2024年11月16日
フラット35は、独立行政法人の住宅金融支援機構が提供している住宅ローンで、申込窓口業務について民間の金融機関と提携しながら提供されている住宅ローンです。申込の受付は提携金融機関が行っていますが、住宅ローンの審査基準や商品性は基本的に住宅金融支援機構が決定しています。
毎年制度改正されているフラット35ですが、2017年4月のフラット35の制度改正アシューマブルローンが登場しました。
目次
”名前がわかりにくい”という評判があったのかは定かではありませんが、2018年4月に名前が「金利引継特約付きフラット35」に変わりました。2024年3月時点で約30社の金融機関で取り扱っています。フラット35は全国で300社以上の金融機関で取り扱っているので、アシューマブルローン事態はまだまだ浸透していません。
金利引継特約付き【フラット35】とは、【フラット35】の返済中に長期優良住宅を売却する場合に、その住宅を購入する方に【フラット35】の債務を引き継ぐことができる住宅ローンです。
住宅を購入する人は、住宅を売却する方が利用していた借入金利のままでフラット35の返済を引き継ぐことができます。
※長期優良住宅とは長く安心・快適に暮らせる優良な住宅として国が定めた基準を満たし認定を受けた住宅です。
メリット・デメリットがわかりにくいので具体的な例で考えてみましょう。
まず、フラット35で4000万円を年1.35%で借りてマイホームを購入し、その10年後にその住宅を売ることをイメージしてみてください。
10年後に売るときに住宅ローンの元本は3000万円残っていて、マイホームが3300万円で売れたとします。
一般的な住宅売却の場合、売買契約が成立したら、①最初に住宅の買い手は3300万円の住宅ローンを契約(頭金がない場合)し、そのお金をあなた(不動産仲介会社)に3300万円を支払います。そして、②売り手(あなた)は、3000万円を住宅ローンの完済することになります。結果として、③手元に300万円の現金が残ることになります。
では、金利引継特約付き【フラット35】(アシューマブルローン)を利用した場合はどうなるでしょうか?
先ほどのケースで金利引継特約付き【フラット35】(アシューマブルローン)を利用した場合、①住宅の買い手が、3000万円の住宅ローンを引き継ぎつつ、住宅ローンの元本と住宅価格の差額の300万円をあなたに支払います。②結果としてあなたの手元には300万円残るわけです。
これだけでは300万円が手元に残るのは全く変わらずメリットがあるようには思えません。
この商品が大きな効果を生み出すのは、金利情勢が変わったとき、金利が上がった時です。
金利引継特約付き【フラット35】のメリットを理解するための重要なポイントは、①の「あなたから住宅を買う人は、通常はその時点で住宅ローンを組む」という手続きにあります。
もし、10年後の住宅ローン金利が上昇していたら、普通はその時点で新しく住宅ローンを組む必要があります。つまり、あなたの家を買ってくれる人は、今よりも高い金利の住宅ローンを契約しなければならないことになります。
今から約10ちょっと前の2007年・2008年ごろフラット35の金利は3%を超えていました。わかりやすく計算するために、今から10年後のでフラット35の金利が3.0%まで上昇していたとしましょう。
住宅の買ってくれる人が、3300万円の住宅を金利3.0%で25年・元利均等返済した場合の総返済額は約4700万円程度になります。つまり、あなたから購入した物件のために4200万円を超える住宅ローンを返済しなければならないことになります。
もし、買い手があなたのフラット35お条件を引き継いだ場合、「住宅の買い手の方」が残りの25年かけて返済する住宅ローンの総返済額は約3800万円になります。先ほどの4268万円の総返済額と比べると900万円程度削減できることになるのです。
なんとなく、金利引継特約付き【フラット35】が住宅を買ってくれる人にメリットがあることは理解できたと思いますが、アシューマブルローンは「あなたにとってメリットは全くなくて」、「あなたから住宅を購入する人だけが得する」制度なのでしょうか?
決してそんなことはありません。
例えば、同じマンションの同じ間取りの隣同士の部屋が、3300万円で売りに出されていたとします。片方はその時点の相場で住宅ローンを契約する必要があって、その総返済額は約4700万円。もう一方は金利引継特約付き【フラット35】を利用することで総返済額で3800万円程度になります。これだけ総返済額が違ってくるわけですから、金利引継特約付き【フラット35】があることで、100万円~500万円ぐらい高く売れる可能性すらありそうです。
まだそこまで制度が浸透していませんし、住宅ローンの金利が上昇しているわけではないので話題になることすらほとんどありませんが、この制度を利用することは住宅の売り手(ここではあなた)にとっても大きなメリットになり得ると言えるのです。
金利引継特約付き【フラット35】を利用する価値がない(売却時に金利が上昇してない)場合は利用しなくても良いだけなので、金利引継特約付き【フラット35】にはデメリットは特にありません。おそらく住宅購入した後は「物件の価格あがれ!」だけでなく「住宅ローンの金利あがれ!」と期待するようになるかもしれません。
ただ、取り扱い金融機関がまだまだ少なくて選択肢が狭いという点がデメリットと言えばデメリットですが、いつか家を売ろうと考えているのであれば、この金利引継特約付き【フラット35】の付加価値は高いと言えるでしょう。
2024年11月時点ではまだ30社程度の金融機関しかアシューマブルローンに対応していません。
制度改正(2017年4月施行)から7年ぐらい経過していますが、まだまだ金融機関も反応していないようです。
今後、金利上昇するかも?というような雰囲気が高まってくれば導入する金融機関も増えてくると思うのですが。
※金利引継特約付き【フラット35】が利用できる物件には条件があります。詳しくは住宅金融支援機構のホームページを参照ください
※「住宅ローンの買い手」の方の審査次第ではフラット35を引き継げない可能性もあります
フラット35の金利引継特約(アシューマブルローン)は、住宅を将来譲渡する際に契約者の金利条件を引き継げる点が魅力です。特に低金利時代の契約では大きなメリットとなり、住宅資産価値を高める可能性があります。一方で、条件次第では金利が不利になる場合もあるため、十分な検討が必要です。自身のライフプランと市場動向を踏まえた選択が重要です。
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