2024年7月4日
メガバンクと肩を並べる大きな規模の銀行として、信託銀行として国内最大の三井住友信託銀行があります。
三井住友信託銀行は全国の主要都市を中心に店舗を構えています。また、住宅ローンに長い期間力をいれてきたので、全国の不動産業者との提携が進んでいて、それらの提携先経由の申込を獲得することで順調に住宅ローンの利用者や融資残高を増やしています。
三井住友信託銀行の住宅ローンには、ネット銀行の住宅ローンのような無料の疾病保障はありませんが、まずまず低い金利ですし、店舗がある従来型の銀行の住宅ローンとしては魅力的な住宅ローンを提供しています。ただし、審査結果で適用金利が大きく変動するというデメリットなどもあるので注意が必要です。
この記事では、三井住友信託銀行の住宅ローンの審査基準について解説していきたいと思います。
三井住友信託銀行は全国に約130店舗の支店がある大手銀行で、厳密には三井住友トラスト・ホールディングスの傘下の信託銀行です。
預金残高は信託銀行の中では断トツで1位で、メガバンクに次ぐ規模で預金を預かっている日本を代表する大手銀行です。
なお、資産運用残高、資産管理残高、投資信託受託残高では国内1位です。日本の国家予算の2倍ぐらいの規模の資産の管理を行っているほどです。競合銀行に、みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行などの競合の信託銀行がありますが、銀行規模は比べようもないぐらいの違いがあり、信託銀行の中では三井住友信託銀行が圧倒的です。
また、三井住友信託銀行は、ネット銀行最大手の住信SBIネット銀行の親会社で、住信SBIネット銀行のWEBサイトから申し込むことができる「ネット専用住宅ローン」は三井住友信託銀行が提供している住宅ローンで、子会社を活用することでインターネット上の住宅ローンとして大成功しています。
三井住友信託銀行は変動金利から30年固定金利までの住宅ローンを扱っています。
疾病保障サービスの商品ラインナップも豊富です。2020年11月からは8大疾病保障に失業保障を追加するなど、住宅ローンサービスの拡充に注力しています。ただし、ネット銀行の住宅ローンのような無料の疾病保障サービスがないのが弱点です。
なお、三井住友信託銀行の住宅ローンの落とし穴、注意点の1つに「住宅ローンの審査の結果で提示される住宅ローン金利が変わる」という点が挙げられます。詳細は本ページの下部を確認してください。
auじぶん銀行は2025年2月の変動金利を年0.434%(全期間引下げプラン・物件価格の80%以下で新規借入時) という魅力的な金利で提供しています。
※物件価格の80%超で新規お借入れの場合、表示金利に年0.045%上乗せとなります。
※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。
金融機関は住宅ローン審査基準について公表をしておらず、審査に落ちてもその理由を開示してくれるとはありません。最近ではソニー銀行や住信SBIネット銀行のように審査にAIを導入するなど住宅ローン審査の仕方にも変化がありますが、審査申し込みをする方々から見た不透明感、不安に変化はないでしょう。
住宅ローン審査基準の参考になるのが、各社が公開している商品概要説明書です。この商品概要説明書にその住宅ローンはどういったものなのか、利用可能な方はどういった人物像なのか明記されています。商品概要説明書だけで審査基準を伺いするのは難しいですが、1つの参考資料としては貴重な存在です。
本ページではその商品概要説明書を参考にしながら審査基準を読み解いていきたいと思います。
まず、三井住友信託銀行の住宅ローンを利用できる方の基本的な条件について確認してきたいと思います。この条件を満たさないと、物件の担保価値に問題が無くても審査に通らないことになります。
仮審査申し込み時点で20歳以上、借入時満66才未満、かつ完済時のご年齢が満 81才未満となっており、他の金融機関と比較して大きな違いはありません、強いて言うと一般的には借り入れ時年齢65歳未満、完済時年齢80歳未満としているケースが多いので、三井住友信託銀行は年齢面で若干許容範囲が広いといえるでしょう。
なお、三井住友信託銀行が取り扱う疾病保障に加入する場合には56歳未満までに住宅ローンを組む必要がある点に注意です。(20歳以上46歳未満、46歳以上56歳未満で保険料が異なる)
前年度の年収を100万円~400万円としている金融機関が多い中で、三井住友信託銀行では「安定した年収が見込まれる方 」としか商品概要説明書の中で記載をしていません。
一般的に住宅ローンの審査に通るのには300万円程度の年収が必要とされているので、同行でも同程度の年収が必要と考えてよいでしょう。
年収的に審査結果が心配という方は、住宅金融支援機構が提供するフラット35への申し込みを併せて行うと良いでしょう。
フラット35取扱シェア1位のARUHIの公式サイトはこちらから
もちらも職業については明記はありませんが、一般的な住宅ローン同様にパート・アルバイトへの融資は不可、派遣社員・契約社員については審査厳しめと考えてよいと良さそうです。
自営業、会社経営者に対する住宅ローン貸し出しも行っていますが、確定申告書や法人の決算書など多くの審査書類の提出が必要となります。
職業 | 勤続年数 |
---|---|
会社員(正社員)・公務員など | 1年(ただし転職直後の場合には内定通知書が必要) |
派遣社員 | 1年 |
契約社員 | 1年 |
会社役員 | 2年(2期分の決算書が必要) |
個人事業主・自営業 | 2年(2年分の確定申告書が必要) |
住友生命保険相互会社の団信の審査に通ることが条件となります。過去3年以内の病歴、通院歴などの告知義務があります。持病などによっては団信の審査に通らない可能性があるので注意が必要です。
団信には加入条件を緩和したワイド団信(保障内容は一般団信と同じ)と言う種類もありますが、三井住友信託銀行では取扱がないので、auじぶん銀行やソニー銀行など取扱のある銀行への審査申し込みも行うとよいでしょう。
三井住友トラスト保証株式会社の保証が必要となります。なお、保証には金利換算で年0.2%程度の保証料が必要となります。
※保証料なしの融資事務手数料2.20%(税込)の商品タイプも選択可能
次に資金用途について確認していきたいと思います。三井住友信託銀行の商品概要書では下記のように定めらています。
新築戸建て、中古戸建て、新築マンション、中古マンションはもちろん注文住宅の底地購入にも活用が可能です。
なお、定期借地権の住宅には利用できないため、定期借地権の住宅の購入予定の場合には公的な住宅ローンであるフラット35への申し込みを行ってください。
三井住友信託銀行ではつなぎ融資のサービスはありませんが、リレープランフレックスで住宅ローンの分割貸出に対応できるケースがあります。
三井住友信託銀行の住宅ローンの借入限度額は1億円までとなっています。近年、1億円を超える貸し出しに対応している住宅ローンも出てきていますが、三井住友信託銀行では1億円となっています。1億円を超える住宅ローン借り入れを行いたい場合には、低金利のauじぶん銀行やソニー銀行が選択肢として有力です。
借り入れ期間は最長で35年となっていますが、三井住友信託銀行の固定金利は30年までしかない取り扱いがない点には要注意です。
三井住友信託銀行の住宅ローン金利は審査により変動する仕組みとなっています。
審査を行ったうえで、「この人には〇%」「この人には▲%」と言うように適用する金利を変更することとしているためです。そのため、審査に通っても1%以上の金利を提示される可能性もあります。ネット銀行の住宅ローンの変動金利は年0.50%以下での競争なので、ネット銀行の2倍もの金利を提示される可能性があることは大きなデメリットです。
この金利変動幅を考え、住宅ローン申し込む先は三井住友信託銀行だけに絞り込まず、他の住宅ローンにも申し込むことをおすすめます。
三井住友信託銀行は住宅ローン審査にかかる期間を公式サイトで明示的に公開はしていませんが、メガバンクバンク同様に仮審査申し込みから融資実行まで1か月半程度の期間を要すると考えてよさそうです。
正社員 | 契約社員・派遣社員 | 自営業・個人事業主 | 会社役員・社長 | |
---|---|---|---|---|
身分証明書(免許証、パスポート、保険証など | ○ | ○ | ○ | ○ |
源泉徴収票 | ○ | ○ | ○ | |
住民税決定通知書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
会社の決算書2期分(勘定科目内訳明細書を含む) | ○ | |||
確定申告書(付表を含むすべての申告書類) | ○ | ○(確定申告をしている場合) | ||
納税証明書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
物件に関する書類 | ○ | ○ | ○ | ○ |
借り換えに関する書類(返済予定表) | ○ | ○ | ○ | ○ |
三井住友信託銀行の住宅ローン審査基準について解説してきました。
大手銀行だけに、住宅ローンの審査項目に厳しい基準があるのは否めません。年収や職業などで明確な基準を開示していない点が気になりますが、特別に審査が厳しいという印象はありません。
ただし、三井住友信託銀行の住宅ローンの金利は審査の結果で大きく変動する仕組みです。金利に幅を加えることで、リスクをコントロールしているわけですが、本審査が最終的に終わるまで適用される金利が決定しないのは、私たち住宅ローンの利用者側から見ると心配です。
また、健康状態に不安がある方は、低金利+ワイド団信の取り扱いがあるauじぶん銀行やソニー銀行への申し込みを並行して進めておくと良いでしょう。
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