2024年3月14日
この記事では、2021年10月1日から取り扱いが始まっている住信SBIネット銀行の住宅ローンに付帯できる「スゴ団信」について解説します。
住信SBIネット銀行の住宅ローンは低金利と無料の疾病保障が魅力の住宅ローンとして人気を集めていますが、最大の差別化要素はこの「スゴ団信」です。もちろん、スゴ団信利用時でも住宅ローンの金利の低さは変わらず、魅力的です。ただし、40歳・50歳などの年齢によってサービス内容が違う点には注意が必要です。
一般的に、保障内容が充実した団信を選ぶと住宅ローンの借入金利が高くなってしまいます。ところが、住信SBIネット銀行のスゴ団信の場合、所定の条件を満たす場合は、金利上乗せなしでかなり手厚い疾病保障を付けることができます。
目次
住信SBIネット銀行は三井住友信託銀行とSBIホールディングスが出資して立ち上げられたネット銀行です。一般的に、ネット銀行は、通常の銀行に比べて、不動産関連費用や人件費が少なく済むので、良い条件で様々な金融商品を提供している傾向があります。
実際、住宅ローンの業界の中では、住信SBIネット銀行の住宅ローンは低金利と無料の疾病保障で高い人気を集め続けています。
それでは、さっそく「スゴ団信」の特徴について確認していきましょう。
住信SBIネット銀行のスゴ団信の特徴は、死亡・高度障害時に残債相当の保険金が支払われる通常の団信に加えて、3大疾病50%保障と全疾病保障が40歳未満の場合は金利上乗せなしで利用できる点です。
40歳以上の方は金利の上乗せは必要ですが、それでもかなり魅力的な内容になっています。
◎:住宅ローン残高がゼロになる
〇: 住宅ローン残高が半分になる
△:毎月の住宅ローン返済額分の保険金が支払われる
×:保障なし
プランの名称 |
3大疾病50 |
3大疾病100 |
||
上乗せ金利 |
なし |
+年0.2% |
||
保障内容 |
団信リビングニーズ特約 |
死亡、高度障害、リビングニーズ特約 |
◎ |
◎ |
3大疾病保障特約 |
がんと診断された場合 |
○ |
◎ |
|
脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になった場合 |
○ |
◎ |
||
全疾病保障 |
8疾病で働けない場合 |
△ |
△ |
|
8疾病以外のケガや病気で働けない場合 |
△ 3ヶ月の免責期間あり |
△ 3ヶ月の免責期間あり |
||
8疾病で働けない状態が12ヶ月継続した場合 |
◎ |
◎ |
||
8疾病以外のケガや病気で働けない状態が24ヶ月継続した場合 |
◎ |
◎ |
||
重度ガン保険金前払特約 |
重度のがんと判断された場合 |
◎ |
◎ |
|
先進医療特約 |
先進医療を受けた場合 |
先進医療の自己負担分の保険金が支払われる |
先進医療の自己負担分の保険金が支払われる |
(出所)住信SBIネット銀行 団体信用生命保険(スゴ団信)
◎:住宅ローン残高がゼロになる
〇: 住宅ローン残高が半分になる
△:毎月の住宅ローン返済額分の保険金が支払われる
×:保障なし
プランの名称 |
基本プラン |
3大疾病50 |
3大疾病100 |
||
上乗せ金利 |
なし |
+年0.25% |
+年0.4% |
||
保障内容 |
団信リビングニーズ特約 |
死亡、高度障害、リビングニーズ特約 |
◎ |
◎ |
◎ |
3大疾病保障特約 |
がんと診断された場合 |
× |
○ |
◎ |
|
脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になった場合 |
× |
○ |
◎ |
||
全疾病保障 |
8疾病で働けない場合 |
△ |
△ |
△ |
|
8疾病以外のケガや病気で働けない場合 |
△ 3ヶ月の免責期間あり |
△ 3ヶ月の免責期間あり |
△ 3ヶ月の免責期間あり |
||
8疾病で働けない状態が12ヶ月継続した場合 |
◎ |
◎ |
◎ |
||
8疾病以外のケガや病気で働けない状態が24ヶ月継続した場合 |
◎ |
◎ |
◎ |
||
重度ガン保険金前払特約 |
重度のがんと判断された場合 |
◎ |
◎ |
◎ |
|
先進医療特約 |
先進医療を受けた場合 |
先進医療の自己負担分の保険金が支払われる |
先進医療の自己負担分の保険金が支払われる |
先進医療の自己負担分の保険金が支払われる |
(出所)住信SBIネット銀行 団体信用生命保険(スゴ団信)
上記に記載している内容の正確性には留意していますが、正確な情報は以下の公式サイトで確認しておくようにしてください。
それでは、ここからさらに保障内容について詳しく解説していきます。
団信の最も基本的な保障は死亡または高度障害時に住宅ローン残高がゼロになる保障です。スゴ団信にも一般的な死亡・高度障害時の保障は付いています。
高度障害とは、両眼の視力を永久に失った状態や言語またはそしゃく機能を永久に失った状態の他、神経系や身体における所定の障害状態等のことをいいます。詳しくは、引受保険会社であるSBI生命保険会社の被保険者のしおりをご覧ください。
また、リビングニーズ特約も付帯しています。リビングニーズ特約とは、医師の診断書等を元に保険会社が顧客の余命が6ヶ月以内であると判断した時に、住宅ローン残高がなくなる保障です。
※SBI生命保険株式会社の被保険者のしおりより。(2021年10月2日にみんなの住宅ローン編集部確認)
3大疾病保障特約は、ガン、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になった時に保険金が支払われる特約です。3大疾病50プランの場合は、住宅ローン残高の半分、3大疾病100プランの場合は、住宅ローン残高の全額分が支払われます。
ガンの場合は「悪性新生物」と診断確定されることによって保険金が支払われます。
ただし、ガンの中でも皮膚がん(悪性黒色腫以外)、上皮内ガン、大腸粘膜内ガン等は軽度のガンということもあり、保険金の支払い対象にはならない場合があります。
日本人の2人に1人が生涯でガンになるといわれているので、この保障は付いているのと付いていないのとでは安心感が全く異なるでしょう。
一方、急性心筋梗塞と脳卒中の場合は、ガンと比較するとやや保険金が支払われるためのハードルが高くなっています。保険金が支払われる状態は以下の通りです。(詳しくはSBI生命保険株式会社発行の被保険者のしおりをご覧ください。)
ここで、急性心筋梗塞と脳卒中の場合の保険金支払い条件がガンと比較すると厳しいと感じる方は多いと思います。しかし、3大疾病保障付の団信を提供している他の銀行の団信の保険金支払い条件を見てみると、実は住信SBIネット銀行の条件と近い条件になっている銀行が多いという印象を受けます。
また、他行の場合は、金利上乗せ型の残債100%保障タイプの3大疾病保障をオプションとして設けているのが一般的ですが、住信SBIネット銀行のスゴ団信の場合は、40歳未満であれば金利上乗せなしで残債を50%保障するタイプが選択できるのも魅力的です。また、3大疾病保障に加えて次に述べる全疾病保障を合わせて利用できるのはスゴ団信の大きな特徴になっています。
住信SBIネット銀行の全疾病保障は就業不能時を保障します。就業不能とは、病気やケガで入院しているか、医師の指示で自宅療養をしている状態のことをいいます。
他行で見受ける入院時のみを保障するタイプの団信よりも保障範囲は広いといえます。
保険金が支払われる条件は、8疾病の場合と8疾病以外の場合で異なります。
なお、全疾病保障は、基本プラン、3大疾病50プラン、3大疾病100プランに付帯されており、保障の開始はローン実行日から3ヶ月間の待機期間が過ぎてからとなります。
住信SBIネット銀行の全疾病保障は、特定疾病(悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中)と重度慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)を合わせた8疾病により就業不能状態となり、そのまま住宅ローンの支払日が来た時に保険金が支払われます。支払われるのは毎月の住宅ローン返済額分であり、8疾病の場合は最長で12ヶ月分となっています。
そして、12ヶ月継続して就業不能状態が続いた場合は、住宅ローン残高全てが保険金によって返済されます。
上記の特定疾病と重度慢性疾患以外の病気やケガで就業不能となった場合は、3ヶ月の免責期間があります。3ヶ月の免責期間を超えても就業不能状態が続いており、そのまま住宅ローンの返済日が訪れた場合には、毎月の住宅ローン返済分の保険金が支払われます。
8疾病以外の就業不能の場合は、毎月の保険金の支払いは最長で21ヶ月分になります。
就業不能状態になってから12ヶ月を経過すると長期就業不能見舞金が30万円支払われ、就業不能状態のまま24ヶ月が経過すると住宅ローン残高は保険金によって無くなります。
重度ガン保険金前払特約は、ガンになり標準的な治療を受けても効果がなかったと保険会社が判断した時に、残債がゼロになる保障です。この保障は、3大疾病50、基本プラン、ワイド団信のいずれの団信にも付帯されています。
3大疾病100プランには当該特約は付いていません。その理由としてはガンと診断された時点で残債がなくなりますので当該特約が不要だからだと思われます。
先進医療特約は、障害または疾病の治療を目的とした先進医療を受けた場合、技術料分の保険金が支払われるものです。先進医療は種類によって治療費が200万円〜300万円に及ぶことがありますが、スゴ団信の先進医療特約は合計で1,000万円までの先進医療の治療費を保障します。
先進医療特約は、3大疾病50、3大疾病100、基本プランには付帯されていますが、後述するワイド団信にはありません。
スゴ団信を利用する際には健康状態の審査が必要になります。3大疾病保障付の団信や基本プランには健康状態や病歴を理由に利用できない方もいます。そういった方でも加入できる可能性があるワイド団信という団信もあります。
ワイド団信を利用する場合の上乗せ金利は年0.3%であり、保障内容は基本的な死亡・高度障害時の保障とリビングニーズ特約、重度ガン保険金前払特約に限定されます。
ここまで、解説してきた通り、スゴ団信は医療保障が充実した内容になっています。
賃貸暮らしの時には、必要だった掛け捨て保険が、スゴ団信への加入によって見直しできる可能性があります。一般的に大病を患った場合の保障は、治療中と治療後の観点で考える必要があります。
例えば、「がん」になってしまったとします。がんは日本人の2人に1人が生涯になる可能性があると言われています。通常の医療保険やがん保険のがん診断給付金は数10万円〜100万円台に設定されているのが一般的です。この資金は、治療費や休業中の生活費に充てることができます。まれに治療において先進医療を使用するケースもあるので、医療保険やがん保険に先進医療特約を付けるのが最近では一般的になっています。
さらに、がんの場合は入院治療後も自宅療養が必要になったり、部位によっては後遺症が残り、しばらくの間働くのが難しくなる場合があります。そのような、就業不能時をカバーするための保険として「就業不能保険」が販売されています。
しかし、医療保険やがん保険、そして就業不能保険は、積み重ねると保険料が家計を圧迫するレベルにまで達することがあります。
これらの点を踏まえてスゴ団信を見るといかに優れているかがわかります。スゴ団信の3大疾病50のタイプ(40歳未満なら金利上乗せなしのタイプ)では、がんになった場合に残債が半分になり、就業不能時の保障もある上、先進医療費も保障しているため、とことん治療に専念できる内容になっています。もし、治療後に闘病前ほどの収入が得られなくなってしまったとしても、住宅ローンの残債が半分になっていれば、生活が苦しくなる可能性は低いと思われます。
ここではがんの罹患を例に解説しましたが、スゴ団信は既に解説の通り、がん以外の疾病に対しても一定の保障があるため、相当な安心を得ることができます。
住宅ローンを組む時には、支出の見直しが必要になります。その際に、スゴ団信の保障を鑑みて既に加入している保険の見直しができれば、保険料の削減ができる可能性は大いにあります。
住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面)の金利(2024年12月時点)は下記の通りになっています。
|
変動金利(新規借入) |
変動金利(借換え) |
固定金利20年 |
金利 |
0.448%(通期引下げプラン) | 0.448%(通期引下げプラン) | 1.823%(当初引下げプラン) |
※審査結果によっては、表示金利に年0.1%~0.75%上乗せとなる場合があります。借入期間を35年超でお借り入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
近年銀行同士で低金利競争が繰り広げられていますが、ネット銀行の中でも0.3%台の金利を提示する銀行は多くありません。
上記のスゴ団信の保障が付帯できることを考えたら、現状住信SBIネット銀行の住宅ローンの条件は最高峰グループに位置するといって良いでしょう。
これまで住信SBIネット銀行の団信の特徴は就業不能時の保障でした。しかしスゴ団信によってガンを含めた3大疾病の保障が付加され、より魅力的になりました。
さらに、住宅ローン(非対面)で変動金利で提示されている年0.448%(通期引下げプラン)(2024年12月時点)という低金利水準を考えると、住宅ローン市場の中で住信SBIネット銀行はさらに注目度が上がると考えられます。
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