2024年11月16日
少子高齢化が進む日本で、注目を集めつつあるのが「リバースモーゲージ」と「リースバック」という金融商品です。どちらもマイホーム(自宅)を活用して老後資金などのまとまったお金を手に入れることを目的とした金融商品です。
「リバースモーゲージ」と「リースバック」のメリットとデメリットを整理する前に「リバースモーゲージ」と「リースバック」の違いを確認していきましょう。
「リバースモーゲージ」と「リースバック」は、自宅を活用して現金・資金を確保すること、また、その自宅には住み続けることができるという点は同じですが、その中身は全く異なっています。簡単にまとめてみました。
リバースモーゲージは、マイホーム(自宅)を担保にしてお金を借りる商品です。お金を借りた後も引き続きその家には住み続けることができ、返済は契約期間終了後(または死後)に、マイホームを売却することで一括で行うので契約期間中に借りたお金を返済する必要がありません。
最終的にマイホームを手放すことになるので子供に家を残すことはできませんが、老後生活の間に住み慣れたマイホームに住み続けながら、生活資金に余裕を持たせたり、高度な医療費に充てたり、子や孫の学費に充てたり・・・と、使途が自由なこともあり、マイホームの価値を維持有効に活用したい人の支持を集めている商品です。
この仕組み自体は1980年ごろにスタートしていて、長い歴史がありますが日本ではあまり利用されませんでした。この数年、少子高齢化や長寿・高齢化が進行したことで「住まいを有効活用する方法」として注目を集めています。
リースバックは、マイホーム(自宅)を売却してお金を手に入れつつ、売却した後に賃貸契約を結んでそのままその住宅に住み続ける商品です。リバースモーゲージと大きく違うのは、リースバックはマイホーム(自宅)を担保にお金を借りるのではなく、その時点で売却することです。リースバックの場合、その時点で家を売っていることになるので厳密にはマイホームではありませんが、売却前と変わらず住み続けることができるという点は変わりません。
リバースモーゲージは古い歴史がある金融商品ですが、リースバックは2013年に株式会社ハウスドゥが開発した仕組みで、比較的新しい金融商品です。今も最大手はハウスドゥですが、最近は様々な金融機関がリースバックの取り扱いを開始しはじめています。
リバースモーゲージとは「家を後で売って一括返済することを約束してお金を借りる」商品で、リースバックは「家をすぐに売ってお金を得て賃貸(リース)契約を結んで住み続ける」商品です。それ以外にも細かなところでも違いがありますので、まとめて比較・確認しておきましょう。
リバースモーゲージ | リースバック | |
概要 | 将来、家を後で売ることを約束してお金を借りる | 家をすぐに売りつつ、賃貸(リース)契約を結んで住み続ける |
マイホームの所有者 | 本人(変わらない) | 売却先(不動産会社や投資した人) |
契約後にかかる費用 | 金利 | 賃料(リース料) |
経済条件 | リースバックや任意売却の売却代金より少ない金額しか融資してもらえないことが多い | 通常の売却よりは安い価格になることが多いが、リバースモーゲージで借りられるお金よりは高いことが多い |
年齢条件 | 50歳以上が一般的 | なし |
同居 | 配偶者しか同居できない(子供は住めない)のが一般的 | 自由 |
資金使途 | 原則自由。(投資資金・事業資金は認められない) | 自由 |
契約終了後 | 契約終了後(死後)にマイホーム(自宅)を売却して元本・利息を返済する。もし、売却益が出た場合は相続人に分配。 | 住宅の買い戻しが可能 |
対象物件 | 基本的には戸建住宅(土地の担保価値が重視される) | 戸建、マンション、工場 |
審査 | 年金収入などの審査がある | なし |
その他 |
契約者の死後、契約を配偶者に移転させることが可能な商品もある 固定資産税は引き続き支払う必要がある 住宅ローン利用中は利用できない |
売却するので固定資産税は不要 住宅ローン返済中でも利用できる
|
※上記は一般的な商品性を比較したものです。取扱金融機関によって商品性は異なります。
このようにリバースモーゲージとリースバックはマイホームを活用してまとまった資金を得られるという点では同じでも仕組みは全く異なっていることがわかります。
では、それぞれのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
リバースモーゲージ | リースバック | |
メリット |
・生きている間はマイホームに住み続けられる(商品もある) ・家賃を支払う必要がない |
・所得の審査がない(売却するだけなので) ・マンションなどの集合住宅でも利用可能 ・推定相続人の同意は不要 ・将来、資金的に余裕ができれば買い戻すことも可能 |
デメリット |
・所得審査があり利用できない場合がある ・固定資産税を支払う必要がある ・マンションなどでは利用できないケースが大半(戸建住宅のみ) ・推定相続人の同意が必要(な場合が多い) ・金利上昇・不動産下落リスクが残る |
・通常の任意売却より売却価格が安い ・毎月の家賃が発生する(毎年、売却価格の10%程度)。 ・家賃を支払えなくなった場合住み続けることができない ・名義が自分ではなくなる(厳密にはマイホームではなくなる) |
・高齢者で老後の生活資金を確保したい人
・子供に資産を残す予定がない人
・月々の返済負担を避けたい人
・今すぐまとまった資金が欲しい人
・相続資産を分けやすくしたい人
・家を買い替える計画がある人
リバースモーゲージに力を入れている銀行として真っ先に思いつくのが東京スター銀行です。2005年から提供を開始している東京スター銀行のリバースモーゲージの商品名は「充実人生」。利用人数は2022年7月19日時点で約1万4000人を突破しています。
みずほ銀行・三菱UFJ銀行などの類似商品よりも低金利で融資を受けられる点が特徴です。ただし、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪市、京都市、神戸市のような都市部だけが対象エリアなので注意が必要です。また、”預金連動”という仕組みが採用されており、東京スター銀行に預金を預け入れておくと預金部分の金利が0%になります。
資金の使い道
本人または配偶者の生活にかかる資金であれば、何にでもお使いいただけます。
※事業目的の資金や、投資目的の資金など、生活にかかる資金に該当しない資金使途の場合は、融資の対象外
※新生MyWAYは、現在受付を停止しています。
リースバックの最大手は、リースバックを最初に手掛けたハウスドゥですが、まだまだこれからの金融商品です。そんな中で傘下のリース会社と共に新規参入しているのがSBI新生銀行です。SBI新生銀行グループのリース会社である昭和リースが2017年9月15日から自宅リースバック「新生 My WAY」の取扱を開始しています。
・自宅を売却した代金は一括で受け取れるので大きな資金が必要な場合にも対応
・受け取ったお金は自由に使える
・賃貸契約の保証人は不要。また、収入制限無し
・契約期間は原則10年。10年後の退去に向けてゆっくりと準備できます
・近隣の家賃相場よりは有利な金額で賃貸契約することも
・契約終了時の市場売却額が買取額を上回った場合は利益を受け取れます(逆に下がっても損失負担不要)
近年注目を集め利用者が増加傾向にある「リバースモーゲージ」と「リースバック」。
リバースモーゲージ、リースバック共に、自宅を利用した資金調達という面では共通点がありますが、メリット・デメリットが異なるため、それぞれの商品内容と違いをしっかり調べてから利用することが大切です。
老後の資金などまとまった資金を確保する必要がある人は、ご自身の状況にあった商品を選ぶようにしましょう。
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