅ローンを組む際に加入できる選択肢として用意されています。通常の団信では断られてしまうケースでも、金利の上乗せなど一定の条件を受け入れることで加入できる点が特徴です。
たとえば、高血圧・糖尿病・軽度の心疾患など、通常の団信では加入が難しいとされる健康状態でも、ワイド団信であれば申し込めるケースがあります。これにより、より多くの方が住宅ローンの借り入れを実現しやすくなり、万一の際の備えとしても安心を得られます。
一般団信が上乗せ0円であるのに対し、ワイド団信は年0.2%〜0.3%程度の金利上乗せが必要です。とはいえ、万一の備えと住宅ローンを利用できることの安心感を考えれば、決して高すぎるコストとは言えないでしょう。上乗せ幅や条件は金融機関ごとに異なるため、公式サイトでご確認ください。
ワイド団信を取り扱う住宅ローンとしては、下記の3つをぜひ検討に入れてほしいところです。
ソニー銀行の変動セレクト住宅ローン
インターネット銀行のソニー銀行の住宅ローン。電子契約に対応し、来店不要のネット完結型です。ワイド団信の金利上乗せが年0.20%と国内最低水準になっている点が特徴です。
auじぶん銀行の住宅ローン
一般団信に落ちると、自動的にワイド団信の審査を行ってくれます。変動金利を中心とした金利の低さも魅力。電子契約に対応しているため収入印紙代が不要です。ワイド団信の金利上乗せは年0.30%。
SBIアルヒ スーパーフラット
自己資金の割合により通常のフラット35より金利が低くなるメリットがあり、通常のフラット35には付帯できないワイド団信を活用できるのが大きな特徴です。ワイド団信の金利上乗せは年0.30%。
引受保険会社によって異なりますが、がんと診断されると保険金が支払われる「がん保障」や「3大疾病・8大疾病保障」などの疾病保障付き団信は、満50歳(または満51歳)までの住宅ローン借り入れを加入条件としている場合が多くあります。そのため、健康状態に問題がなくても、50代になると疾病保障付き団信に加入しにくくなる点には注意が必要です。加入可能な年齢は金融機関ごとに異なるため、必ず公式サイトでご確認ください。
また、がん診断保障ではありませんが、50代の方でも利用しやすい保障として全疾病保障を活用する方法もあります(住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面)など)。

次に、50歳・55歳で住宅ローンを借りる場合の借入可能額の考え方を確認しましょう。
一般的な住宅ローン(フラット35を含む)は満80歳までの完済が条件のため、50歳なら最長30年、55歳なら最長25年が借入期間の上限となります。
借入可能額は「年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)」で決まります。たとえばフラット35では、年収400万円未満は総返済負担率30%以下、年収400万円以上は35%以下が基準です(住宅金融支援機構)。この範囲におさまる毎月返済額から、借入期間と適用金利に応じて借入可能額が計算されます。
同じ年収・同じ返済負担率でも、金利が高くなるほど借入可能額は小さくなります。フラット35の金利は近年上昇しており、2026年7月時点の適用金利は融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下で年3.140%です(住宅金融支援機構)。金利が低かった時期と比べると、同じ年収でも借りられる金額は以前より控えめになります。具体的な借入可能額は金利水準や審査によって変わるため、下記の公式シミュレーターで最新の金利をもとに試算することをおすすめします。
満80歳までの返済を前提にすれば、50代からでも比較的まとまった金額の住宅ローンを組むことは可能です。ただし、65歳前後で定年退職を迎えたあとも、約15年にわたって返済が続くケースが多い点には注意が必要です。
退職後は収入が減るのが一般的なため、借入可能額いっぱいまで借りて本当に無理なく返済できるのかを、事前にしっかり検討しておくことが重要です。とくに50代からの住宅ローンでは、将来の収入や年金、退職金も踏まえたうえで、余裕をもった返済計画をシミュレーションしておきましょう。
「65歳までに完済する」計画にする場合は、80歳完済で借りられる額よりも借入可能額はかなり小さくなります。(フラット35は原則として借入期間15年以上のローンのため、55歳の方が65歳完済=返済期間10年で借りる場合はフラット35を利用できない計算になります。)
50歳・55歳の方が住宅ローンを組む場合は、自己資金をどれだけ用意できるか、何歳で完済するのかという資金計画が極めて重要です。資金計画によっては、3,000万円台・4,000万円台といった借り入れも十分に検討できますが、「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」で考えることが、家族の暮らしを守るうえで何より大切です。
住宅ローンの「借り換え」とは、現在利用している住宅ローンを別の金融機関のローンに切り替えることで、金利の引き下げや返済条件の改善を目指す手続きです。
借り換えによって、毎月の返済額や総返済額を抑えられるケースもあります。
ここでは、50歳・55歳で住宅ローンを借り換える際に注意したいポイントを整理します。
住宅ローンを借り換える際には、改めて団信の審査を受ける必要があります。そのため、健康状態によっては審査に通らず、借り換えが難しくなるケースも考えられます。
一般団信への加入が難しい場合は、持病のある方なども利用しやすいワイド団信という選択肢がありますが、通常よりも金利が上乗せされる点には注意が必要です。その結果、借り換えによる金利メリットが小さくなってしまうこともあるため、事前にしっかり試算しておくと安心です。

借り換えの際には、借入期間を短くしたり長くしたりすることもできます。完済をいつにするかという資金計画を、この機会にもう一度見直しておくとよいでしょう。期間を延ばせば毎月の返済額は下がりますが、老後まで返済が続くことになる点にも留意が必要です。
借り換えの際に選ぶ金利タイプについてもしっかり考えましょう。
住宅ローンの金利タイプは、主に固定金利型・変動金利型の2つで、特徴は以下のとおりです。
固定金利…借入時の金利が完済まで変わらず、返済額が一定で家計の見通しを立てやすい。一方で当初の金利は変動より高め。
変動金利…市場金利に応じて変動するため、金利が低い時期には有利だが、上昇リスクがある。
変動金利は各行が競争しており、借り換えの効果を出しやすい選択肢です。ただし、かつてのような超低金利(年0.3〜0.4%台)は現在では見られず、2026年7月時点ではネット銀行の変動金利でもおおむね年0.9%台〜1%台前半が中心となっています(各行公式・当社調べ/最新の金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。日銀は利上げ局面にあり、変動金利には上昇圧力がかかっているため、変動金利を選ぶ場合は、将来金利が上がっても家計が耐えられるかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
金利上昇による返済負担の増加が不安な場合は、固定期間の長いタイプや全期間固定のフラット35で返済額を確定させておく方法もあります。固定金利にも力を入れているSBI新生銀行を検討するのもよいでしょう。SBI新生銀行は変動金利・固定金利ともに競争力のある水準で、一般団信は上乗せ0円です。なお、SBI新生銀行の事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です(最新の金利・手数料は公式サイトでご確認ください)。
50歳以上の方におすすめしたい住宅ローンを4つ紹介します。いずれも最新の金利・団信の条件は各公式サイトでご確認ください。
ソニー銀行の変動セレクト住宅ローン
電子契約に対応し、来店不要のネット完結型の住宅ローン。ワイド団信の金利上乗せが年0.20%と国内最低水準になっている点が特徴。
auじぶん銀行の住宅ローン
一般団信に落ちると自動的にワイド団信の審査を行ってくれる。変動金利を中心とした金利の低さも魅力。電子契約に対応しているため収入印紙代が不要。
SBI新生銀行
変動金利・固定金利ともに競争力のある水準を実現。団信は一般団信(上乗せ0円)に加え、ガン団信や全疾病保障付団信(2026年3月開始・上乗せ0円)から選べます。事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です。
SBIアルヒ スーパーフラット
自己資金の割合により通常のフラット35より金利が低くなる全期間固定金利型。つなぎ融資にも対応し、完済まで返済額が変わらないため、老後の家計の見通しを立てやすいのが特徴。
家計と老後の視点から、ご相談の多い疑問にお答えします。
退職金でローンを一括完済すると、月々の返済はなくなりますが、手元の資金が大きく減り、老後の医療・介護・生活費に不安が残ることもあります。金利や残高、老後に必要な生活資金とのバランスを見て、「全額完済」「一部繰上返済して手元資金も残す」など、ご家庭に合った方法を選ぶことが大切です。無理のない範囲での繰上返済がおすすめです。
50代からの住宅ローンは返済期間が短くなりがちなため、頭金を厚めに入れて借入額を抑えると、毎月の返済負担と総返済額の両方を軽くできます。とくにフラット35は融資率9割以下だと金利が低くなるため、自己資金を1割以上用意できると有利です。ただし、頭金を入れすぎて手元資金が不足しないよう、生活防衛資金は残しておきましょう。
変動金利は当初の返済額を抑えられますが、日銀が利上げ局面にある2026年時点では、将来の金利上昇に注意が必要です。返済期間が短い分、金利が上がっても総返済額への影響は長期ローンほど大きくありませんが、退職後の家計で上昇分を吸収できるかを確認しておきましょう。金利上昇が不安な場合は、固定金利や全期間固定のフラット35で返済額を確定させる選択肢もあります。
老後の年金生活で家賃を払い続けることは家計に重くのしかかります。その意味で、住まいを確保するためにマイホームを購入することは、将来の安心につながる有意義な選択といえるでしょう。
50歳・55歳で住宅ローンを借りる際には、「何歳まで働くのか」という観点が最も重要になります。80歳完済の前提で目一杯の金額を借りてしまい、退職金を含めても返済しきれなくなると、せっかくのマイホームを手放すことにもなりかねません。
また、とくに55歳以降は子育てがひと段落し、老後に向けて貯蓄を増やしたい時期でもあります。その時期に住宅の支出が重くなりすぎると老後の備えができず、本末転倒になりかねません。住宅購入というと「都心の駅近」など資産価値の高い物件が気になりますが、郊外のリーズナブルな物件も選択肢に含めて検討すれば、無理のない住宅購入ができるはずです。
以下は職業や働き方ごとにおすすめの住宅ローンや注意したい住宅ローン審査のポイントを解説した記事です。合わせて参考にしてください。
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