2023年12月7日
この記事ではPayPay銀行の住宅ローンの落とし穴になりそうなデメリットや注意点について解説しています。
目次
PayPay銀行は2019年の夏に住宅ローンの取り扱いを開始した住宅ローンです。最新・最先端を走る住宅ローンでもあり、住宅ローンの歴史が浅いとも言えます。
借り入れしたら十年単位の長い間、その金融機関と付き合うことになるので、住宅ローンを取り扱ってからまだ数年しかたっていないのは、やや不安に感じる人はいるでしょう。住宅ローンの歴史が浅い点がPayPay銀行の住宅ローンの1つ目の落とし穴と言えます。
それでは、引き続きPayPay銀行の住宅ローンの落とし穴やデメリットを中心に解説していきたいと思います。
なお、PayPay銀行の住宅ローンは非常に魅力的な水準の低金利と無料で付帯する疾病保障サービスが人気で利用者を急拡大している住宅ローンで、頻繁にキャンペーンを実施しています。最近も自己資金の有無で住宅ローンの金利が優遇される施策も開始しています。
この記事内では最新の金利やキャンペーン情報についてはこの特集ページではあまり触れていませんので、こちらのページや公式サイトPayPay銀行の住宅ローンの最新情報を確認しておくようにしましょう。
住宅ローンはメリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておくことが重要です。PayPay銀行の住宅ローンを検討中の人は、この記事を参考にメリット・デメリットを理解して思わぬ落とし穴にはまってしまうことが無いようにしましょう!
冒頭でも触れましたが住宅ローンは30年以上返済を続けていくことになる可能性がある商品なので、企業背景や業績など、その金融機関が安心して取引できる先なのかを確認しておくことも重要なポイントです。
特にPayPay銀行の住宅ローンで最大の魅力は変動金利タイプの低金利です。この「変動金利タイプ」は銀行が状況に合わせて金利を変更できるので、最悪のケースとして、業績が悪化した時に金利を引き上げられてしまう可能性もゼロではありません。
もちろん、銀行は国(金融庁)から認可をもったうえで営業ができる許認可事業なので、一般的な企業より信頼性や安心感が高い企業です。過度に心配する必要はありません。
今、銀行の収益は非常に厳しい状況が続いていて、地方銀行のように会社全体の業績が苦しくなると、構造改革・合併・サービスの改悪などが行われる可能性を否定しにくい面があり、住宅ローンの金利を経営事情で引き上げる可能性も否定しきれないと思っています。
一方で、ネット銀行は、最低限必要な事務所(本部・事務・電話対応)以外の店舗・支店を持たない形態の銀行です。店舗を持たない以外にも、自前のATMを持たず、通帳発行も行わないなど、従来の銀行と比べて、人件費・店舗費などの銀行業を提供していくための運営にかかる費用を抑えることができるので、一般的に預金金利が高く、手数料やローンの金利を安くできるという点が特徴で、将来的に経営状態が悪化する可能性は低いと言えるでしょう。
住宅ローンを選ぶときに最も重要なのは金利の低さです。住宅ローンにかかるお金の大半は住宅ローンの利息で、利息の支払い額を決める要素が金利だからです。
ただし、住宅ローンを金利や利息だけで選んで良いというわけでもありません。利息以外にも「事務手数料」「保証料」「一部繰上返済手数料」「団信・疾病保障の保険料」などの費用が住宅ローンによって違うので、それらも含めて総合的に考慮して住宅ローンの魅力を判断することが大切です。
PayPay銀行の住宅ローンは、「保証料無料」「一部繰上返済手数料無料」「一般団信の保険料無料」「がん50%保障団信の保険料無料」など多くの費用が無料ですが、借入時に支払う「事務手数料」は借入金額の2.2%(税込)が必要になります。
例えば、3,000万円を借りる場合66万円(税込)、5,000万円を借りる場合110万(税込)、1億円を借りる場合、220万円(税込)の事務手数料を支払う必要があります。
この事務手数料の水準は、金利が低くて保証料がかからないネット銀行の住宅ローンとしては標準ですが、ソニー銀行の44,000円~やSBI新生銀行の55,000円~(いずれも税込)と比較すると高めの水準です。
SBI新生銀行・ソニー銀行のように事務手数料が低くて、保証料もかからない住宅ローンと比較する時は、この事務手数料の違いに注意するようにしましょう。特に高額のローンになればなるほど、その影響が大きくなってくるので注意が必要です。
そのため、同じ金額の保証料と事務手数料を支払うのであれば、保証料を支払う方がマシ(将来戻ってくる可能性がある)という違いは見逃しがちな落とし穴の1つです。
PayPay銀行の住宅ローンの最大の魅力は金利の低さで、実際、変動金利は0.499%(全期間引下型)・10年固定金利は1.165%(当初期間引下型)で、どちらも最低水準の低金利です。気を付けて欲しいのは、「長期固定金利の住宅ローンの金利」です。
※2024年11月金利
PayPay銀行の住宅ローンの長期固定金利タイプは、現時点ではそこまで魅力的な金利とは言えず、20年~35年ぐらいの長めの期間の金利を固定したいと考えている人は、他の住宅ローンを候補に入れておいた方が良いでしょう。
PayPay銀行の住宅ローンにどんなに魅力を感じても審査基準を満たせなかったり、審査に落ちて利用できなければ全く意味がないので、審査基準にも注目しておくべきです。ちなみにPayPay銀行の住宅ローンには他の銀行の住宅ローンではほとんど見かけないような、落とし穴になりそうな審査基準が1つあります。
<主な審査基準>
審査基準 | 概要 |
年齢 | 住宅ローンの借入時の年齢が20歳以上65歳未満であること。完済時年齢は80歳未満。 |
年収 | 前年度の年収が200万円以上 |
職業 | 個人事業主・自営業・家族経営の会社の経営者は利用できない。 |
収入合算・ペアローン | 収入合算・ペアローン共に利用可能 |
資金使途 | 戸建・マンション購入(中古もOK)、戸建ての新築費用、借り換え費用。諸費用の借り入れも可能。 |
借入可能上限金額 | 2億円 |
注意してほしいポイントは、個人事業主・自営業・家族経営の会社の経営者はPayPay銀行の住宅ローンを利用できないことです。これは相当厳しい審査基準だと思います。
「正社員」「公務員(または準公務員)」であれば問題ありません。雇用体系について明記されていませんので、状況によっては審査に通る可能性はありますが、「契約社員・嘱託社員」や「派遣社員」・「パート・アルバイト」・「年金収入のみ」などに該当する人は審査に落ちる可能性が高いと考えておいた方が良いでしょう。
住宅ローンは審査に落ちる可能性や審査に通っても金利や借入金額が希望通りにならない可能性があるので、基本的には2~3社に申込みしておいた方が無難ですが、上記に該当する人はPayPay銀行以外の住宅ローンを選択肢に加えておくようにしましょう。
ネット銀行の住宅ローンは店舗で申し込む住宅ローンより審査が完了して融資されるまでに日数がかかるという特徴があります。余裕を持って申し込んだつもりでも書類不備ややり直しが発生すると希望する借入日に間に合わかったという落とし穴にはまることもあります。
PayPay銀行では住宅ローンの審査書類をすべてインターネットで完結できる手続き方法を用意しているので、郵送するよりは早く手続きを進めることができますが、「事前審査の結果が出るまでに最大で5営業日(1週間)」、「本審査を申し込んでから結果が出るまでに最大で10営業日(2週間)」かかります。それ以外にも提出する書類を準備する期間や不動産会社を交えた調整、司法書士との面談などの手続きがありますので、事前審査申込みから融資実行までに1か月はかかると考えておく必要があります。
特に多数の人が申し込みすると手続きにさらに時間がかかる可能性があります。住宅ローンの借り換えであれば、数日程度のズレは許容できると思いますが、マイホーム購入などで融資実行日がある程度定められている場合は余裕をもって申し込み手続きを進めるようにしましょう。
これまで説明した通り、PayPay銀行はネット銀行なので申し込み手続きはパソコンかスマホで進めていくことになります。コールセンターで問い合わせして相談することはできますが、パソコンやスマホをほとんど使わないような人にはPayPay銀行の住宅ローンは向いていないと言えます。
PayPay銀行の住宅ローンを利用するには申し込みする時も、申し込んだ後も基本的にはパソコンやスマホのインターネットバンキング画面で行う必要があります。パソコンやスマホではなく、店舗で手続きしたいという人には借り入れ後の残高確認や繰上返済などの手続きにも困る可能性があります。
<住宅ローンに関する主な手続き>
PayPay銀行の住宅ローンの変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」がありません。一般的に住宅ローンの変動金利には「5年ルール」「125%ルール」というルールが用意されています。このルールは急に毎月の返済額が増えないようにコントロールするためのルールで、「返済に困る家庭が増えることを防ぐ」目的で提供されています。
変動金利タイプは金利があがってもおかしくなくいこと、また、PayPay銀行の住宅ローンにこのルールが存在しないこと、また、住宅ローンを開始したのは2019年のつい最近なので実績が浅いことのは事実なので、PayPay銀行で変動金利を借りる予定の人は認識しておくようにしましょう。
auじぶん銀行の住宅ローンはこれらのルールを採用しているので、心配な人はauじぶん銀行の住宅ローンを候補にいれてみることをおすすめします。
以下にこの2つのルールを簡単に解説しておきますのでご参考ください。
変動金利の金利は市場の金利に照らし合わせながら銀行が決定しますが、銀行が「住宅ローンの変動金利の金利があがっても、5年間は毎月の返済額を変更しない」のが5年ルールです。
ポイントは「変動しないのは毎月の返済額」であって、金利ではありません。そのため、毎月の返済額を変えずに元本と利息の返済割合の調整が行われます。具体的には「利息返済が増えた分、毎月の元本返済が減る」ということになります。毎月の返済額が変わらないのは安心感がありますが、その一方で住宅ローンの元本返済スピードが遅くなる影響で総返済額は増加することになります。
125%ルールは、先ほど説明した5年ルールをさらに発展させたルールで、毎月の返済額が変わらない5年間が終わった後の返済額の見直し時に「見直し前の毎月の返済額より125%より多い金額にしない」というルールです。例えば、毎月10万円返済していた人の返済額が見直されたとしても12.5万円までしかあがりません。なお、この12.5万円にも5年ルールが適用されますので、5年間の毎月の返済額は12.5万円で確定し、その5年後の見直し時にも125%ルールが適用されるので最大で約15.6万円になります。
ポイントは、仮に本来の見直し後の返済額が13万円だった場合、このルールで減った月5,000円の減額分はさらに5年たった後に負担していく必要がありますし、元本返済スピードは遅くなるのでやはり総返済額が増えることになります。
PayPay銀行の住宅ローンの変動金利は「住宅ローンの金利があがったら、その金利に応じて返済額が決まっていく」というシンプルな設計が採用されているだけですが、日本の住宅ローン業界ではこの5年ルールと125%ルールが普及していることもあって、このルールを採用していない少数側に回っているというように理解しておきましょう。なお、PayPay銀行と同様にこのルールを採用していない他の銀行にSBI新生銀行とソニー銀行があります。
次にPayPay銀行の業績について確認しておきましょう。
以下はPayPay銀行の業績の推移です。順調に経常利益が増加していることがわかります。PayPay銀行という名前になったは2021年ですが、そこを契機に経常利益が急増しています。
日銀の金融政策による低金利が長引き、多くの銀行が業績悪化に苦しんでいることを考えると、PayPay銀行の業績は全く問題ないと言えるでしょう。
2019年に登場しているPayPay銀行の住宅ローン。最新・最後発の住宅ローンとして非常に魅力的な商品ですし、PayPay銀行に名前を変えて一気に商品性を改善してきました。もちろん、auじぶん銀行・楽天銀行・SBI新生銀行など様々なライバル商品があり、それぞれが商品性を差別化して魅力ある住宅ローンを提供できるように企業努力を繰り返していますので、誰にとっても1番の住宅ローンと言うものは存在しませんが、PayPay銀行の住宅ローンは借入先候補に加えておいて損はない商品と言えるでしょう。
一方で、今回の記事で解説した通り、気を付けておきたいポイントもありますので、その辺も念頭にしっかりと住宅ローン選びを行うようにしましょう。
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