2020年9月30日
住宅ローンを夫婦それぞれで組んで1つのマイホームを購入する住宅ローンのペアローン。この記事ではペアローンのメリット・デメリットをまとめています。特にペアローンと比較されることの多い収入合算との違いについても解説したいと思います。
記事前半ではペアローンのメリットやデメリットに触れ、後半でペアローンに対応しているおすすめ住宅ローンを紹介しています。
新婚や子供ができた時にマイホームを購入する人が多く、本来はマイホームを買う時に考えることではないのですが、ペアローンでマイホームを購入している夫婦が離婚することになった場合、マイホームと住宅ローンをどのように扱うかでトラブルになることが多くあります。ペアローンは夫婦が対等な立場でマイホームを購入しているので、それぞれ自分の意見を主張しやすいのがその理由です。
ヤフーニュースで以下のように「離婚時の火種」というタイトルでペアローンが紹介されたこともあります。
目次
ペアローンとは、夫婦などがそれぞれ別の住宅ローンを契約して1つの家を買う方法です。最近は、夫婦以外でも、兄弟や親子やLGBTカップルなど、生計を共にする関係性であれば幅広いペアで利用できるようになってきました。
2人がそれぞれの収入を基準に住宅ローンを組むことになるので、1人では借りられない金額の借り入れができるのが最大のメリットです。その一方で、死別や離婚時などにトラブルになることもあったり、マイホームを売却することになった時の手続きが煩雑になる、(出産・育児休暇・病気などで)一方の収入が途絶えたときに急激に返済負担が高まってしまうなどのデメリット・リスクもあります。
※ペアローンのイメージ。新生銀行の公式サイトより
次にペアローンのメリットとデメリットを具体的に確認していきたいと思います。
ペアローンにはメリットもありますが、デメリットもあります。のちのち、後悔することにならないようにしっかり確認しておきましょう。
住宅ローンの借入可能額は年収や返済負担率に応じて決まります。つまり、収入が飛躍的に増えたりしない限り借りられる金額が大きく増えることはありません。
頭金を増やせればよいですが、住宅ローンで借りられるお金と変える家の値段は比例するので、希望する家を買えないという状況になる可能性があります。そのようなケースで足りない分をもう1人が別に契約した住宅ローンで補うことで希望する家を購入できるようになるというメリットがあります。
※なお、どちらか一方、例えば、配偶者が妊娠して、育休・産休の時もそれまでと変わらないように住宅ローンを返済する必要がありますので、そのようなケースに困ることが無いようにしっかりと返済計画を考えるようにしましょう。
ペアローンは住宅ローンの契約を2本結ぶことになります。今の住宅ローン控除の制度では2人とも住宅ローン控除を利用することができます。状宅ローン控除は1人でも大きなメリットがありますが、それが2人分利用できるのは、想像以上のメリットだったと将来感じることでしょう。
団体信用生命保険(団信)は、死亡や高度障害状態となった場合に保険金が支払われて住宅ローン残高ゼロになる生命保険です。
住宅ローンを組むには原則として団信に加入する必要があるわけえすが、二人で住宅ローンを組むケースだと、どちらか1人が保険金支払い条件を満たした時に支払われる保険金はその1人分のみで、住宅ローン残高がすべて無くなるものではありません。
これはデメリットの話ですが、それに対応する商品に「デュエット(夫婦連生団信)」というものがあります。デュエット団信を利用することで、どちらか一方に万が一の場合があった場合に、2人分(全額)の住宅ローン残高をゼロにすることができます。
ペアローンは2本の住宅ローンを組むことが必要であるため、印紙代、司法書士に関する必要、各種登記に関する必要などが2倍かかることとなります。また、事務手数料に最低ラインが決められている場合には多くの費用が必要となります。
たとえば、ARUHIでは最低事務手数料を220,000円(融資額の税込み2.20%)としているため、仮に2,000万円の住宅を1000万円ずつのペアローンをARUHIで借りた場合でも1名あたりの事務手数料は220,000円(税込)となります。
2人で合計440,000円(税込)の事務手数料となり、%にして4.4%(税込)にも相当してしまいます。ペアローンを組む際は事務手数料に気をつけたいですね。
ペアローンはお二人で住宅ローンを返済していく必要があるため、産休・育休中の収入減を想定して、住宅ローンを組む必要があります。また、産休・育休後に職場に戻らない際は、収入減が一時的ではなくなるので注意したいですね。
ペアローンを利用し住宅ローンを組むということは住宅ローン完済時もしくはそれに相当する長期間にわたり夫婦共働きであることを想定することとなります。これは共働きを前提した住宅ローン借入を行い、それに応じた月々の住宅ローン返済をしなければなりません。住宅ローンを滞りなく返済していくために妻が退職できないという状況は覚悟をしていく必要があるでしょう。
考えたくは無いことですが、日本の離婚率は35%に及び平成27年度には22万組もの夫婦が離婚をしています。離婚時にマイホームをどう処分するかは大きな問題となるでしょう。
売却し住宅ローンを完済できればいいですが、売却しても住宅ローンが完済できない場合には、離婚後の新居に関わる必要と同時に、残った住宅ローンを払い続けるという2重の経済的な負担が発生します。
ペアローンは2人で住宅ローンを組むため、同時にお二人が住宅ローン審査に通る必要があります。お一人のみ住宅ローン審査に通った場合どうするか想定しておく必要があるかもしれません。
ペアローンを取り扱う金融機関の多くでは同じお2人で同じ銀行の住宅ローンを利用することを条件としています。違う銀行ではペアローンを利用できないことが大半です。
次にペアローンと収入合算の違いを解説したいと思います。
ペアローン | 収入合算 | |
契約 | 2本の契約を結ぶ | 1本の契約を結ぶ |
諸費用 | 2倍かかる | 通常の住宅ローンと同じ |
団信 | それぞれで団信に加入が可能 | 契約者のみが団信の保障の対象となる |
メリット | お互いに住宅ローン控除が使える | お互いに住宅ローン控除が使える |
デメリット | 2人とも住宅ローン審査に通る必要がある | 住宅ローン控除が契約者分のみ利用できる |
次に3,000万円のマイホームを1,500万円ずつでペアローンを組んだ際の諸費用を計算してみたいと思います。ペアローンの比較に利用してみてください。
銀行名 | 一人あたりの事務手数料(保証料※) | 合計の事務手数料(保証料※) | 備考 |
ソニー銀行 | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
アルヒ | 330,000円(税込) | 666,000円(税込) | 最低事務手数料220,000円(税込) |
住信SBIネット銀行 | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
SBIマネープラザ | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
auじぶん銀行 | 330,000円(税込) | 660,000円(税込) | |
新生銀行 | 55,000円(税込)~ | 110,000円(税込)~ | |
三菱UFJ銀行 | 356,400円(非課税) | 712,800円(非課税) | |
みずほ銀行 | 356,400円(非課税) | 712,800円(非課税) | |
三井住友銀行 | 356,400円(非課税) | 712,800円(非課税) |
※メガバンクの住宅ローンは、標準的な保証料を記載。保証料は審査結果や借入期間などにより大きく変動します。
最も諸費用が高くなるメガバンクと新生銀行とでは60万円もの差が出ることとなります。
次に3,000万円のマイホームを1,500万円ずつでペアローンを組んだ際の登記関連費用をまとめてみました。
ペアローンにより登記費用で2倍かかる費用としては司法書士の報酬と収入印紙代となります。
銀行名 | 一人あたりの登記関連費用(保証料※) | 合計の登記関連費用(保証料※) | 備考 |
登記費用(司法書士の報酬) | 約8万円 | 約16万円 | |
収入印紙 | 2万円 | 4万円 | auじぶん銀行、ソニー銀行、ジャパンネット銀行、なら無料 |
抵当権設定登録免許税 | 抵当権設定額の0.1%~0.4% | 抵当権設定額の0.1%~0.4% | 条件をクリアすると0.1% |
不動産取得税 | 0円~数十万円 | 0円~数十万円 | |
固定資産税 | 3万円~8万円程度 | 3万円~8万円程度 |
渋谷区のパートナーシップ制度導入以後、金融機関でも同性カップルでもペアローンを利用できる導入するケースが増えています。
下記、2019年3月現在で同性カップルでペアローンが利用できる金融機関です。
銀行名 | 特徴 |
楽天銀行 金利選択型 Type-R | スーモカウンターで受付 |
ソニー銀行 | |
住信SBIネット銀行 | 収入合算も利用可能 |
みずほ銀行 | 収入合算も利用可能 |
SBIマネープラザ | 収入合算も利用可能 |
三井住友信託銀行 | 収入合算も利用可能 |
パートやアルバイトで利用できる住宅ローンはフラット35に限られます。一方でフラット35はペアローンを取り扱っていません。ただし、フラット35は収入合算には対応していますので、収入合算とペアローンの違いを理解したうえで、フラット35に利用を検討するのも検討されてはいかがでしょうか。
フラット35業界1位の取り扱い実績のアルヒの公式サイトはこちら
多くの銀行・金融機関では別銀行・別金融機関でペアローンを組むことはできず、同一の銀行・金融機関で住宅ローンを組むことが前提となります。
このため、お二人の年収の低い方に合わせた銀行・金融機関選びが必要となります。たとえば年収500万円の夫と年収300万円の妻の場合、住宅ローン審査基準の年収基準が400万円以上としているソニー銀行には住宅ローン審査申し込みができないこととなります。
結論から申し上げると極めて実現が難しいと思われます。単独ローンとして借りている状態から一定部分のペアローンで分割したいご夫婦、もしくはご親族に譲渡を行い、その譲渡の資金を銀行からの住宅ローン借入を実現さえなければなりません。これに対応してくれる金融機関はほぼ存在しないでしょう。
また、親族間での住宅の譲渡は住宅ローン減税の対象外であることも留意いたい点ですね。
楽天銀行(フラット35) | auじぶん銀行 | SBIマネープラザ |
アルヒ | イオン銀行 | ソニー銀行 |
住信SBIネット銀行 | 新生銀行 | みずほ銀行 |
楽天銀行(金利選択型) | 三井住友信託銀行 | 三菱UFJ銀行 |
三井住友銀行 | 千葉銀行 | 横浜銀行 |
スルガ銀行 | 福岡銀行 | ろうきん |
優良住宅ローン | 第四銀行 |
今、注目の住宅ローン
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