2026年6月20日

住宅価格の高騰が続くなか、毎月の返済額を抑えながらマイホームを持つ方法として「残価設定型の住宅ローン」への注目が高まっています。国土交通省も普及を後押ししており、これから家を買うご家族にとって、知っておきたい新しい選択肢の一つになりつつあります。
もともとは2020年に国土交通省が官民共同での開発に着手し、2021年度のモデル事業開始を見込んでいた仕組みですが、その後、住宅価格の上昇を背景に取り組みが進みました。2025年には国土交通省が民間金融機関による提供を本格的に後押しし、令和7年度補正予算で、残価が当初の想定を下回った場合の金融機関の損失をカバーする住宅融資保険制度(住宅金融支援機構)を創設するなど、普及に向けた環境が整い始めています(2026年6月時点)。
返済対象となる金額を抑えることで月々の支払い負担を軽くできるのがメリットで、トヨタ・日産・ホンダ・スバルなど多くの自動車メーカーが取り扱っています。

引用;トヨタ自動車
住宅の残価設定型も基本的な考え方は自動車と同じで、ローンの満期が来た際には
①残価で住宅を買い取る
②再度ローンを組む
③家を売却する
のいずれかを選ぶことになります。あらかじめ将来の売却を前提に「残価」を決め、その分の返済を後ろ倒し(または不要)にすることで、毎月の返済額を抑えられる点が特徴です。
住宅の残価設定型は2019年11月にSBI新生銀行が取り扱いを開始しており、現在は「パワーセレクト(支払額軽減住宅ローン)」として、旭化成のヘーベルハウスを契約されるお客さま向けに提供されています(旭化成不動産レジデンスが一定額での買い取りを保証)。また、移住・住みかえ支援機構(JTI)の残価保証の仕組みを使い、大和ハウスなど一部のハウスメーカーでも利用が広がりつつあります。一方で、対象となる住宅が長期優良住宅など高品質な物件に限られるなど、まだ誰でも使えるわけではありません。
残価設定型を成り立たせるには、一定期間後の住宅価格をあらかじめ見積もる必要があるため、住宅の資産価値を見極める仕組みづくりが重要になります。
住宅の残価設定型のデメリットとして、残価部分にも金利がかかり続けるため、一般的な住宅ローンと比べて総支払額(利息の総額)は増えやすい点があります。毎月の返済額を抑えられても、トータルで支払う金額は多くなりがちなので、家計全体で「月々の負担」と「総返済額」のどちらを優先するかを冷静に見極めることが大切です。
とくに教育費がかさむ時期に月々の返済を抑えられるのは子育て世帯にとって魅力ですが、満期時に「買い取る・借り換える・売る」のいずれかを判断する必要がある点も、あらかじめご家族でよく話し合っておきたいポイントです。
国の保険制度の創設や住宅価格の高騰を背景に、残価設定型の住宅ローンは少しずつ広がり始めています。ただし、取り扱う金融機関やハウスメーカーはまだ限られており、対象となる住宅にも条件があります。利用を検討する場合は、対象物件・残価の設定方法・総返済額を、必ず取扱金融機関やハウスメーカーで確認しましょう。
住宅ローンの金利は時期によって変わります。2026年6月時点では、日本銀行の利上げを受けて政策金利は1.0%程度まで引き上げられ、全期間固定のフラット35(買取型)は年3%台と上昇しています(かつてのマイナス金利政策はすでに終了しています)。変動金利は依然として低めの水準を保つ銀行が多いものの、今後の見直しで上がる可能性もあります。総支払額を抑えたいなら、ネット銀行の変動金利(auじぶん銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行)や、長期固定のフラット35(アルヒ)なども比較しながら、残価設定型と一般的な住宅ローンのどちらがご家庭に合うかを判断するとよいでしょう。最新の金利・取扱条件は各公式サイトでご確認ください。
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