2024年11月16日
20代〜40代の頃は社宅制度や転勤などの理由から「賃貸派」だった人が50代に入って、老後に安心して住める家を確保すること目的にマイホーム購入を検討することもあると思います。
50代になってから住宅ローンを利用するとなると「この年齢でも住宅ローンは組めるのだろうか」「老後までにきちんと返済できるのだろうか」と不安に思ってしまうかもしれませんが、自己資金や定年後の収入など資金計画をキチンとしていれば遅いことはありません。
住宅ローンの審査では年齢上限も重要視されていますが、勤続年数や年収などさまざまな審査項目から総合的に判断されるため、収入が安定し貯金が比較的ある50代の場合は審査においても全く問題なく住宅ローンを利用することが可能になっています。
今回は50代で住宅ローンを利用しようと考えている人の住宅ローン審査に関する情報をまとめていきたいと思います。
目次
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの契約者が返済中に死亡や高度障害になった場合に、残りのローン残高が保険によって支払われる仕組みです。これにより、契約者が万が一の事態に陥ったとしても、家族がローン返済の負担を引き継ぐ必要がなくなります。
フラット35を除く住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が住宅ローン契約時に必須となっています。
原則として団信に加入できないと住宅ローンの審査に落ちることになります。
団信に加入するためには住宅ローンの審査手続きの中で告知書で保険会社に健康状態を告知する必要があります。
健康状態に問題が無ければ良いのですが、過去に大きな病気を患っていたり、持病があると団信に加入できないことになります。これは団信が生命保険の一種であるため、保険に入る人の公平性を保つために保険金を支払う可能性が高い健康状態の人の保険は、引き受けできないからです。
一般団信で告知することになるのが以下の項目です。
健康状態に問題無ければ一般団信に加入できる可能性が高いですが、通院や治療歴がある場合には一般団信に加入できず、住宅ローンを借りれないリスクがあります。
一般団信の審査に落ちた場合でも住宅ローンを諦める必要はありません。一般団信に落ちた場合には加入審査を緩和したワイド団信という団信に申し込みを行いましょう。
ワイド団信とは、従来の団体信用生命保険(団信)の加入が難しい、持病や健康上のリスクがある人向けの保険です。通常の団信よりも加入条件が緩和されており、例えば、高血圧や糖尿病といった健康状態でも申し込めることが特徴です。そのため、より多くの人が住宅ローンを組む際に安心して加入できる選択肢となっています。
一般団信が無料であるのに対し、ワイド団信は年0.2%から年0.3%程度の金利上乗せが必要ですが、万が一の備え、そもそも住宅ローンを利用することのコストとしては高価なものとは言えないように思えます。
ワイド団信を取り扱う金融機関としては下記の3つの住宅ローンをぜひ検討に入れてほしいですね。
ソニー銀行の変動セレクト住宅ローン
インターネット銀行のソニー銀行の住宅ローン。電子契約に対応し、来店不要のネット完結型の住宅ローン。ワイド団信の金利上乗せが年0.20%を国内最低水準になっている点が特徴です。
auじぶん銀行の住宅ローン
一般団信に落ちると自動的にワイド団信の審査を行ってくれる。変動金利を中心として金利の低さも魅力。電子契約に対応しているため収入印紙代が不要。ワイド団信の金利上乗せは年0.30%。
ARUHIスーパーフラット
自己資金により通常のフラット35より金利が安くなるメリットがあり、通常のフラットには付帯できないワイド団信を活用することができるのが大きなメリットです。ワイド団信の金利上乗せは年0.30%。
引受保険会社により違いがありますが、がんになったときの保障(がんと診断されるだけで保険金が支払われる)、「がん疾病保障(3疾病や8疾病などを含む)」は満51歳、もしくは満50歳までの住宅ローン借り入れを条件としている場合が大半です。そのため、50代になった方の多くはがん保障に加入できないこととなります。
また、がん診断保障ではありませんが、50代の方で利用可能な疾病保障は全疾病保障を利用する手段もあります。(住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面)など)
次に50歳、55歳で住宅ローンを借りる場合の借り入れ可能額を確認してきましょう。借入限度額は年収に比例しますので、年収ごとに借入限度額をシミュレーションしていきます。
一般的な住宅ローンは満80歳までの完済が条件なので、50歳は30年、55歳は25年が借り入れ期間の上限となります。今回のシミュレーションでは80歳で完済するケースで借入限度額を確認していきます。
なお、この借り入れ可能額のシミュレーションはARUHIのフラット35で2024年11月に行ったケースで行っています。
|
50歳(30年ローン) |
55歳(25年ローン) |
300万円 |
2,073万円 |
1,802万円 |
400万円 |
3,225万円 |
2,803万円 |
500万円 |
4,032万円 |
3,504万円 |
600万円 |
4,838万 |
4,205万円 |
700万円 |
5,645万円 |
4,906万円 |
800万円 |
6,451万円 |
5,607万円 |
900万円 |
7,258万円 |
6,308万円 |
1,000万円 |
8,000万円 |
7,009万円 |
満80歳までローン返済を続けると前提であればかなり金額の住宅ローンを組むことが可能なことがわかります。ただし、65歳以上の定年退職後に約15年間住宅ローンの返済を続ける必要があることを考えると、この金額を目いっぱい借りて返済していけるのかはしっかりと考える必要があります。
65歳までに完済するということであれば、上記の半分程度が借入限度額となります。(フラット35は期間15年以上のローンしか取り扱っていないので55歳の方はフラット35は使えない計算になります)
50歳、55歳の方が住宅ローンを組む場合には自己資金や何歳で住宅ローンを完済するのかという資金計画が極めて重要となります。資金計画によっては、5,000万円、4,000万円、3,000万円といった借り入れも可能といってよいでしょう。
住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンを他の金融機関のローンに変更することで、金利の引き下げや返済条件の見直しを図る手続きです。借り換えによって、毎月の返済額や総返済額を減らすことができる場合があります。50歳、55歳での住宅ローン借り換えの注意点は以下の通りです。
住宅ローンの借り換え時には団信の審査を再度行う必要があります。審査の結果、借り換えの審査に落ちる可能性があります。
一般団信で審査に通らない場合にはワイド団信の利用が解決策となりますが、金利上乗せが必要となり住宅ローン借り換えのメリットが減ることとなるので注意が必要です。
住宅ローン借り換え時に借り入れ期間を短くしたり、長くしたりすることも可能ですので、完済をいつにするかという資金計画をもう一度策定したほうがよいでしょう。
住宅ローン借り換え時に選ぶ金利タイプについてもしっかりと考えましょう。
住宅ローンの金利タイプには主に固定金利型、変動金利型の2つで、特徴は以下の通りです。
固定金利・・・借入時の金利が完済まで変わらず、返済額が一定で安心感があるが、初期金利はやや高め。
変動金利・・・市場金利に応じて変動するため、金利が低い時期には有利だが、上昇リスクがある。
短期的にはネット銀行を中心に年0.30%~0.40%台の金利で各社が競争している変動金利が最も借り換えの効果を出すことができます。日銀による金融緩和が当面続く可能性が高いとはいえ、金利上昇リスクはゼロではありません。
金利が上昇することで住宅ローンの負担増加に耐えられないと考えられる場合には固定15年~20年が低金利なSBI新生銀行を検討をするのもよいでしょう。(SBI新生銀行の住宅ローンは融資事務手数料55,000円~と初期費用安価に抑えられるメリットもあります)
50歳以上の方におすすめしたい住宅ローンを4つ紹介します。
ソニー銀行の変動セレクト住宅ローン
電子契約に対応し、来店不要のネット完結型の住宅ローン。ワイド団信の金利上乗せが年0.20%を国内最低水準になっている点が特徴。
auじぶん銀行の住宅ローン
一般団信に落ちると自動的にワイド団信の審査を行ってくれる。変動金利を中心として金利の低さも魅力。電子契約に対応しているため収入印紙代が不要。
老後の年金生活時の家賃支出は家計に重くのしかかります。それゆえ、住宅を購入すること自体は将来の住まいの確保という意味で有意義な選択といえるでしょう。
50歳、55歳の年齢で住宅ローンを借りる際には、何歳まで働くのか、という観点が最も重要になります。80歳完済予定で目一杯の金額を借りた際に、退職金を含めても住宅ローンが返済できない場合、せっかくのマイホームを売ることになってしまうかもしれません。
また、特に55歳以降は一般的に子育てがひと段落し、貯蓄ができる時期です。その時期に住宅支出が重くなりすぎると老後の備えができず、本末転倒になりかねません。住宅購入となると「都心の駅近」などの資産価値が高い物件が気になるものですが、郊外などのリーズナブルな価格帯の物件も選択肢に含めて検討すれば、無理のない住宅購入ができることでしょう。
以下は職業や働き方ごとにおすすめの住宅ローンや注意したい住宅ローン審査のポイントを解説した記事です。合わせて参考にしてください。
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