公開日: 2026年7月21日 更新日: 2026年8月4日

この記事では住宅ローン借り入れ時の”がん”に対する備えと”団信・疾病保障”について解説しています。
目次
2016年に国立がん研究センターなどで構成される厚生労働省の研究班が、全国の3つのがん専門病院の患者950人を対象にして行った「がん治療と就労・仕事に関するアンケート調査」によると、がんと診断されてから仕事を辞めた人は全体の2割に当たる199人で、このうち4割が、「がんの診断が確定したとき」や「診断後、最初の治療を待っている間」など、実際にがんの治療を始める前の早期に退職していることがわかりました。
仕事を辞めた理由で最も多かったのは、「職場に迷惑をかけたくなかった」で17%、次に、「がんになったら気力・体力的に働けないだろうと予測したから」と「治療と仕事を両立する自信がなかったから」が16%と続いています。
また、内閣府の調査でもがんの治療をしながら仕事を続けられるかという問いに、65%もの方が否定的な見解を示しており、医療や働き方改革が変化している現代においても、がんの治療と仕事の両立は難しいと多くの人が考えていることがわかります。

住宅ローンは、人生最大の借金と言われ、20年・30年という長い期間返済を続ける必要があります。長い返済期間の中で、病気やケガで働けなくなるリスクは誰にでも起こりうることです。ただ、普通に住宅ローンを借りているだけだと、がんなどの病気の治療で働けない間も住宅ローンの返済は続いていきます。
とくに子育て中のご家庭では、住宅ローンの返済に加えて教育費や生活費が家計の柱になっています。働き手が治療で収入を減らしたとき、「住まい」と「家族の暮らし」を同時に守れるかという視点で備えを考えておくことが大切です。
収入が途絶える・減る期間が短ければ、貯蓄を崩して乗り切ることができるかも知れませんが、長期の治療になってしまうと、治療費・通常の生活費に加えて住宅ローンの返済が残ることは大きな負担となり、最終的にマイホームを手放すかの決断を迫られることになります。
住宅ローンを利用する時には、基本的に団信と言われる生命保険に加入しますが、この保険の保障は死亡や高度障害の状態となった場合に住宅ローンの残高が保険金で支払われる保険商品なので、「治療中」「闘病中」という状況では保険金が支払われることはありません。
今回は、そのような事態、つまり、がんや病気・ケガに対する保障をセットすることができる住宅ローンを紹介したいと思います。
なお、がんに備えることができる住宅ローンの疾病保障は一度、がんと診断されると完治しても加入できなくなるので、事前の備えが重要となります。
医療の発達により長寿化が進み、がんになっても生存できる確率が高まっていることから、「がん保障」「三大疾病保障」「生活習慣病保障」などの疾病保障付の住宅ローンは、大半の金融機関で取り扱うようになりました。
このように、ほとんどの金融機関の住宅ローンで疾病保障をセットすることができる時代ですが、ポイントは「費用負担」と「住宅ローンの金利」です。一般的に疾病保障を利用する場合、保険料として住宅ローンの金利に0.1%~0.4%程度の上乗せが必要になります。
多額の費用を負担すればより安心感のある保険に入れるのは当たり前のことですが、重要なのは費用負担と保障のバランスが良い組み合わせを選ぶことです。また、ネット銀行の住宅ローンには疾病保障が無料でセットされるものが多く、住宅ローンの金利も低いので、疾病保障をセットしておきたいと考えるのであればネット銀行の住宅ローンは選択肢の1つに入れておくことをおすすめします。
まずは、主な銀行のがん・疾病保障の現行条件を一覧で確認しておきましょう(2026年7月時点・各行公式サイトで確認。最新の条件・年齢制限は各行公式でご確認ください)。
| 銀行 | 無料(上乗せなし)で付く保障 | 上乗せで選べる主ながん保障 |
|---|---|---|
| auじぶん銀行 | がん50%保障団信(加入時年齢等の条件あり) | がん100%保障団信など |
| ソニー銀行 | がん団信50(がん50%保障特約付き) | がん団信100(年0.1%上乗せ・残高0円+診断給付金100万円) |
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) | スゴ団信(全疾病保障が基本付帯・借入時年齢に応じ3大疾病保障50%も基本付帯) | 3大疾病100プランなど |
| PayPay銀行 | 一般団信 | がん50%保障団信(年0.1%上乗せ)・がん100%保障団信(年0.15%上乗せ) |
| SBI新生銀行 | 一般団信・全疾病保障付団信(いずれも上乗せ0円) | ガン団信(がん診断保障付団信) |
auじぶん銀行では「がん50%保障団信」が無料でついてくる住宅ローンを提供しています(加入時の年齢条件などがあります。詳細は公式サイトでご確認ください)。
一般的には住宅ローンにがん保障を付帯するには、金利に0.3%程度上乗せしなければならず大きな費用を負担しなければなりませんが、auじぶん銀行の「がん50%保障団信」は無料です。ポイントは保険金の支払い条件で、「がんと”診断”されたら住宅ローンの残高が半分になる」という保険金が支払われるハードルが低くなっている点です。
費用負担が少なかったり、無料のがん保障は、がんと診断されてから「一定期間働けない状態が続く」「一定期間入院する」というような条件を満たした場合に限り保険金が支払われることがあります。
繰り返しですが、auじぶん銀行の「がん50%保障団信」は、がんと診断されることで保障が適用されます。そんな保障が無料で利用できるのがauじぶん銀行の住宅ローンの最大の特徴です。金利を上乗せすることで、がんと診断されると住宅ローン残高がゼロになる団信も取り扱っています。
ソニー銀行の住宅ローンは、がんと診断されると住宅ローン残高が半分になる「がん団信50」を上乗せ金利なしで付帯できますが、ソニー銀行で注目したいがんへの備えは「がん団信100」です。金利上乗せがわずか年0.1%で、がんと診断確定されたとき住宅ローン残高がゼロ円になるうえ、がん診断給付金100万円が支払われ、さらにがん先進医療給付や上皮内がん・皮膚がん診断給付(50万円)などの特約も付帯します(2026年7月時点・公式サイト確認)。がん保険に極めて近いところまで充実した保障がついてくるのが特徴です。
PayPay銀行の住宅ローンは、2021年7月にがん50%保障を無償付帯とした時期がありましたが、その後の商品改定により、現在(2026年7月時点)は「がん50%保障団信」は年0.1%の金利上乗せ(有料)、「がん100%保障団信」は年0.15%の上乗せとなっており、無料で付帯するのは一般団信までです。がん保障を検討する場合は上乗せ後の金利で比較しましょう。
PayPay銀行といえば低金利が最大の特徴ですので、公務員や大手企業の正社員など信用力が高い方にはお勧めです。※
※申込条件や対象物件には制限があります(詳細はPayPay銀行公式サイトでご確認ください)。
SBI新生銀行では、一般団信が保険料の上乗せなしで利用できるのに加え、2026年3月から「全疾病保障付団信」の取り扱いが始まりました。こちらも金利上乗せ0円で、死亡・高度障害への備えに加えて、病気やケガで働けない状態が続いた場合の保障までカバーできるのが特徴です。保証料や一部繰上返済手数料も0円で、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、はじめて団信を選ぶご家庭でも相談しながら決められる安心感があります。
なお、かつて提供されていた介護保障付きの「安心保障付団信(団体信用介護保障保険)」は新規申込の取り扱いを終了しています。古い情報をもとに検討しないよう、現行の団信ラインアップ(一般団信・ガン団信・全疾病保障付団信など)を公式サイトで確認するようにしましょう。
ネット専業銀行で人気の高い住宅ローンを提供しているドコモの銀行。2017年6月から保障内容を全疾病にグレードアップし、現在は「スゴ団信」として、がんはもちろん、すべての病気やケガを保障の対象とする全疾病保障が基本付帯となっています。さらに借入時の年齢に応じて、がん診断時給付を含む3大疾病保障(50%)も基本付帯されます(2026年7月時点・公式サイト確認)。ただし、全疾病保障は広く浅くという保障になるので、がんになっても就業不能の状態にならないと保障が適用されない点は理解しておきましょう。
がん団信などの疾病保障は、原則として住宅ローン契約時にしか加入できず、途中での追加・変更はできません。「子どもが生まれたから保障を厚くしたい」と思っても後から付けられないため、借り入れ時に家族構成や教育費の見通しまで含めて選んでおくことが大切です(取り扱いは各金融機関・保険会社の規定によります)。
ペアローンでは夫婦それぞれが自分のローンについて団信・がん保障に加入します。保障が適用されるのは診断された本人のローン残高のみで、配偶者側のローンはそのまま残るのが一般的です。共働きで借入額が大きいご家庭ほど、お互いの保障内容をそろえて検討しておくと安心です(ペアローン向けの連生団信を用意する銀行もあります)。
| 変動金利 | 10年固定 | 特徴 | |
|---|---|---|---|
| SBI新生銀行 | 年0.990%(金利優遇プログラム適用時)※1 | 年3.030%(自己資金優遇金利) | SBI新生銀行の住宅ローンは、団体信用生命保険の内容を重視する人にとって、非常にコストパフォーマンスの高い住宅ローンです。 |
| PayPay銀行 | 年1.330%(全期間引下型) | 年2.870%(当初期間引下型) | 変動金利タイプの金利の低さに注目。 |
| ソニー銀行 | 年1.347%(新規購入) (変動セレクト住宅ローン) | 年3.413% (固定セレクト住宅ローン) | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が1/2に減額! ※2023年11月1日以降、物件の購入価格を超えて借り入れる場合は金利が年0.05%上乗せになります(新規購入時)。 |
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