2025年6月11日
三菱UFJ銀行は、誰もが知っている国内最大の銀行です。
預金はもちろんですが貸金(ローン)の規模も国内最大級で、住宅ローンの融資残高も2007年から何年も連続で「日本で一番住宅ローンの利用者が多い銀行」の座を維持している名実ともに日本を代表する住宅ローンです。
現在、三菱UFJ銀行の銀行口座数は4,000万口座を超えていて、同じメガバンクである三井住友銀行やみずほ銀行と比べても頭一つ抜けている存在です。
多くの人が三菱UFJ銀行の住宅ローンを利用していることに違いはありませんが、実はそういったイメージとは裏腹に、三菱UFJ銀行の住宅ローンの貸出残高は年々減少を続けています。
少子化で日本全体の人口は減りつつあり、加えて超高齢化も進んでいるので融資残高が自然減少しても当たり前なのですが、大手銀行・地銀の住宅ローンの減少に大きく影響しているのが、金利が低くて商品性が充実しているネット銀行の住宅ローンの登場です。
ネット銀行は今もなお、金利の引き下げや商品性の改善を続けています。今後も低金利と充実した疾病保障を武器に、シェアをどんどん伸ばしていくことが予想されています。
ただ、三菱UFJ銀行もネット銀行の住宅ローンの登場を黙ってみているわけではありません。
また、住宅ローンは20年・30年利用することになりますし、企業の信頼性も大切な比較ポイントです。
三菱UFJ銀行も、NTTドコモなどと業務提携を検討するなどの利用者を獲得するための取り組みを行っていますので、今度の動向には注目が集まります。今回はそんな三菱UFJ銀行の住宅ローンのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
三菱UFJ銀行は2024年3月末時点で国内に421の店舗があり、このうち住宅ローンの相談窓口を設置しているのは200程度です。首都圏などにお住まいの人であれば、自宅の近くに三菱UFJ銀行の店舗があるという人は多いかと思います。
ネットだけで手続きが完結する銀行も確かに便利ではありますが、店舗で直接相談でき、土日でも対応しているのは、「働きながら住宅ローンを検討したい」「住宅ローンの手続きに不安がある」という人にとっては大変心強いでしょう。
ただし注意点として、スマート手続を利用して店舗で進められるのは事前審査までで、正式審査から契約まではネットでの手続きとなるため、その点は事前に確認しておきましょう。
多くの銀行で採用されているのが「当初固定期間」設定型の住宅ローンです。これは住宅ローンを借りた当初の決められた期間について住宅ローン金利の割引を大きくしたタイプの金利です。メガバンク、地銀、ネット専用銀行など、ほぼすべての銀行で採用されている金利タイプとなっています。
期間経過後は原則的に変動金利に移行されるようになっていて、変動金利になった後の金利がどの程度になるのは重要なチェックポイントです。
例えば、三菱UFJ銀行とネット専業銀行で住宅ローンシェアの高い住信SBIネット銀行で3,000万円の住宅ローンを35年返済で借りた場合のシミュレーションをしてみたいと思います。いずれも当初固定10年タイプで2025年4月の金利で住宅ローンを契約したことを前提としています。
三菱UFJ銀行 | 住信SBIネット銀行(WEB申込コース) | ||
当初10年 | 金利 | 年1.890%(最初に大きな優遇コース・事務手数料型・スマート手続き利用時) | 年1.789%(当初引下げプラン)※ |
月々の返済額 | 約9.7万円 | 約9.6万円 | |
11年目から35年目まで | 金利 |
年1.325%(変動金利の基準金利年2.875%から年1.550%の割引) |
年1.629%(変動金利の基準金利年3.275%から年1.646%の割引) |
月々の返済額 |
約8.9万円 |
約9.3万円 |
|
総返済額 |
約3,851万円 |
約3,964万円 |
※自己資金20%以上時。審査結果によっては金利に年0.1%~年0.30%上乗せとなる場合があります、借入期間を35年超でお借り入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
総返済額では甲乙つけがたい状況ですが、住信SBIネット銀行の住宅ローンには全疾病保障が無料で付帯し、50歳以下であればがん50%保障などの3大疾病も無料付帯することを考えると、住信SBIネット銀行に軍配が上がりそうです。
当初期間終了後の金利が低くて良心的な商品としてはSBI新生銀行の住宅ローンも挙げられます。併せて検討される事をおすすめします。
三菱UFJ銀行ではネット完結型の住宅ローンも取り扱いをしています。24時間いつでも手続きできるのが嬉しいですね。
店舗を有する銀行の強みとも言える、分割融資(つなぎ融資)への対応も三菱UFJ銀行のメリットです。ただし、つなぎ融資を希望される場合には、スマート手続の金利は適用されないので注意が必要です。
注文住宅でマイホームを建てる場合、土地購入代金を用意しなければならないのはもちろん、建物建築費用(着工時・上棟時・引渡し時)をマイホームが完成する前に支払う必要があります。通常の住宅ローンは、住宅が完成してから契約して利用することになりますが、それまでの中間の支払いに対応するのがつなぎ融資です。 地銀もつなぎ融資には対応していますが、住宅ローンの金利・手数料・疾病保障などの条件を考えるとネット銀行などが提供する全国区のお得な住宅を利用した方が有利です。以下に住宅ローン金利や条件が優れていて、かつ、つなぎ融資に対応しているおすすめの住宅ローンを紹介しておきます。
SBI新生銀行はグループ会社のアプラスと連携してつなぎ融資を利用できますし、SBIアルヒでは独自のつなぎ融資を提供しています。
また、三菱UFJ銀行で特定の取引を行うと、ポイントサービスである「Pontaポイント」を毎月貯めることができます。
住宅ローンの場合、ローン残高があれば毎月50Pontaポイントが貯まっていく※仕組みです。※月末時点でお借入残高がある場合対象となります。ケースによっては優遇適用の対象外となる事もあるため、詳しい内容は三菱UFJ銀行公式ホームページをご確認下さい。
三菱UFJ銀行の住宅ローンでは、借入中の方で出産前後6ヶ月以内の女性を対象に、金利を適用金利から年0.2%引き下げるという特典があります。
この優遇は申し出から1年間適用され、妊娠中や出産後の状況が審査に影響しない点も特徴です。そのため、出産前後で住宅ローンに悩む女性にとって利用しやすい商品となっています。
※ただし、適用には条件があるため、詳しくは三菱UFJ銀行のHPをご確認ください。
ワイド団信とは、従来の団体信用生命保険(団信)の条件では加入が難しい持病や健康上のリスクがある人に向けた保険です。
通常の団信よりも加入条件が緩和されており、例えば、高血圧や糖尿病といった健康状態でも申し込めることが特徴です。ワイド団信のおかげで、より多くの人が住宅ローンを組む際に安心して加入できる選択肢となっています。ただし、加入条件が緩和されている分、保険料は一般的な団信と比べて、やや高めに設定される点は注意しておかなければいけません。
特にワイド団信は、メガバンクの中でも三井住友銀行が取り扱っていないなど、方針が分かれる保険となっています。
方針が分かれる中で、三菱UFJ銀行はワイド団信の取り扱いを行っており、持病や治療歴(うつ病、糖尿病、肝炎、高血圧など)が理由で一般団信に加入できない人にも住宅ローンを組むことができるようになっています。※ただし、症状によってはワイド団信にも加入できない可能性もあります。
三菱UFJ銀行では年0.3%の金利上乗せでワイド団信の利用が可能で、借入時の年齢が50歳の誕生日までが対象です。
この年0.3%という水準は比較的一般的ではありますが、同じワイド団信を比較したときに同時並行で審査申し込みをしたいのがソニー銀行です。ソニー銀行であれば年0.2%の金利上乗せでワイド団信を利用することが可能です。
変動金利についても、ソニー銀行は三菱UFJ銀行と比べて安い金利を提供しています。
三菱UFJ銀行の住宅ローンでは、7大疾病保障(ビッグ&セブン Plus)を年0.3%の金利上乗せで付帯することが可能です。その際は、東京海上日動火災保険が保険引き受け会社となっています。
7大疾病保障(ビッグ&セブン Plus)は、がんと診断されたり、脳卒中・急性心筋梗塞で入院した際に、一定の条件を満たすことで住宅ローン残高が0円になるというものです。日本では、入院患者の約3人に1人は7大疾病に罹患していると言われていますので、この7大疾病保障は日々生活していく中で大きな備えと言えるでしょう。
ただ、7大疾病保障と似たような内容でありながら、金利上乗せなしで付帯してくれるネット銀行は存在します。そう考えると、金利を上乗せしないと付帯できない点はデメリットと言わざるを得ません。
また、全ての病気や怪我(全疾病保障)に対応した保障ではありませんし、対象となる年齢が50歳未満となっていますので注意しましょう。
ネット専業銀行の住宅ローンは、金利引き下げ競争とともに疾病保障の充実化も競っています。下記は、ネット専業銀行で且つ疾病保障を無料で付帯している主な住宅ローンの一覧です。
銀行名 | 疾病保障内容 |
auじぶん銀行 |
がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障」と精神疾患以外の病気や怪我で180日以上の継続入院すると住宅ローン残高がゼロになる「全疾病長期入院保障」などが無料で付帯。 |
PayPay銀行 | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障」を無料で付帯。 |
ソニー銀行 | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん団信50」を無料で付帯。 |
※各疾病保障については、本文最後の記事を参考にしてください。
次に、三菱UFJ銀行の住宅ローンのデメリットとして取り上げたいのが、金利に割安さが無いという根本的な部分です。
人気の高いネット銀行同士では、変動金利が年0.3%台の争いとなっていますので、それと比べると三菱UFJ銀行の変動金利はもう一声欲しいところです。
三菱UFJ銀行の住宅ローン金利は審査結果により変わるため、本審査が終わらないと適用金利が分からないというデメリットがあります。
当初想定していた金利よりも高い金利を提示されて時間的猶予がなく、他の銀行の審査を行えなかったということがないように、三菱UFJ銀行の住宅ローン審査に申し込むと同時に他行の住宅ローン審査にも申し込みをするようにしましょう。
実は、三菱UFJ銀行では2013年にフラット35の取扱いを終了しています。
フラット35とは、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。フラット35のメリットは、民間の住宅ローンと違って公的な機関が提供する住宅ローンなので、住宅ローン審査に寛容で通りやすいのが特徴です。
取扱い終了の理由は発表されていませんが、自社のプロパー住宅ローンと比較すると、フラット35のほうが低収益だったためと推測されます。ただ、この対応により三菱UFJ銀行では非正規雇用、個人事業主・会社経営者の方が住宅ローンを組むのハードルが少し上がってしまったと言ってよいでしょう。
三菱UFJ銀行の住宅ローンは、現在も引き続き大きなシェアを通していますが、年々そのシェアを落としています。
その要因はネット銀行が低金利の住宅ローンを積極的に市場と投入しているためであり、店舗という大きな固定費があるメガバンクとしては金利で太刀打ちできない状態です。
しかし三菱UFJ銀行も防戦一方というわけではなく、人気が上昇しつつあるネット銀行に対抗すべく「ネット専用住宅ローン」を打ち出しています。ただ、変動金利で年0.345%~年0.425%(ずーっと一律優遇コース・スマート手続き利用時)/2025年2月適用金利 となっており、疾病保障付きで年0.30%前後の戦いとなっているネット銀行と比較すると、まだまだ金利が割高な状態です。
その代わりに手厚い疾病保障はありますが、全て金利に上乗せする必要があり、無料の疾病保障は付帯しないため、「メガバンクの安心感」を理由に住宅ローンを選ばない限り、三菱UFJ銀行住宅ローンにだけ絞って申し込みすればいいという状況ではなさそうですね。
住宅ローンの本審査への申し込みは、1社のみならず複数の金融機関でできます。時間に余裕を持ち、最良の選択をするためにも、三菱UFJ銀行の住宅ローン審査に申し込むと同時に、他の銀行の住宅ローン審査も並行して行いましょう。
疾病保障が無料で付帯できる、auじぶん銀行※、SBI新生銀行、住信SBIネット銀行などの住宅ローンも比較することをおすすめします。
ネット銀行の住宅ローンを中心に無料の疾病保障サービスが付帯する住宅ローンが増えています。みんなの住宅ローンでは、疾病保障サービスの特徴を解説した記事を用意しています。住宅ローン選びの参考にしてください。
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