公開日: 2026年7月1日

日本にネット銀行(インターネット専業銀行)が登場したのは、いまから約25年前のことです。ジャパンネット銀行・イーバンク銀行・ソニー銀行・セブン銀行などが2000年前後に相次いで誕生し、ほぼ同じ時期に、日本長期信用銀行(長銀)を前身とするSBI新生銀行も新たな体制で営業を始めました。なお、ジャパンネット銀行は現在のPayPay銀行、イーバンク銀行は現在の楽天銀行にあたります(社名・ブランドが変更されています)。
その後、イオン銀行が営業を開始し、住信SBIネット銀行・auじぶん銀行・GMOあおぞらネット銀行など、新しいネット銀行が次々に登場しました。いまではネット銀行の多くが、外貨預金・仕組預金・投資信託・カードローン・住宅ローンまで、ほとんどの銀行サービスを取りそろえています。
とりわけ住宅ローンは、スマートフォンやパソコンを使いこなす子育て世代・共働き世帯に選ばれ、利用者を大きく伸ばしてきました。この記事では、2026年7月時点でのネット銀行の住宅ローンの特徴を、金利の損得だけでなく「家族の暮らしに無理がないか」という目線も交えてやさしく解説します。ひとくちに“ネット銀行の住宅ローン”といっても銀行ごとに商品性は異なりますが、共通する特徴も多くあります。
インターネット銀行は、店舗を持たずにオンラインで銀行サービスを提供する銀行です。ネットが世の中に広く浸透し始めた2000年ごろから、ネット銀行は「店舗の開設・維持費用」と「店舗で接客するための人件費」がかかりにくく、低コストで営業できるという特徴を一貫して持ち続けています。
インターネットは、いつでもどこからでも利用できます。新しい店舗を開いたり、その運営のために人を増やしたりする必要がないため、運営コストを抑えやすいのです。
コストがかからないということは、利用者からもらう利息や手数料を抑えても採算が合うということです。つまり、ネット銀行の住宅ローンが低金利で便利なのは、この低コスト体質(店舗にお金がかかっていない)が根幹にあるからと言えます。
ネット銀行の住宅ローンは、申し込みはネットでできても、かつては審査書類を郵送する必要があり、審査完了まで時間がかかるのが弱点でした。近年は法令のデジタル対応が進み、必要書類をスマホやパソコンからアップロードで提出できる銀行が増えています。ただし、提出書類が多くなりやすい職業の方などは、書類をスキャン・撮影して提出する手間がかかる点は知っておきましょう。対面で相談しながら進めたい方には、店舗を持つ銀行のほうが安心な場合もあります。
多くのネット銀行の住宅ローンは保証料が無料ですが、そのかわり事務手数料が「借入金額×2.20%(税込)」の定率型になっていることが一般的です。たとえば3,000万円を借りる場合の事務手数料は66万円(税込)になります。
この金額は、保証料を前払いするのと大きくは変わりません。さらに、メガバンクや地銀で保証料を前払いした場合は、繰り上げ返済や借り換えのときに残期間に応じて一部が戻ってくることがありますが、定率型の事務手数料は原則として戻ってきません。同じ金額を払うなら、戻りのない事務手数料のほうが負担として重くなりやすい、という点は理解しておきたいところです。借入額が大きくなる子育て世帯ほど、この初期費用の差は家計に効いてきます。
なお、SBI新生銀行も保証料が原則0円のネット系銀行ですが、事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です(以前あった定額型の取り扱いは現在ありません)。そのぶん金利水準が低めに設定されており、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応している点も含め、諸費用と金利・サービスを総合して検討するとよいでしょう。
日本のネット銀行で初めて住宅ローンを提供したのはソニー銀行です。当時からソニー銀行の住宅ローンは「審査が厳しい」という評判が多く、年収400万円以上が利用条件とされています。ソニー銀行に限らず、低金利のネット銀行の住宅ローンには同じ傾向があり、メガバンク・地銀の審査に通った人でも通らないことがあります。
住宅ローンの審査基準は基本的に非公開で、落ちた理由を詳しく教えてもらうことはできません。ただ、銀行は貸したお金から受け取る利息と手数料で利益を上げているため、低金利のローンほど貸し倒れを抑える必要があり、「金利が低いローンは審査が厳しめになりやすい」のは自然なことと言えます。共働きで世帯年収を合算して借りる場合も、銀行によっては夫婦それぞれに年収条件を求めることがあるため、申込前に各行公式で条件を確認しておくと安心です。
働き方の多様化により、契約社員や派遣社員などの非正規雇用を理由に住宅ローンが借りられないケースは減ってきています。ネット銀行でも傾向は同じで、派遣社員・契約社員でも安定的な収入があると判断されれば審査に通ることがあります。終身雇用の考え方が薄れ、勤続年数の重みも以前ほどではなくなったと言われます(とはいえ勤続年数が短いほうが不利になりやすい点は変わりません)。
ネット銀行の住宅ローンの大きなメリットは2つあります。1つ目は金利が低いこと。従来型の金融機関に比べて明らかに低い金利を提供しています。2つ目は団信(団体信用生命保険)や疾病保障が充実していること。万一のときに住宅ローン残高が0円になる団信は、残された家族の暮らしを守る大切な備えです。がん保障や全疾病保障を上乗せ金利0円で用意する銀行もあり、家族目線では金利だけでなく保障内容もあわせて比べたいポイントです。
主なネット系銀行の諸費用・条件の特徴を整理すると、次のとおりです(金利・手数料は改定されることがあるため、最新の内容は各行公式でご確認ください)。
| 銀行・タイプ | 保証料 | 事務手数料(税込) |
|---|---|---|
| 一般的なネット銀行(定率型) | 0円 | 借入金額×2.20% |
| ソニー銀行(通常の住宅ローン) | 0円 | 一律44,000円(定額) |
| ソニー銀行(変動・固定セレクト) | 0円 | 借入金額×2.20% |
| SBI新生銀行 | 原則0円 | 借入金額×2.20% |
※上表は各行公式(2026年7月時点)にもとづく主な特徴です。事務手数料が定額か定率かで初期費用は大きく変わるため、金利・諸費用・団信を総額で比べるのが、家計に無理のない選び方です。
なお、2026年は金利が動いている時期です。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げました(約31年ぶりの水準)。変動金利への反映は多くの銀行で基準日(10月1日が目安)を経てから表れる見込みで、足元の変動金利の相場はおおむね0.85〜1.1%台(新規・最優遇)とされています。これから借りる家庭は、変動・固定どちらを選ぶかを家計の余裕や教育費の見通しとあわせて考えるとよいでしょう(最新の金利は各行公式でご確認ください)。
A. 安定した収入があり、年収などの条件を満たせば子育て世帯でも利用できます。大切なのは、教育費や生活費が増える時期も無理なく返せる返済額にすること。返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は手取りベースで20〜25%程度を一つの目安に、余裕を持った借入額にしておくと安心です。
A. 一概には言えません。保証料が0円でも、事務手数料が「借入金額×2.20%」の定率型だとまとまった初期費用がかかります。保証料・事務手数料・金利・団信を合計した総額で比べることが大切です。初期費用を抑えたいなら、定額の事務手数料を選べる銀行・プランも候補になります。
A. ネット銀行はオンライン完結が基本ですが、SBI新生銀行のように店舗相談とオンライン手続きの両方に対応している銀行もあります。初めての住宅ローンで不安が大きいご家庭は、相談窓口の有無もあわせて選ぶとよいでしょう。
| 変動金利 | 備考 | |
|---|---|---|
| SBI新生銀行 | 年0.990%(金利優遇プログラム適用時) | すべての病気やケガによる就業不能を保障する全疾病保障付団信が金利上乗せなしで付帯。 ※金利優遇プログラム適用時 |
| PayPay銀行※4 | 年1.330%(全期間引下型) | ソフトバンクユーザ限定の金利優遇に注目。 個人事業主・法人経営者向けの専用住宅ローンも用意。 |
| ソニー銀行 | 年1.347%(新規購入) (変動セレクト) | 2023年11月1日以降、物件の購入価格を超えて借り入れる場合は金利が年0.05%上乗せになります(新規購入時)。
がんと診断されるだけで住宅ローン残高が1/2になる疾病保障が無料付帯。 |
| みずほ銀行ネット住宅ローン | 年1.025%~ | メガバンクのみずほ銀行がネット限定の低金利住宅ローンを提供中。50歳まで年0.1%の上乗せでがん団信に加入可能。 |
| イオン銀行 | 年1.040%(金利プラン) | イオングループでの買い物が5%引きになるサービスがセット。保証料も無料。2026年7月の適用金利。 |
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