公開日: 2026年9月2日 更新日: 2026年9月26日

住宅ローンの借り入れや借り換えを検討するとき、最初に考えなければならないのが金利タイプの選び方です。
2026年は日本銀行が利上げを進めている局面です。日銀は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ(約31年ぶりの水準)、2026年9月には三菱UFJ銀行・三井住友銀行が変動金利の最優遇金利を引き上げるなど、変動金利への影響も広がりつつあります。変動金利タイプを選ぶ方は、将来金利が上がっても自分の判断に納得できるところまで、しっかり理解を深めておくことをおすすめします。家計を預かる立場としては、目先の低さだけでなく「上がったときに耐えられるか」まで考えておくと安心です。
住宅ローンの金利タイプは、どの金融機関に申し込むかを決める前に、ある程度決めておく必要があります。金融機関によって得意とする(力を入れている)金利タイプが違うため、先に金利タイプを選び、その金利タイプで有利な金利を出している金融機関を探すようにしましょう。
一般的な住宅ローンには、大きく3つの金利タイプがあります。金利タイプを選ぶには、まずこの3つのメリット・デメリットを理解しておく必要があります。金利タイプ選びとは、簡単に言えば「変動金利で借りるか」「固定金利で借りるか」を決めるということです。

| 全期間固定型 |
住宅ローンの金利が変わらず、完済までの毎月の返済額が確定できるので将来設計が立てやすい。返済中に市場金利が上昇しても住宅ローンの支払いに影響しない。 一般的に「固定金利選択型」や「変動金利型」よりも金利が高い。 |
| 固定金利選択型 | 一定期間の金利を固定できるので、その期間の毎月の返済額を確定できる。金利を固定して情勢を見ながら見直すことができる。一般的に「全期間固定型」よりは金利が低く、「変動金利型」よりは金利が高い。 |
| 変動金利型 | 市場金利が上昇すると毎月の返済額が増える可能性がある。一般的には「全期間固定型」「固定金利選択型」よりも金利が低く、金利が上がらなければ最終的な総返済額を抑えられる。 |
金利タイプを選ぶうえで知っておきたいのが、変動金利と固定金利では、連動する「基準」がそもそも違うということです。変動金利は短期プライムレート(日銀の政策金利の影響を受ける短期の金利)を基準に見直されるのに対し、固定金利やフラット35は長期金利(10年物国債の利回りなど)の動きを反映して毎月決まります。
2026年9月は、この違いが数字にはっきり表れました。長期金利の上昇を受けて、フラット35(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の金利は前月の年3.290%から年3.460%へ引き上げられ、10年固定も大手行で引き上げが相次ぎました。一方、変動金利で最優遇金利を引き上げたのは大手5行のうち三菱UFJ銀行(年1.195%)と三井住友銀行(年1.525%)の2行で、みずほ銀行(年1.025%)・りそな銀行(年0.950%)などは据え置きです(いずれも新規借り入れ・2026年9月1日時点の公表金利。最優遇金利は所定の条件を満たした場合のもので、実際の適用金利は審査などで決まります)。
| 金利タイプ | 連動する基準 | 2026年9月の動き |
|---|---|---|
| 変動金利型 | 短期プライムレート(政策金利の影響) | 大手5行のうち2行が引き上げ・3行は据え置き |
| 固定金利選択型(10年など) | 長期金利(10年国債利回りなど) | 大手行で引き上げが相次ぐ |
| 全期間固定型(フラット35) | 長期金利 | 年3.290%→年3.460%(+0.170%幅) |
当社編集部が2026年9月に主要14の金融機関・機関の公式サイトを実際に確認し、127件の適用金利を集計したところ、前月と比較できた127件のうち106件が引き上げ、21件が据え置きでした(当社調べ・2026年9月1日確認)。「固定はすでに上がり、変動は銀行によって対応が分かれている」のが今の局面です。なお、日銀の次回の金融政策決定会合は2026年9月17日・18日に開かれます。将来の金利は誰にも分からないからこそ、どちらのタイプを選ぶにしても「上がった場合に家計が耐えられるか」を確認しておくことが大切です(最新の金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。
変動金利は、市場金利の変動にあわせて返済期間中でも定期的に金利が変わります。とはいえ、いつ変わるかはあらかじめ決まっていることが多く、基本的には半年に1度、短期プライムレートの変動に応じて適用金利が見直される仕組みです。
また、変動金利の元利均等返済(毎月の返済額が返済開始から終了まで均等になる返済方式)では、毎月の返済額は5年ごとに見直されます(5年ルール)。つまり、5年以内に金利が上がっても、6年目以降の返済額が変わるまでは月々の支払いは据え置かれ、その分、利息の割合が増えることになります。
さらに、返済額が見直される際も、引き上げ幅は直前の返済額の1.25倍までに抑えられます(125%ルール)。急に返済額が跳ね上がらない安心がある一方、金利上昇幅が大きいと返済しきれない利息=「未払利息」が発生する恐れがあります。未払利息は最終返済日などにまとめて支払うことが多く、家計の負担になり得ます。金利上昇時の「毎月返済額の変動」と「未払利息」は、変動金利を選ぶときに必ず押さえておきたい注意点です。
なお、この5年ルール・125%ルールが適用されない住宅ローンもあります(SBI新生銀行・ソニー銀行など)。これらは金利が上がればその都度返済額に反映されるため、上昇局面ではより早く影響が出ます。一方で未払利息はたまりにくいという特徴もあり、ルールの有無は申込前に必ず確認しておきましょう。
変動金利に向いているのは、ダブルインカムの共働き夫婦と言われます。片方の収入に頼るケースより家計に余裕が出やすく、夫婦で多く稼げるうちに住宅ローンをできるだけ返してしまう、という戦略が取りやすいからです。変動金利を選ぶときは、「返済期間を短めに設定する」「金利が低いうちに繰上返済をがんばる」の2点を意識したいところです。ただし、教育費がかさむ時期や、どちらかが働けなくなった場合も見据えて、返済額に余裕を残しておくことが大切です。
変動金利の最大のメリットは、固定金利に比べて金利が低いこと。同じ期間・同じ借入額なら、変動金利のほうが毎月の返済額は少なくなります。そのぶん「変動金利で返済期間を短く組む」ことも可能になります。金利上昇のリスクを抑えるためにも、無理のない範囲で返済期間を短めにするのは有効です。
低金利のうちに繰上返済をがんばれば、その分早く完済できます。低金利の恩恵を最大限受けるには、短期間で完済することが重要です。繰上返済はその全額が元金に充当されるため、もともと毎月の返済額に占める利息部分が少ない変動金利では、より効率のよい返済になります。ただし、手元の生活防衛資金や教育費を取り崩してまで繰り上げるのは禁物。家計に無理のない範囲で続けるのがコツです。
金利が動き始めた今、将来的に金利が上昇する可能性は十分にあります。ただ、上昇した時点で残高が少なくなっていれば、そのリスクは抑えられます。変動金利の特徴をしっかり理解し、現在の低めの金利の恩恵を上手に享受したいですね。なお、最新の適用金利や5年ルール・125%ルールの有無は、各金融機関の公式サイトでご確認ください。
A. 教育費など先々の支出が見通しにくいご家庭は、毎月の返済額が一定になる全期間固定(フラット35など)や固定金利選択型のほうが家計の計画を立てやすく、安心材料になります。当面の返済額を抑えたい場合は変動も選択肢ですが、その場合は金利上昇に備えて貯蓄の余力を残しておきましょう。
A. 一つの目安として、金利が1〜2%上がっても返済を続けられるかを試算しておくと安心です。シミュレーションで「金利上昇後の返済額」を確認し、その額でも家計が回る範囲の借入にとどめると、上昇局面でも慌てずに済みます。
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