2024年11月1日
三菱UFJ銀行は誰もが知っている国内最大の銀行です。もちろん、預金だけでなく貸金(ローン)の規模も国内最大級で、住宅ローンの融資残高も2007年から何年も連続で「日本で一番住宅ローンの利用者が多い銀行」の座を維持している名実ともに日本を代表する住宅ローンです。ただし、直近での住宅ローンの新規貸し出しはauじぶん銀行や住信SBIネット銀行に大きく差を開けられています。
銀行口座数は4,000万口座を超えていて、同じメガバンクである三井住友銀行やみずほ銀行と比べても頭一つ抜けている存在です。
多くの人が三菱UFJ銀行の住宅ローンを利用していることに違いはありませんが、実は三菱UFJ銀行の住宅ローンの貸出残高は年々減少を続けています。日本全体の人口は減っていて、高齢化が進んでいるので、大手銀行の住宅ローンの場合、融資残高が自然減少しても当たり前なのですが、大手銀行・地銀の住宅ローンの減少に大きく影響しているのが、金利が低くて商品性が充実しているネット銀行の住宅ローンの登場です。
繰り返しになりますが、すでに大手銀行の住宅ローン融資額は、住信SBIネット銀行やauじぶん銀行に大きくリードされている状況です。
ネット銀行は、今もなお金利の引き下げや商品性の改善を続けています。今後も、低金利と充実した疾病保障を武器にシェアを伸ばしていくことが予想されています。
三菱UFJ銀行もネット銀行の住宅ローンの登場を黙ってみているわけではありません。住宅ローン利用者を順調に増やしているauじぶん銀行の大株主でもあります。
また、住宅ローンは20年・30年利用することになるので企業の信頼性も大切な比較ポイントです。そう考えると、ネット銀行の住宅ローンの低金利に三菱UFJ銀行の信頼性や企業背景を合わせたauじぶん銀行の住宅ローンが人気を集めるのは当然なのかもしれません。
三菱UFJ銀行もNTTドコモなどと業務提携を検討したり、利用者獲得の取り組みを継続していますので、今度の動向には注目が集まります。今回はそんな三菱UFJ銀行の住宅ローンのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
目次
三菱UFJ銀行は2024年3月末時点で国内に421の店舗があります。住宅ローンの相談窓口を設置しているのはこのうち200程度ですが、首都圏などにお住まいの人であれば、自宅の近くに三菱UFJ銀行の店舗がある人は多いと思います。それらの店舗で土日でも住宅ローンについて相談できるのは、住宅ローンに不安がある人にとって心強いでしょう。
ただし、スマート手続は事前審査までは店舗で行えますが、正式審査から契約まではネットで行うこととなります。
多くの銀行で採用されているのが「当初固定期間」設定型の住宅ローン。これは住宅ローンを借りた当初の決められた期間について住宅ローン金利の割引を大きくしたタイプの金利です。メガバンク、地銀、ネット専用銀行などほぼすべての銀行で採用されている金利タイプです。
期間経過後は原則的に変動金利に移行されるようになっていて、変動金利になったあとの金利がどの程度になるのは重要なチェックポイントです。
例えば、三菱UFJ銀行とネット専業銀行で住宅ローンシェアの高い住信SBIネット銀行で3,000万円の住宅ローンを35年返済で借りた場合のシミュレーションをしてみたいと思います。いずれも当初固定10年タイプで2024年7月の金利で住宅ローンを契約したことを前提としています。
三菱UFJ銀行 | 住信SBIネット銀行(WEB申込コース) | ||
当初10年 | 金利 | 年1.330%(最初に大きな優遇コース・事務手数料型・スマート手続き利用時) | 年1.333%(当初引下げプラン)※ |
月々の返済額 | 約8.9万円 | 約8.9万円 | |
11年目から35年目まで | 金利 | 年0.975%(変動金利の基準金利年2.475%から年1.500%の割引) | 年1.203%(変動金利の基準金利年2.775%から年1.572%の割引) |
月々の返済額 | 約8.6万円 | 約8.8万円 | |
総返済額 | 約3,642万円 | 約3,714万円 |
※自己資金20%以上時。審査結果によっては金利に年0.1%~年0.30%上乗せとなる場合があります、借入期間を35年超でお借り入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
総返済額では甲乙つけがたい状況ですが、住信SBIネット銀行の住宅ローンには全疾病保障が無料で付帯し、40歳未満であればがん50%保障などの3疾病も無料付帯することを考えると、住信SBIネット銀行に軍配が上がりそうです。
当初期間終了後の金利が低くて良心的な商品としてはSBI新生銀行の住宅ローンも挙げられます。併せて検討される事をおすすめします。
三菱UFJ銀行ではネット完結型の住宅ローンも取り扱いをしています。24時間いつでも手続きできるのが嬉しいですね。
店舗を有する銀行の強みとも言える、分割融資(つなぎ融資)への対応も三菱UFJ銀行のメリットです。ただし、つなぎ融資を希望される場合にはスマート手続の金利は適用されないので注意が必要です。
注文住宅でマイホームを建てる場合、土地購入代金や建物建築費用(着工時・上棟時・引渡し時)の支払いが必要となります。通常の住宅ローンは、住宅が完成してから契約して利用することになりますが、それまでの中間の支払いに対応するのがつなぎ融資です。 地銀もつなぎ融資には対応していますが、住宅ローンの金利・手数料・疾病保障などの条件を考えるとネット銀行などが提供する全国区のお得な住宅を利用した方が有利です。以下に住宅ローン金利や条件が優れていて、かつ、つなぎ融資に対応しているおすすめの住宅ローンを4つ紹介しておきます。
auじぶん銀行、SBI新生銀行はアプラスと提携しつなぎ融資を受けることができ、ARUHIでは独自のつなぎ融資を提供しています。
三菱UFJ銀行で特定の取引を行うと、Pontaポイントを毎月貯めることができます。住宅ローンに関しては、ローン残高があれば毎月50Pontaポイントが貯まります。
※月末時点でお借入残高がある場合対象となります。ケースによっては優遇適用の対象外となる事もあるため詳細は三菱UFJ銀行公式ホームページをご確認下さい。
ワイド団信とは、従来の団体信用生命保険(団信)の加入が難しい、持病や健康上のリスクがある人向けの保険です。通常の団信よりも加入条件が緩和されており、例えば、高血圧や糖尿病といった健康状態でも申し込めることが特徴です。そのため、より多くの人が住宅ローンを組む際に安心して加入できる選択肢となっていますが、保険料がやや高めに設定されることが一般的です。
メガバンクの中でも、三井住友銀行が取り扱っていないなど方針が分かれるのが、加入条件を緩和している団体信用生命保険である「ワイド団信」です。三菱UFJ銀行ではワイド団信の取り扱いを行っており、持病や治療歴(うつ病、糖尿病、肝炎、高血圧など)が理由で一般団信に加入できない人にも住宅ローンを組むことができるようになっています。症状によってはワイド団信にも加入できない可能性はあります。
三菱UFJ銀行では年0.3%の金利上乗せでワイド団信の利用が可能です。年0.3%という水準は比較的一般的ではありますが、ワイド団信を比較したときに、同時並行で審査申し込みをしたいのがソニー銀行です。ソニー銀行であれば年0.2%の金利上乗せでワイド団信を利用可能です。
変動金利についても、ソニー銀行は三菱UFJ銀行より安い金利を提供しています。
三菱UFJ銀行の住宅ローンには7大疾病保障(ビッグ&セブン Plus)の付帯が、年0.3%の金利上乗せで可能で東京海上日動火災保険が保険引き受け会社となっています。
7大疾病保障(ビッグ&セブン Plus)はがんと診断されたり、脳卒中・急性心筋梗塞で入院した際に、住宅ローン残高が0円になるというものです。
入院患者の約3人に1人は7疾病で占められており、7大疾病保障は大きな備えと言えますが、全ての病気や怪我(全疾病保障)に対応した保障ではありません。
ネット専業銀行の住宅ローンは金利引き下げ競争とともに、疾病保障の充実化を競っています。
下記が主なネット専業銀行で疾病保障を無料で付帯している住宅ローンの一覧です。
銀行名 | 疾病保障内容 |
auじぶん銀行 |
がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障」と精神疾患以外の病気や怪我で180日以上の継続入院すると住宅ローン残高がゼロになる「全疾病長期入院保障」などが無料で付帯。 |
PayPay銀行 | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障」を無料で付帯。 |
ソニー銀行 | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が半分になる「がん団信50」を無料で付帯。 |
各疾病保障については本文最後の記事を参考にしてください。
以下、三菱UFJ銀行の住宅ローンのデメリットに戻ります。
次の三菱UFJ銀行の住宅ローンのデメリットして取り上げたいのが金利に割安さが無いという根本的な部分です。
ネット銀行では変動金利が年0.3%台の争いとなっていますので、三菱UFJ銀行の変動金利はもう一声欲しいところです。
三菱UFJ銀行の住宅ローン金利は審査結果により変わるため、本審査が終わらないと適用金利が分からないというデメリットがあります。
当初想定していた金利よりも高い金利を提示されて時間的猶予がなく、他の銀行の審査を行えなかったということがないように、三菱UFJ銀行の住宅ローン審査に申し込むと同時に他行の住宅ローン審査にも申し込みをするようにしましょう。
三菱UFJ銀行では2013年にフラット35の取扱いを終了。取扱い終了の理由は発表されていませんが、自社のプロパー住宅ローンと比較するとフラット35が低収益だからだと推測されます。
フラット35とは、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。フラット35のメリットは、民間の住宅ローンと違って、公的な機関が提供する住宅ローンなので住宅ローン審査に寛容、通りやすいのが審査上の特徴です。
この対応により三菱UFJ銀行では非正規雇用、個人事業主・会社経営者の方が住宅ローンを組むのハードルが少し上がってしまったと言ってよいでしょう。
三菱UFJ銀行の住宅ローンは引き続き大きなシェアを通していますが、年々そのシェアを落としています。その要因はネット銀行が低金利の住宅ローンを積極的に市場と投入しているためであり、店舗という大きな固定費があるメガバンクとしては金利で太刀打ちできない状態です。しかし三菱UFJ銀行も防戦一方ではなく、ネット銀行に対抗すべく、「ネット専用住宅ローン」を打ち出していますが、変動金利で年0.345%(ずーっと一律優遇コース・スマート手続き利用時)/2024年11月適用金利となっており、疾病保障付きで年0.30%前後の戦いとなっているネット銀行と比較すると、まだ金利が割高な状態です。手厚い疾病保障はありますが、全て金利に上乗せする必要があり無料の疾病保障は付帯しないため、「メガバンクの安心感」を理由に住宅ローンを選ばない限り、三菱UFJ銀行の住宅ローンにだけ申し込みを行えばいいという状況ではないです。
住宅ローンの本審査への申し込みは、複数の金融機関でできます。時間に余裕を持ち、最良の選択をするためにも、三菱UFJ銀行の住宅ローン審査に申し込むと同時に、他の銀行の住宅ローン審査も並行して行いましょう。
疾病保障が無料で付帯する、auじぶん銀行※、SBI新生銀行、住信SBIネット銀行などの住宅ローンも比較することをおすすめします。
ネット銀行の住宅ローンを中心に無料の疾病保障サービスが付帯する住宅ローンが増えています。みんなの住宅ローンでは、疾病保障サービスの特徴を解説した記事を用意しています。住宅ローン選びの参考にしてください。
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