2024年11月1日
SBI新生銀行は、旧日本長期信用銀行が生まれ変わった銀行です。インターネットバンキングの振込手数料無料化や24時間対応のATMを業界に先駆けて導入しました。2023年1月にSBIグループの傘下となり、現在の名前に変更されました。
SBI新生銀行の住宅ローンは、「事務手数料」「保証料」「一部繰上返済手数料」など、住宅ローンに関連する諸費用の安さが人気の住宅ローンです。その特徴は今でも健在ですが、2024年に「手数料定額型」と「手数料定率型」の2つの住宅ローンを提供するようになりました。
「手数料定率型」は、借入額の一定割合で決まり、2.2%(税込)程度が一般的です。低金利で借りられ、支払総額を抑えやすいですが、借入額が多いと初期費用が高くなります。一方「手数料定額型」は、借入額に関わらず手数料が一律なのが特徴ですが、金利が高いため返済期間が長いと総支払額が増える傾向があります。返済期間が短い場合は定率型より総返済額が少なくなることもあります。
現在は、元々の特徴であった初期費用を節約できる住宅ローンを「手数料定額型」として残しつつ、金利の低さにこだわる人向けのに「手数料定率型」の住宅ローンを本格的に提供しています。
通常、住宅ローンを選ぶ時は複数の金融機関の住宅ローンの金利を比較します。金利で比較することは間違いではありませんが、住宅ローンは、金利(利息)以外にも、事務手数料・保証料・団信保険料など様々なお金がかかります。
一般的にこれらを住宅ローンの諸費用と言いますが、住宅ローンは金利だけで比較するのではなく、諸費用も考慮して比較するのが正解です。
SBI新生銀行の住宅ローンの「手数料定額型」は諸費用が安い代わり金利が少し高めに設定されている住宅ローンです。「単純に金利だけで比較すると、SBI新生銀行の住宅ローンのオトクさを見落としてしまう」ケースがあるので注意が必要です。
新生銀行も事務手数料が申し込み金額の2.20%(税込)かかる住宅ローンを提供していますが、そのような住宅ローンは借り入れ金額によっては事務手数料だけで数百万円にもなります。
事務手数料が借入額の2.20%(税込)かかる住宅ローンや高額な保証料を支払う必要があるメガバンクや地方銀行・信金などの住宅ローンとSBI新生銀行の住宅ローンの手数料定額型の金利を比較する時は年0.2%ぐらいをSBI新生銀行の住宅ローンから引いて、その金利で比較すると実態に近い比較が行えます。
目次
この特集記事ではSBI新生銀行の住宅ローンの落とし穴やデメリットについて解説しています。この記事ではSBI新生銀行の住宅ローンの最新の金利やメリットについてはあまり触れていませんので、こちらのページや公式サイトなどで事前に確認しておくようにしてください。
SBI新生銀行の手数料定額型の住宅ローンは事務手数料が55,000円(税込)~です。そのため、住宅ローン借り入れの際に発生する一番のコストである事務手数料をかなり抑えて借り入れすることができます。金利もネット銀行とかたを並べるほど低金利となっているので、将来の金利上昇に備えたいと考えている人にとっては最有力候補の住宅ローンです。保証料もかからないことを考慮すると、トップクラスの低金利と言えるでしょう。
SBI新生銀行の住宅ローンは2019年7月に大幅に改善されて変動フォーカスとい商品が開発されました。それが発展して、2024年1月に「手数料定率型」と「手数料定額型」の2つの住宅ローンを提供するようになっています。SBI新生銀行は、変動金利タイプの金利の低さも目立ちますが、実は、固定金利タイプの金利は業界内でもトップクラスの魅力的な金利を提供し続けています。
特に、15年固定・20年固定・35年固定などの固定金利は業界内でもトップクラスに魅力的な金利水準です。固定金利に関しては、事務手数料の低さと相まってトータルコストが非常に安く利用できる住宅ローンとなっています。
以下にSBI新生銀行の住宅ローンの主な動きなどをまとめてみましたので参考にしてください。
SBI新生銀行の住宅ローンは事務手数料が55,000円(税込)~となっています。事務手数料が安いだけでなく、保証料がかからないのがSBI新生銀行の住宅ローンの優れた点です。疾病保障や独自サービスを加味すると、人気のネット銀行の住宅ローンにも負けない魅力があります。
SBI新生銀行の住宅ローンには様々な独自のサービスがあります。詳しくは後述しますが、SBI新生銀行の住宅ローンの最大の特徴は事務手数料・保証料・一部繰上返済手数料などの余計な費用がかからないことです。
※手数料定率型は事務手数料が2.20%(税込)かかりますが、保証料・一部繰上返済手数料などのその他の商品性は同じです。また、安心パックが無料で付帯します。
SBI新生銀行の住宅ローンの落とし穴・デメリットの1つ目は、『手数料定率型』の場合には事務手数料が2.20%(税込)かかるという点です。2024年11月のSBI新生銀行の住宅ローンの変動金利に適用される金利は年0.430%(手数料定率型)です。
また、新規借入限定で、借入金額が物件購入価格および建築請負価格の合計額の90%以内の場合、0.410%(2024年11月)とさらに金利が優遇されます。
手数料定率型の方が圧倒的におトクと感じると思いますが、融資額の2.20%(税込)は金利に換算すると0.2%相当ですので、「変動金利フォーカスの方が圧倒的におトク」というわけではなく、借入期間や繰上返済計画によっては通常の変動金利の方がお得になることがあります。見た目の金利だけに惑わされずしっかりと比較・シミュレーションすることが重要です。
メガバンクや地方銀行の住宅ローンで必要になることが多い保証料は金利に換算すると年0.2%です(保証料は金融機関によって違いますし、審査で変わることがあります)。SBI新生銀行の年0.650%(2024年10月適用金利)は、事務手数料や保証料が高い金融機関が年0.45%で提供しているのと同等の価値ある水準の金利だ、という点も忘れないようにしましょう。
地方銀行やメガバンクは0.6%~1.0%の変動金利の住宅ローンを提供しているケースがたくさんあります。それらの住宅ローンの金利・事務手数料・保証料をしっかりと比較するとSBI新生銀行の住宅ローンはかなり魅力的なことがわかります。
2019年6月までのSBI新生銀行の住宅ローンの変動金利は半年後に金利が上がるという大きな落とし穴がありました。2019年7月に商品性が改善されてこの落とし穴はなくなっています。
2020年12月にSBI新生銀行の住宅ローンは電子契約に対応を開始してます。その後、2021年2月に店舗での住宅ローンの契約手続きなどの対応を終了しています。SBI新生銀行は、主要都市に店舗型を出店している銀行ですが、住宅ローンはインターネット銀行のような手続きフローを採用しています。なお、最近は京橋や仙台・岐阜・松山などに住宅ローンのビデオ相談ができる無人店舗を開店しています。
SBI新生銀行の住宅ローンでは、借り入れ上限金額が「SBI新生銀行が指定する不動産評価会社による担保評価額の100%以内」と定められていましたが、2019年7月に商品説明書から「100%以内」という説明がなくなっています。
商品説明書に記載がないからと言って、常に100%融資してもらえるわけではありませんが、わざわざ商品説明書から「100%以内」という言葉を消したぐらいなので審査基準は変更になっていると考えるのが自然です。
残念ながら具体的に審査基準が緩くなっていることは実証できませんが、インターネット上の「SBI新生銀行は満額融資してくれない」という口コミや評判はある程度改善されていると考えて良いでしょう。
SBI新生銀行の住宅ローンは外国人でも利用しやすいことも特徴の1つです。住宅ローンだけでなく普段使いの口座としても外国人が使いやすい銀行サービスを提供しています。
2020年1月から「つなぎ融資」に少しだけ対応しています。
「つなぎ融資」とは、住宅が完成する前に必要な資金を一時的に一時的に借りる融資のことです。新築や建て替えの場合、工事の進捗に応じて支払いが発生しますが、住宅ローンは物件が完成してから融資されるため、その間の資金不足を補うためにつなぎ融資が利用されます。
「少し」という表現がついてしまうのは、「土地の取得金」にしか対応していないためです。
SBI新生銀行の土地だけに対応しているつなぎ融資は融資事務手数料が無料です。しかも、当初固定金利タイプ(1年)の金利が適用されるので、つなぎ融資とは思えないぐらいの低金利で利用することができます。
都市部に注文住宅でマイホームの建築を考えている人で、建物分の着工金や中間金が自己資金で充当できる人などにとってかなり魅力的なつなぎ融資です。なお、金利水準は上がってしまいますがグループ会社のアプラスが提供しているつなぎ融資を使えば土地購入代金に加えて、建物建築の着工金・中間金等のつなぎ資金にも対応できます。
つなぎ融資の条件について考えすぎずにまずは審査に通るのかを確認するために申し込むと良いでしょう。
一般的には事前審査・仮審査などと呼ばれる簡易的な審査がありますが、SBI新生銀行の住宅ローンの場合、WEBで住宅ローンの申し込みを完了すると本審査が進められます。SBI新生銀行の住宅ローンには「仮審査」がありません。
住宅ローンの「本審査」は、「仮審査」「事前審査」よりも審査に時間がかかります。SBI新生銀行査に時間がかかる本審査をすぐに行っているので審査回答があるまでに時間がかかってしまうのですが、逆に、1回目で審査通過の連絡があれば基本的に追加の審査はありませんので、トータルの審査手続きはシンプルな住宅ローンです。
冒頭でも説明した通り、SBI新生銀行の住宅ローンはネット銀行の住宅ローンなどと比べると金利が高く見えます。
SBI新生銀行の住宅ローンには、「住宅ローンを借り入れ時にかかる費用をできるだけ少なくすることで、住宅ローン全体の総返済額を抑える」というコンセプトがあるので、諸費用がかなり安く抑えられています。その分、表面上の金利が高くなってしまっているので、その点を理解しつつ、他の住宅ローンと比較するようにしましょう。
SBI新生銀行では住宅ローン金利が変動しても5年間は返済額を一定とする5年ルール、5年ルールにより金利を見直す場合の月々の返済額を125%を上限とする125%ルールを採用していません。
現状の低金利政策ではあまり想定できませんが、仮に急激な住宅ローン金利の上昇があった場合に、SBI新生銀行の住宅ローンでは変動金利の場合、6ヶ月ごとに急激に金利が上昇する可能性がある商品設計となっています。この5年ルール、125%ルールがあるほうが「良い」「悪い」とは一概には言えませんが、急激な金利上昇時には返済額が急激に上昇するため注意が必要です。
SBI新生銀行では、恒常的に住宅ローン契約でお得なキャンペーンを実施しています。
過去には期間限定のキャンペーンでAmazonギフト券のプレゼント企画やANAマイレージのプレゼントといった企画も存在していました。
「新生ステップアッププログラム」とは、対象の銀行取引や預金残高などに応じて特典が増える優遇プログラムです。口座残高が増えるごとにステージがあがり、ATM利用手数料や振込手数料の無料回数が段階的に増加します。 ステージはスタンダード・シルバー・ゴールド・プラチナ・ダイヤモンドの5つです。
住宅ローンを借りていると新生ステップアッププログラムのプラチナステージが適用されるため、他行あて振り込みが月間10回まで無料、海外送金が月1回まで無料、外貨両替手数料などの優遇を受けることができます。
住宅ローンを利用するときに加入を求められる団体信用生命保険。その加入条件を緩和した団体信用生命保険がワイド団信です。ワイド団信は病歴や持病(高血圧、うつ病、糖尿病など)があっても加入できる可能性のある団信で、地銀、メガバンク、ネット銀行などでの導入が進んでいます。今のところ、SBI新生銀行ではこのワイド団信の取り扱いがありません。
2021年3月から借り入れ可能金額が3億円まで引き上げられています。1億円以上の融資に対応をしている住宅ローンはいくつかありますが、借入額に比例して事務手数料や保証料が決まる住宅ローンと違って、SBI新生銀行の住宅ローンはこうした諸費用を固定化できるので高額借り入れ時の有力候補と言えます。
※なお、団信は2億円までしか付帯されず、これを超える借り入れを行う場合には自己負担で団信に加入する必要があるので申し込み後にSBI新生銀行の専門スタッフに相談するようにしましょう。
SBI新生銀行の住宅ローンの審査基準で注意しておきたいポイントを解説しておきます。
審査基準 | コメント・落とし穴 | |
---|---|---|
年齢 | 申し込み時の年齢:満20歳以上満65歳未満 完済予定日の年齢:満80歳未満 |
高齢でも利用しやすい基準と言える |
勤続年数 | 連続した就業2年以上 | 休職期間がなければ良いので転職していても問題ない |
年収 |
前年度の税込み年収が300万円以上 (自営業の場合、2年平均300万円以上の所得) |
年収制限は普通 |
雇用形態 | 正社員、契約社員、自営業、公務員など | 派遣社員はNG |
健康状態 | 団信加入必須 | ワイド団信の取り扱いはなし |
物件関連 | SBI新生銀行所定の不動産鑑定会社による担保評価 | 担保評価は厳しめ |
次にSBI新生銀行の住宅ローンの種類を一覧形式で確認しておきましょう。SBI新生銀行では様々な住宅ローンを提供していますが基本となる住宅ローンは1つです。基本商品にどんなサービスをセットするかで住宅ローンの事務手数料が増減したりします。
基本商品の事務手数料はわずか55,000円(税込)で、セットするサービスによって最大で165,000円(税込)になります。
商品名 | 事務手数料(税込) | 特徴 |
---|---|---|
パワースマート住宅ローン(手数料定額型) | 55,000円 | SBI新生銀行の住宅ローンの基本商品。「保証料無料」「団信保険料」「一部繰上返済手数料無料」などは全商品共通。 |
パワースマート住宅ローン(通料定率型) | 融資額×2.20% | 各金利タイプの金利が低い代わりに事務手数料が高く設定されている。安心パックの利用手数料は含まれているので安心パックは無料で利用可能。 |
安心パック | 110,000円 | 特定の疾病によらず、介護状態に備えることができる「安心保障付団信(団体信用介護保障保険)」が無料で付帯。 |
165,000円 | 金利が段階的に下がっていくことが確定している住宅ローン。 |
安心保障付団信について
特定の怪我や病気にかかわらず、要介護3以上に認定された際に、保険金が支払われ住宅ローンが完済される団信です。病気やケガの原因は問いませんので住宅ローン返済期間中の安心感が高まるのは言うまでもありません。
SBI新生銀行が取り扱う住宅ローンはSBI新生銀行独自の住宅ローンだけです。他の銀行では自社の住宅ローンとフラット35の両方を取り扱うことがありますが、SBI新生銀行ではフラット35の取り扱いはありません。
SBI新生銀行はフラット35よりもオトクな手数料・金利水準で長期固定金利タイプの住宅ローンを提供している数少ない金融機関なので、フラット35を探している人もSBI新生銀行の住宅ローンをチェックして欲しいと思います。なお、よりオトクな条件でフラット35を借りたいと考えている人はアルヒのフラット35をチェックしておくことをおすすめします(SBI新生銀行は手数料がとにかく安い)
SBI新生銀行の住宅ローンの住宅の購入時、もしくは借り換え時に実施したリフォーム資金を住宅ローンと上乗せして借りることが可能です。
リフォームローン単体の金利水準よりも圧倒的に低い金利でリフォーム資金を用意できることになります。また、リフォーム資金を別途返済する必要がなくなるので、毎月の支出を抑えることができます。
SBI新生銀行の住宅ローンは諸費用の安さと多彩なサービス内容が魅力の住宅ローンです。2024年11月もネット銀行やフラット35と同等かそれ以上ともいえる魅力的な金利・サービス内容と言えます。
今の日本の住宅ローン業界では「変動金利タイプ」の住宅ローンを利用する人が大多数を超えていますので、SBI新生銀行の住宅ローンの金利も変動金利に注目してしまいがちですが、SBI新生銀行の住宅ローンの場合、「20年固定」「35年固定」の金利タイプにも注目すべきで、手数料定額型の場合、「手数料が定額(低額)」であることを考えると固定金利タイプの住宅ローンとして最もおトクな金利設定になっていると言っても言い過ぎではないほどです。
また、2022年3月から取り扱いを開始しているがん団信は、金利上乗せ年0.1%で利用できるのは大きな魅力です。ぜひ、申込候補の住宅ローンと手数料・保証料・最新金利で比較するようにしてみてください。
なお、SBI新生銀行の住宅ローンに限らず、どんな住宅ローンにも落とし穴やデメリットは存在します。SBI新生銀行のいくつかの注意点やデメリットも存在しています。重要なのは商品性を理解して住宅ローンを申し込むことです。商品性を理解していれば何の問題もないことでも、理解していないと思わぬ落とし穴はまってしまう可能性があります。
少しでもこの特集ページが皆様の参考になれば幸いです。
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