公開日: 2026年9月9日
日本で住宅ローンといえば、「フラット35」のように35年返済が一般的とされていました。
ですが最近、40年や50年といった35年を上回る超長期の住宅ローンを選択する人が急増しています。そういった需要を受けてか、各金融機関でも40年・50年の住宅ローンの取り扱いを始める動きが多くみられるようになりました。
超長期住宅ローンを選択する人が急増している理由として、背景にあるのは住宅価格の上昇ですが、超長期住宅ローンにすることでどのようなメリットがあるのでしょうか。また、超長期住宅ローンはどのような人に向いているのでしょうか。この記事では、40年・50年の超長期住宅ローンが注目される理由とメリット・デメリットを注意点なども踏まえて詳しく解説していきます。
住宅ローンはもともと年単位で返済していく長期的な商品です。返済年数は人によって様々ですが、一般的には「最長35年」というのが一つの基準となっています。
しかし、近年では40年や50年といった35年を超える返済期間を設定できる住宅ローンが増えており、こうした住宅ローンを当記事では「超長期住宅ローン」と呼んでいます。
超長期住宅ローンを選択する人が増えている理由として、最も考えられるのは住宅価格の上昇です。
現在、長引く円安や人件費の上昇、住宅資材価格が高騰するなどの影響から、住宅の建築コストが上昇傾向にあります。
住宅価格が上昇すると必要な借入額が大きくなりますが、返済年数が35年のままだと借入額が大きくなるにつれて毎月の返済負担額も当然大きくなります。
その結果、「購入する住宅の価格を下げずに返済期間を延ばすことで月々の負担を抑えたい」と考える人が増え、40年・50年の超長期住宅ローンの需要が高まっているのです。
40年・50年の超長期住宅ローンはその名の通り35年住宅ローンよりも長期的な商品です。ということは当然、借り入れた時の年齢が高ければ高いほど完済時の年齢も高齢となっていきます。
例えば、35歳で50年住宅ローンを利用した場合、完済時の年齢は85歳です。さらに40歳で50年住宅ローンを利用すると90歳まで返済し続けることになります。現代では定年後も働くという選択肢はありますが、80歳や90歳まで現役時代と同様の働き方を続けることは難しいでしょう。
そういったことを考えると、超長期住宅ローンは20代や30代前半といった比較的若い世代の方と相性が良い住宅ローンといえます。ただ、実際には各金融機関で「完済時年齢」の上限が設けられていることもあるため、若い世代であっても申し込む前の確認は必要ですので、そこだけは注意しましょう。
ではここで、40年・50年の超長期住宅ローンのメリットを見ていきましょう。
超長期住宅ローン最大のメリットは、同じ借入額と金利でも返済期間を延ばすことで毎月の返済額を抑えることができるという点です。
例えば4,000万円を借り入れる場合、単純に計算すると35年で返済するより50年で返済するほうが、年数(月数)が増える分、月々の返済額が小さくなります。もちろん返済期間は長くなってしまいますが、少しでも月々の負担を軽くしたいという人には大きいメリットです。
超長期住宅ローンは返済期間は長くなりますが借入額を変更せずに毎月の返済額を抑えられるため、毎月の返済額を試算して「この借入額では毎月の返済が大変だ」と諦めていた物件でも購入できる可能性がでてきます。
ただし、これはメリットであると同時に注意すべき点でもあります。月々の返済額が抑えられるとはいえ、最終的に返済する額は同じです。「借りられる額が増えたから予算も増やそう」という考えのまま安易に予算を増やしてしまうと、住宅価格の上昇分をそのまま借金で埋めることになりかねません。
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物だということは、常に覚えておきましょう。
超長期住宅ローンは40年・50年かけて返済していく商品なので、借り入れる年齢が若ければ若いほど完済時年齢を一定範囲に抑えることができるので有利となります。
年々住宅価格が上昇している現在だからこそ「頭金を貯めてから購入する」という方法だけでなく「若いうちに今の価格で住宅を購入して長期間かけて返済する」という選択肢も現実的です。
超長期住宅ローンを選択することで、毎月の返済額を抑えた分を教育資金や生活費、貯蓄など他の用途へと回すことができます。
また、超長期住宅ローンであっても繰上げ返済は可能なため、50年ローンで契約して毎月の返済額を減らしつつ貯蓄し、収入が増える時期や子供の教育費がひと段落した時期などを見計らって繰上返済するという考え方もできます。
超長期住宅ローンは、若くて収入が低くても無理なく返済し、将来のことも考えていきたい人にとってはぴったりの住宅ローンともいえるでしょう。
メリットがあるということは、当然デメリットもあります。今度は超長期住宅ローンのデメリットを見ていきましょう。
超長期住宅ローンで月々の返済額は減りますが、元金を返済する期間が長くなる分、利息も増えることになります。
返済期間が長くなったことで結果的に総返済額も増えてしまうので、少しでも支出を抑えたいと思っている場合は注意が必要です。
超長期型住宅ローンは40年・50年と返済期間が長く設定されているため、契約時の年齢によっては完済時の年齢が高くなってしまいます。
例えば50年住宅ローンの場合、単純に計算するとします。すると、完済時の年齢は以下のようになります。
生涯現役の現代とはいえ、超長期住宅ローンを利用する場合は「定年退職後以降もどうやって返済するのか」ということまで考えておく必要があります。
また、実際の金融機関では完済時年齢に上限があるため、借入時の年齢によっては利用できる期間が短くなるという点も注意が必要です。
超長期ローンで特に注意したいのが、変動金利型で申し込んだ場合です。
現在の金利は2024年にマイナス金利政策が解除されて以降、ずっと上昇傾向にあります。今のところまだ低めに設定されているとはいえ、40年・50年間ずっと低いままとは限りません。
超長期住宅ローンを利用するのであれば、「金利が上昇し続けても安定して返済できるか」といったシミュレーションを必ず行うようにしましょう。
超長期住宅ローンで返済期間を延ばすと毎月の返済額が下がるため、金融機関の審査上ではより高額な金額を借りられるケースもあります。
ただ、「借りられる金額=借りても(買っても)いい金額」というわけではありません。審査上の数値だけを鵜呑みにして当初の予算以上の額を借り入れた結果返済が苦しくなり、返済することができなくなってしまう・・・となってしまっては、いくら月々の返済を抑えられても無意味です。
超長期住宅ローンの利用を検討する際は、住宅ローン以外の支出はもちろん将来の教育費や老後の資金などを含めて住宅の予算を決定し、無理な返済計画にならないよう注意しましょう。
毎月の返済額を抑えつつ借入額も増やせるとなると「35年住宅ローンよりも超長期型の住宅ローンのほうが良いのでは?」と考える人がいるかと思います。
ここで重要なのは「超長期住宅ローンはあくまで毎月の返済額を抑えるための選択肢に過ぎない」という点です。
35年住宅ローンの場合、返済期間が短いぶん毎月の返済額も大きくはなりますが、返済期間中に金利上昇の影響を受けても比較的短い期間のみで返済できるため総返済額も少なく抑えられます。また、完済時の年齢が早ければ早いほど老後に備えて準備する期間を長く設けることができます。
つまり、50年の住宅ローンを選択したからと言って「お得になる」というわけではないということです。
どの住宅ローンも、自分のライフプランに見合っているというのが選ぶうえで最も重要です。高額な住居を購入する予定がないのであれば、無理をして超長期住宅ローンを選択する必要はないといってもいいかもしれませんね。
ここまでのまとめとして、超長期住宅ローンは次のような人に向いているといえます。
返済が長期間かかってしまっても毎日の生活を安定させて日々余裕を持って過ごしたいという方は、超長期住宅ローンも検討してみるといいでしょう。
超長期住宅ローンは、その需要の高まりから様々な金融機関で取り扱いを開始しています。
たくさんある金融機関から自分に合った超長期住宅ローンを見つけるために、金融機関を比較する際は次の項目を確認してみましょう。
【超長期住宅ローンを選ぶポイント】
この中で、特に見落としやすいのが「35年を超えた際に金利が上乗せされるかどうか」という点です。
例えば、au自分銀行では35年を超える際「長期返済」に対して年0.1%が上乗せされます。PayPay銀行に関しても、35年を超える住宅ローンの契約には金利上乗せがあり、2026年9月以降の実行分より年0.3%上乗せされています。そのため、単純に「50ローンだから月々の返済が安い」と比較するのではなく、実際に適用される金利で35年・40年・50年と比較していきましょう。
ではここで、超長期住宅ローンを取り扱う金融機関の中でもおすすめの金融機関を紹介します。
SBI新生銀行では2025年11月から、変動金利(半年型)の住宅ローンで最長50年の取り扱いを開始しましています。
団信に関しても2つのプランから選ぶことが可能で、将来に備えたい人にも安心の住宅ローです。
ただし、35年を超える場合には、当初借入金利に年0.1%の上乗せがあります。その点だけは把握しておきましょう。
ソニー銀行では、2026年の5月より住宅ローンの融資期間を最長35年から50年へ延長しました。
ソニー銀行の場合、住宅ローン・変動セレクト住宅ローン・固定セレクト住宅ローンの3商品が超長期住宅ローンの対象となっており、自由に選べるのが特徴です。また、融資額の上限も3億円まで拡大されていますので、高額な融資を検討している人にもおすすめです。
超長期=変動金利というイメージにとらわれず、固定金利も含めて超長期住宅ローンを検討したい方にはぴったりといってもいいでしょう。
住宅金融支援機構が提供する住宅ローンといえば「フラット35」が一般的ですが、最長50年の「フラット50」も提供されています。
フラット50は、その名の通り最長50年の全期間固定金利住宅ローンですので、「将来の金利上昇の影響をなるべく受けたくない」という人でも安心です。
ただし、フラット50の場合、長期優良住宅などといった一定の住宅要件を満たす必要があります。また、借入期間は36年以上50年以下となっているため、完済時年齢などによって上限が決められます。注意しましょう。
将来の金利上昇による影響を避けたい、購入する住宅がフラット50の条件を満たしているという方は、ぜひフラット50も検討してみてください。
40年・50年の超長期住宅ローンが注目される背景には、昨今の住宅価格の上昇や家計負担の軽減ニーズなどがあります。
超長期住宅ローンであれば、返済期間は長くなりますが月々の返済額を抑えることができ、比較的若い年齢でも返済しやすく、理想の住宅に手が届きやすくなるのが魅力的です。
ただ、その一方で完済時の年齢が高くなってしまうことや、金利上昇のリスクが長期間続くこと、また、必要以上に借り入れて無理な返済計画となってしまうといったデメリットもあります。
一般的な住宅ローンにも言えることですが、住宅ローンを選ぶ際は金利や団信、手数料、総返済額まで含めて比較し、自分は35年・40年50年どの住宅ローンが最適なのかをしっかりと見極めましょう。
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