2024年9月8日
住宅ローンとは新築・中古のマンションや建売住宅を購入したり、一戸建てを建築したりする際に金融機関から借りるお金のことです。
通常、数千万円もする住宅の費用をすべて手持ちのお金で購入できる人は少なく、多くの人は住宅を購入する際には住宅ローンを利用し、月々の返済をしていくことになります。
住宅ローンは長ければ35年間かけて返済していくことになる”借金”です。お金を貸す銀行側の立場から考えると、土地と建物(マイホーム)を担保が取れる優良な融資ですが、長い期間貸し続けることになりますし、融資金額は高額です。そのため、金融機関は住宅ローンを申し込んできた人を様々な角度から総合的に審査しています。
住宅ローンの審査基準は異なりますし、金融機関も様々な情報をしっかりと審査します。金融機関を騙すような方法はありませんが、住宅ローンや金融機関によって住宅ローン審査の通りやすさは異なっていて、それぞれの金融機関が審査上で重視するポイントも違います。
この記事では住宅ローンの審査について解説すると共に、住宅ローンの審査が通りやすい住宅ローンをその理由や特徴と共に紹介していきます。
目次
住宅ローンを返済するには収入が必要です。収入が維持されないと返済が滞る可能性が高まります。
そのため、金融機関では収入の安定度合いを重要視しています。例えば、「個人事業主や自営業・パート・アルバイト」は安定性の観点で不利です。芸能人やスポーツ選手も短期的に高額な収入を得られる可能性はありますが、持続性を不安視される職業と言われています。
「勤め先」「雇用形態」「勤続年数」が銀行の求める基準を満たしていないと審査に落ちることになります。
住宅ローンの審査に通らない・審査に通っても希望する金額を借りられない理由として、よくあるのが「年収」と「年間の返済金額」のバランスです。
住宅ローン業界では、「年間返済負担率」と呼ばれ、この負担率が基準を超えた金額は審査に落ちるか融資金額が減額されることになります。
年間返済負担率=住宅ローンなどの年間返済金額の見込値 × 年収(額面)
※年間返済負担率の計算の「変換返済金額の見込値」には、住宅ローンに加えて無担保ローンや自動車ローンなどの年間返済額も含みます。
一般的に、上記の計算式で計算された「年間返済負担率以外の審査が問題ない」場合、「審査には通る可能性があるが融資金額が減額される」という対応になります。年間返済負担率は住宅ローンの商品説明書に記載されていることがあります。記載されていない場合は、公式サイトのシミュレーションツールなどで参考値を確認することができます。
この年間返済負担率の基準値も金融機関によって違いますが、通常は一般的には以下の基準(または、以下の基準より少し厳しめの基準)になっていると考えておいてください。
住宅ローンはマイホームを担保にお金を借りることになります。そのマイホームを金融機関や金融機関が提携している不動産評価会社が査定した時に低い担保評価になってしまうと、住宅ローン審査に落ちたり、融資金額が減額される可能性があります。
特に地方部の物件や築年数が経過している中古物件で発生しやすいので注意しましょう。審査結果を提示してくるときに物件の価値に問題があると金融機関が教えてくれるわけではありません。年収から換算した年間返済負担率に大きな余裕があるにも関わらず融資金額を減額された場合、物件査定の結果が反映されている可能性があります。
また、もし担保価値の問題で減額された場合、金融機関に増額融資を求めても認められる可能性はほとんどありません。早めに他の住宅ローンに申し込むことをお勧めします。
働いている会社・勤続年数・年収・物件の価値など、住宅ローン審査に落ちるような要素が無いにも関わらず、住宅ローンの審査に落ちる場合、個人信用情報の登録状況に問題がある可能性があります。通常、個人信用情報に勝手に信用情報を棄損する情報が記録されることはありませんので、身に覚えがあることが大半です。
ただ、まれに自分自身では意識していない個人信用情報の記録が残っていることがあります。その場合、個人信用情報機関にご自身の信用情報を照会して内容を確認することができます。
なお、個人信用情報にはカードローンや自動車ローン・フリーローン・クレジットカードなどの利用状況も記録されています。他の借り入れをできるだけ完済し、カードローンやフリーローンは解約を進めていくと良いでしょう。
なお、日本には「全国銀行個人信用情報センター(http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/)」「シー・アイ・シー(http://www.cic.co.jp/mydata/index.html)」「日本信用情報機構(http://www.jicc.co.jp/kaiji/about-kaiji/index.html)」の3種類の信用情報機関があります。
先ほども触れましたが、この信用情報機関に想定外の情報が記録されている可能性もありますので、必要に応じて信用情報の照会を行うこと検討してみてください。ご自身の情報であれば窓口、郵送、ネットで照会手続きが可能で、万が一、信用情報に間違いがある場合「事故情報取り消し申立書」を提出することで内容の訂正を求めることもできます。
なお、信用情報にブラック登録(異動)がある場合、解決してから最低でも5年間は情報が記録されます。その場合、住宅ローンはもちろん、各種ローンやクレジットカードなどの与信が発生する金融商品を利用できる可能性は非常に少ないと思っておきましょう。
住宅ローン審査では、住宅ローンを毎月返済できるだけの収入を継続的に確保できるか?という点が確認されます。その時点での年収の高さだけが重視される訳ではないので、プロ野球選手や芸能人は一時的に収入があっても、途絶えやすいため住宅ローンを利用しにくいと言われています。
私たち一般人の住宅ローンの審査も原則は同じで、自営業、個人事業主、派遣社員、契約社員などは正社員や公務員と比較すると住宅ローン審査に落ちやすいと言われています。
逆に公務員は国や地方公共団体が雇用をしていて、極端に高収入になることは少なくても、民間企業のような倒産や業績の悪化による解雇・減給といったリスクが少ないため住宅ローン審査に通りやすい職業とされています。
住宅ローン審査基準が季節によって変わるということはありません。特に金融庁の監督・指揮のもとで営業している金融機関が、季節ごとに1つの商品の審査の基準を変えるような運用を行うことは基本的にはありません。
年末や年度末は住宅購入や住宅ローン借り換えの繁忙期で、住宅ローンの貸し出し金額は通常時に比べて増加する時期です。この時期は銀行も高いノルマを抱えているので営業努力の範囲で審査に通りやすくなる可能性はゼロではありませんが、「審査が通りやすい時期」と表現できるほどではありません。
信用金庫は、地域社会の発展を目的とした協同組織金融機関です。主に中小企業や個人向けに、預金、融資、為替サービスなどを提供します。営利目的ではなく、会員同士が助け合うことを基本とし、地域の経済を支える役割を果たしています。銀行と異なり、地域密着型の運営方針が特徴です。
信用金庫は全国に260程度あります。信用金庫は個人事業主や中小企業の経営者であれば取引する機会も多いと思います。
「信用金庫の住宅ローンは審査に甘い?」と聞かれることがありますが、メガバンク・地銀などと比較すると審査は甘いと言える面が多くあります。
信用金庫のメイン顧客は、個人事業主や自営業や中小企業の経営者層なので、住宅ローンの審査基準もある程度合わせていると考えることができます。ただし、住宅ローンの金利と審査の厳しさは表裏一体なので、「貸しやすくする代わりに住宅ローンの金利が高い」状態にになっているケースが多くあります。
会計検査院と言う、国会・裁判所・内閣、いずれからも独立した組織があります。この機関は政府、政府機関、独立行政法人、地方公共団体など公な機関の会計が適正に行われているか?を検査・監督する役割を担っています。
この会計検査院が、「住宅ローンの審査が甘いのではないか、もっとしっかりと審査すべきではないか」と指摘した住宅ローンがあります。
当時、会計検査院が指摘したのは住宅金融支援機構が提供しているフラット35です。会計検査院が調査した39の金融機関で住宅金融支援機構の定める審査基準・審査手順・審査内容をすべて満たす金融機関がゼロであったという衝撃的な内容でした。
会計監査員に指摘されたので改善は進んでいますが、フラット35は未だに審査が通りやすい住宅ローンです。銀行・信金などの住宅ローンの審査に通らない場合は、まずはフラット35の活用を検討してみてください。
フラット35は借入期間中の金利を完全に固定する固定金利タイプの住宅ローンです。国土交通省などが所管する住宅金融支援機構が提供し、全国の300を超える提携金融機関で申し込むことができます。
フラット35の審査の特徴は後述しますが、最大の特徴は完済までの金利が住宅ローン契約時に確定する固定金利タイプのみが提供されている、という点です。
そのため、市場金利が上昇しても住宅ローン金利は変わりませんし、毎月の住宅ローン返済額が借り入れ時点で確定しています。
また、フラットは「様々な人が優良な住宅をもてるようにすること」という目的を達成するために提供されているため、50年返済で契約できる「フラット50」、親子で住宅ローンを組む「親子リレー返済」など、民間銀行の住宅ローンでは提供しにくいサービスを提供しています。
フラット35は日本政府の機関である住宅金融支援機構と全国約330の金融機関が提携し、提供する長期固定型の住宅ローンです。フラット35は住宅ローン審査を住宅金融支援機構の審査基準に応じて行い、住宅ローン契約者に融資を実施しますが、融資実行日と同日にその債権を金融機関が住宅金融支援機構に売却します。これをフラット35(買取型)といいますが、国内で扱われているフラット35の90%以上がこの買取型です。
つまり、住宅ローン返済が滞っても、フラット35の貸し出しをした金融機関には影響がない、リスクが無いモデルになっています。リスクを負わずにフラット35の事務手数料が丸ごと金融機関の収益となるわけです。このため、フラット35を扱う金融機関としては融資して、事務手数料さえ得られればよいという淵があると言えます。
報道によると、信用情報機関へのブラック登録・各種ローンの支払い延滞・遅延の情報照会すらしていない金融機関があった模様であり、驚かされました。フラット35を扱う金融機関がリスクを負っていないために発生した問題といってよいでしょう。こうした審査の甘い側面、緩い側面に対し、会計監査院は警鐘を鳴らした形です。
フラット35の審査上の特徴を紹介していきたいと思います。
住宅ローンは、大企業で務める正社員や公務員の審査が有利で、パート・アルバイトはもちろん、個人事業主や自営業だとあっさり審査に落とされるという話を聞きます。これは金融機関が住宅ローン申込者の現時点の年収だけでなく、継続した収入が得られるか?という安定性を見ているためです。
非正規雇用で、会社都合での解雇や雇い止めにつながりやすいパート・アルバイト・派遣社員・契約社員はどうしても審査に落ちやすくなりますが、フラット35はパート・アルバイト・派遣社員・契約社員として働く方でも継続した収入実績があえば住宅ローンを借りることが可能です。
同様に自分で事業リスクを負っている自営業・個人事業主・会社経営者に対しても民間の金融機関は収入の継続性の観点で厳しく審査しています。
例えば、民間の住宅ローンの場合、個人事業主や中小企業の社長の場合、3期分の確定申告書(決算書)の提出を求めますが、フラット35は決算書の提出は不要になるケースが多く、個人事業主でも過去1期分の確定申告書(決算書)を提出するだけで済むケースが大半です。
また、勤続年数を3年程度になっている住宅ローンが多くありますがフラット35では転職直後でも利用可能です。
一般的な住宅ローンは年収200万円~500万円ぐらいの最低年収基準が設けられています。また、年収300万円未満だと利用できる住宅ローンが限られてきます。例えば、SBI新生銀行は300万円、ソニー銀行は400万円で年収基準を明示しています。
一方で、フラット35は所定の年間返済負担率を守ることができれば年収100万円程度でも問題なく利用できるという特徴があります。
一般的な銀行の住宅ローンの場合、店舗・事務所併用住宅には対応していないことがありますが、フラット35は店舗・事務所併用住宅でも住居面積が住宅部分が床面積の50%以上あれば問題なく利用できます。美容室や喫茶店など店舗と自宅を併用する機会が多い職業の方にとってもフラット35は利用しやすい審査基準が設けられています。
フラット35はセカンドハウスなどの購入にも対応しています。民間の金融機関ではセカンドハウス用の住宅ローンを提供していますが、金利がかなり割高となっています。三菱UFJ銀行のセカンドハウスローンでは20年固定金利で5%半ばの金利となっており、2020年3月現在、フラット20の金利が1.190%であることを考えると3倍もの金利水準となっており、フラット35金利の優位性がわかります。
フラット35は様々な金融機関から申し込むことができ、審査にかかる期間も千差万別ですが、一般的には、事前審査(仮審査)は最短数日、本審査は最短1週間程度としている金融機関が多いので、申込から融資実行までには1か月~5週間程度かかると考えて申込手続きを進めるようにしましょう。
ARUHIは11連続でフラット35の取り扱い実績が1位を獲得している最大手の住宅ローン専門の金融機関です。ARUHIの特徴は、全国の店舗で専門のスタッフにじっくりと相談しながら住宅ローンを申し込めることで、対面サービスで契約手続きをサポートしてもらえます。
また、ARUHIスーパーフラットという独自のフラット35も提供していますし、auじぶん銀行やソニー銀行の住宅ローンもARUHI経由で申し込むこともできます。ARUHIファストパスというサービスを使えば審査にかかる時間を短縮できたり、最大手だけに非常に多数の商品とサービスを提供しています。
今回は審査が通りやすい住宅ローンについて解説しました。
フラット35は審査基準が比較的緩く、ローンが通りやすいとされていますが、油断は禁物です。審査を確実に通すためには、しっかりと事前調査を行い、必要な書類や情報を準備することが重要です。
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