公開日: 2026年9月27日

同性カップルでも住宅ローンは組めます。ペアローンや収入合算、連帯債務の対象に同性パートナーを含める金融機関が増えており、全期間固定金利の【フラット35】も2023年1月から同性パートナーとの連帯債務での申込みを受け付けています。
ただし、対応の有無や必要書類は金融機関ごとに異なり、パートナーシップ証明書や公正証書の提出を求められるのが一般的です。二人の暮らしを長く守るために、借り方・団信・名義・相続まで、申込み前に話し合っておきたいポイントを順に解説します。
同性カップルでも住宅ローンを組むことはできますが、異性の夫婦と同じ条件で、どの金融機関でも申し込めるわけではありません。二人で借りるときの代表的な方法は次の3つです。
ペアローンは、二人がそれぞれ住宅ローンを契約する方法です。たとえば4,000万円の住宅を購入する場合、一方が2,500万円、もう一方が1,500万円といったように、別々に住宅ローンを組みます。
二人の収入をそれぞれ審査に使えるため、単独では借りにくい金額でも購入しやすくなるのがメリットです。一方で、契約が2本になるぶん事務手数料や印紙代などの諸費用はかかりやすくなります。
収入合算は、一方が主債務者となり、パートナーの収入を合算して住宅ローンを組む方法です。
パートナーが連帯保証人になるタイプと、連帯債務者になるタイプがあり、ペアローンと違って契約は1本にまとまります。
連帯債務は、二人が1つの住宅ローンの債務をそれぞれ全額について負う方法です。
「1つの住宅ローンを二人で一緒に返済していく」仕組みで、主債務者が中心となって返済する連帯保証型の収入合算とは責任の重さが異なります。二人とも住宅ローン控除の対象になりうる点も特徴です。
これらの借り方は同性カップルでも利用できる場合がありますが、取り扱っていない金融機関や、同性パートナーを対象外としている金融機関もあります。金融機関を探すときは、商品の有無だけでなく、同性パートナーへの対応方針もあわせて確認することが大切です。具体的な金融機関の対応は、LGBT・同性カップルに対応した住宅ローン一覧で紹介しています。
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する【フラット35】は、2023年1月4日以後の借入申込受付分から、同性パートナーとの連帯債務での申込みに対応しました。同性パートナーを収入合算者(連帯債務者)にしたり、融資物件の共有者に加えたりすることもできます。
フラット35は全国の取扱金融機関で同じ基準が使われるため、「住んでいる地域の銀行が同性パートナーに対応していない」という場合でも選択肢になりやすいのが利点です。全期間固定金利なので、二人の収入が将来変わっても毎月の返済額が変わらない安心感もあります。
また、連帯債務の二人が加入できる「デュエット(ペア連生団信)」について、取扱金融機関の案内では、対象となるおふたりに同性パートナーも含まれるとされています。どちらか一方に万一のことがあったときに住宅ローンが全額弁済される仕組みです(新3大疾病付機構団信では利用できません)。
(出典)住宅金融支援機構「2023年1月から同性パートナーの方とも連帯債務でお申込みいただけます。」
住宅ローンの申込書類は、基本的に異性の夫婦と同じです。そのうえで、同性カップルはパートナー関係を確認するための書類を求められることがあります。
【フラット35】の場合は、次のどちらかを申込先の金融機関に提示します。
民間の住宅ローンでも、パートナーシップ証明書や公正証書、同居を確認する住民票など、求められる書類は金融機関によって異なります。「パートナーシップ証明書があるから大丈夫」と決めつけず、申込み前に必ず金融機関へ確認しましょう。
パートナーシップ制度がない自治体に住んでいる場合や、証明書の取得に時間がかかる場合は、公正証書の作成も視野に入れて、早めに準備を始めておくと安心です。
住宅ローンを検討する際は、金利や借入額と同じくらい「団体信用生命保険(団信)」の吟味が大切です。
団信は住宅ローン専用の保険で、債務者に万が一のことがあったとき、保険金で住宅ローンの残高が返済される仕組みです。
ペアローンでは各自が自分のローンに団信を付けるため、一方に万一のことがあっても、もう一方のローンは残ります。連帯債務では、団信の対象が主債務者だけになることも少なくありません。
「どちらか一方に万が一のことがあったら、残されたパートナーの返済はどうなるのか?」まで考えておきましょう。フラット35のデュエットのように、二人を対象にした「連生団信」を用意している金融機関もあるため、同性パートナーでも加入できるかを確認してみてください。
ここからは、同性カップルが住宅ローンを組む際に注意しておきたい点を紹介します。
社会の理解は進みつつありますが、制度や契約の場面では、まだ対応が分かれているのが現状です。金融機関によっては、同性パートナーとのペアローンや収入合算を扱っていないこともあります。
そのため、住宅ローンを比較する際は、金利や団信の内容より先に「同性パートナーに対応している金融機関かどうか」を確認するのがおすすめです。対応の確認→条件の比較という順番で進めると、あとで迷う場面が少なくなります。
二人で住宅を購入する場合は、次のことを事前に話し合って決めておくことが重要です。
特に、実際の資金負担と登記上の持分割合が大きく異なると、負担の少ない側が持分を贈与されたとみなされ、贈与税の問題が生じる可能性があります。持分は資金の出し方に合わせて決め、迷う場合は税理士などの専門家へ相談しましょう。
住宅ローンは35年など長い期間をかけて返済していきます。その間に、考えたくはないことですが、次のような変化が起こる可能性もあります。
こうした変化は異性カップルにも起こり得ますが、いずれの場合も、二人が関係を解消したからといって住宅ローンの返済義務がなくなるわけではありません。
住宅を売却するのか、一方が住み続けてローンを一本化するのかなど、関係が変わった場合の方針まで話し合っておきましょう。ローンの名義変更や借り換えには金融機関の審査が必要になる点も押さえておきたいところです。
現在の日本の法律では、同性パートナーは法定相続人にならず、相続の扱いは法律上の夫婦と同じではありません。
住宅を共有名義にしている場合、どちらか一方が亡くなると、その持分は原則として亡くなった方の親族などの法定相続人に引き継がれます。パートナーに持分を遺したい場合は、遺言書を作成しておくことが欠かせません。
また、遺言でパートナーが財産を受け取る場合、相続税の配偶者の税額軽減は使えず、相続税額の2割加算の対象にもなります。遺言や任意後見契約とあわせて、必要に応じて司法書士・税理士などの専門家へ相談しておくと安心です。
(参考)国税庁「相続税額の2割加算」
ペアローンや収入合算を利用すると、借入可能額が大きくなる場合があります。
しかし、住宅ローンで大切なのは「借りられる金額」ではなく「無理なく返せる金額」です。上限いっぱいまで借りると、どちらかの収入が減ったときに返済が苦しくなってしまいます。年代別の借入額の目安は30代・35歳の住宅ローンはいくら借りられる?も参考にしてください。
住宅ローンを組む際は「どちらか一方の収入だけになっても返せるか」を念頭に置き、無理のない返済計画を立てましょう。
A. 一人で借りる場合は不要です。二人で借りる場合、【フラット35】では自治体のパートナーシップ証明書などの代わりに、合意契約に係る公正証書でも申し込めます。民間の住宅ローンは金融機関ごとに求める書類が異なります。
A. ペアローンや連帯債務では、要件を満たせばそれぞれが自分の借入額(持分に応じた額)について住宅ローン控除を受けられます。返済の負担割合と登記の持分をそろえておくことが前提です。
A. 団信でローンが完済されても、亡くなった方の持分は遺言がなければ親族などの法定相続人に引き継がれます。住み続けられるようにするには、連生団信の検討とあわせて遺言書の準備が大切です。
同性カップルでも、ペアローンや収入合算、連帯債務などの方法で住宅ローンを組むことができます。【フラット35】も同性パートナーとの連帯債務やデュエット(ペア連生団信)に対応しています。
一方で、金融機関によって対応や必要書類、団信の条件などは異なるため、申込みのずっと前から準備しておくことが大切です。「どちらか一方に万が一のことがあったら」「パートナーシップを解消したら」といった将来のリスクも、二人で話し合っておきましょう。
無理のない返済計画を立てるとともに、必要に応じて金融機関の相談窓口や税理士、司法書士などに相談するのも一つの方法です。お互いが納得できるマイホーム購入を目指していきましょう。最新の取扱条件や必要書類は、申込み前に各金融機関の公式サイトでご確認ください。
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