公開日: 2026年8月1日

日本では、住宅ローン利用者の多くが変動金利タイプを選んでいます。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2026年1月調査)でも、利用者の75.0%が変動型と回答しています。
本来、住宅ローンは変動金利タイプと固定金利タイプのどちらを利用すべきかの判断が難しい金融商品で、金融のプロと言われるファイナンシャルプランナーや銀行員に聞いても変動金利派と固定金利派に分かれますが、一般消費者の間では変動金利が一強という状況が続いてきました。
ところが、2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除して以降、日本は「金利のある世界」へ段階的に移行しつつあり、2026年6月には政策金利が1.0%程度まで引き上げられました。教育費や生活費とやりくりしながら返済を続けていくご家庭にとって、金利タイプ選びは今まで以上に難しくなっています。
住宅ローンにおいて、変動金利と固定金利のどちらが正解だったのかは、実際に契約から10年~20年ほど経過するか、完済を迎えてみないと判断できません。つまり、住宅ローンを契約する段階では、将来的にどちらが正解となるかは判断できないということです。
日本の金利が低いままであれば変動金利が正解だったことになりますし、金利が大きく上昇した場合は、固定金利で借りることが正解だったことになります。
「どちらの金利タイプか決められない」「金利の低さと金利上昇リスクのバランスを取りたい」――そんなご家庭に検討していただきたいのが「ミックスローン」です。
ミックスローンは、変動金利と固定金利など、異なるタイプの住宅ローンを組み合わせて借りる方法です。
2本のローンを同時に利用することで、金利上昇のリスクを一部抑えつつ、低金利のメリットも取り入れるといったバランスの取れた借り方ができます。
また、借入期間をそれぞれ「25年」と「35年」のように別々に設定することも可能です。これにより、教育費や老後の資金など将来のライフイベントを見据えながら、より柔軟な返済計画を立てやすくなるのもミックスローンの特徴です。
この記事では、ネット銀行の中でも人気が高いauじぶん銀行が提供しているミックスローンについて、メリット・デメリットの両方の視点を交えながら解説します。
目次
auじぶん銀行は2008年に設立されたインターネット専業銀行です。auじぶん銀行には店舗がありません。ネット銀行を利用したくても、対面で相談しながら契約がしたい場合は少し不安なこともあるかと思います。その代わり、ネット銀行はスマホやパソコンからほとんどの手続きが行えるので、窓口に行かずに、お子さまが寝たあとの時間などご自身の都合のよいタイミングで手続きを進められます。
auじぶん銀行はメディアや情報サービスが提供する「住宅ローンランキング」で、常に上位に名前が挙がる人気の銀行です。
auじぶん銀行の住宅ローンは、低金利と充実した団信が大きな特徴です。金利については後ほど詳しく説明するとして、ここでは団信の内容を見ていきましょう。
auじぶん銀行の団信は、保障範囲が広いうえに内容も充実しており、追加の負担を抑えながら手厚い保障を備えられる点が魅力です。万一のときにご家族に住まいとローンの負担を残さないための備えとして、しっかり確認しておきたいポイントです。
住宅ローンを組む際、金利ばかりに目がいきがちですが、団信の保障内容もしっかり確認しておくと、将来の安心感がぐっと高まります。auじぶん銀行の団信は、その点でも利用者から高く評価されている理由のひとつです。
例えば、借入時に満50歳以下の方が金利上乗せなしで加入できる「がん50%保障団信」は以下の保障内容になっています。
auじぶん銀行のウェブサイトを元にみんなの住宅ローン編集部作成。正確な保障内容や利用条件の確認はauじぶん銀行のウェブサイトをご覧ください。
がん50%保障団信はあくまで一例であり、さらに保障が手厚いがん100%保障団信(金利年0.05%上乗せ)、各種給付金が支給されるがん100%保障団信プレミアム(金利年0.15%上乗せ)も取り扱っています。なお、ここまで取り上げた団信は借入時に満50歳以下の方が利用できます。
また、auじぶん銀行では51歳以上の方が利用できる一般団信や、病歴や持病が原因で療養中の保障が付いた団信や一般団信に加入できない方のためのワイド団信も取り扱っています。
一般団信とワイド団信は主に死亡・高度障害やリビング・ニーズに絞ったシンプルな保障内容になっています。保障を一般団信に絞って金利を抑えるプランも用意されているので、最新の団信ラインアップと条件は公式サイトでご確認ください。
一般的に、保障内容が手厚い団信を利用の際は、金利上乗せが必要になるか、金利上乗せは必要ないまでも通常の金利自体が高い場合があります。しかしauじぶん銀行の金利はかなりの低水準であるにも関わらず、金利上乗せなしでがん50%保障団信の保障が付くわけですから、様々な銀行の住宅ローンを吟味した方ほどその魅力が理解できると思います。
ミックスローンの解説をする前に、ここからは変動金利と固定金利のメリットとデメリットについて解説します。まず、住宅ローンの金利を理解するためには以下の3つの言葉を覚えておく必要があります。
基準金利:借入金利を決定する前の基準となる金利
引下げ幅:借入金利を求めるために基準金利から引く幅のこと
借入金利:基準金利から引下げ幅を引いた顧客が借入時に利用する金利
変動金利のメリットは、金利が固定金利よりも低いことです。近年は固定金利の上昇が進んだこともあり、変動金利タイプの金利の低さが目立っています。
また、auじぶん銀行では、「全期間引下げプラン」を提供しているので、基準金利が上がらない限りは当初の金利が続くことになります。
変動金利のデメリットは金利上昇の可能性があることです。どんどん金利が上がってしまった場合、固定金利を追い抜いてしまう場合も想定されます。
日本は20世紀の終盤に日銀によって実施された「ゼロ金利政策」以降、様々な金融緩和策が実施され、低金利の状態が長期化してきました。しかし、2024年3月のマイナス金利政策の解除を皮切りに段階的な利上げが進み、2026年6月には政策金利(無担保コールレートの誘導目標)が1.0%程度まで引き上げられています。
2026年7月31日の金融政策決定会合では政策金利の据え置きが決定されましたが、植田総裁は記者会見で利上げペースの「加速もありうる」と述べたと報じられており、「据え置きだから当面金利は上がらない」とは言い切れない状況です(2026年8月時点)。変動金利を選ぶ際には、金利上昇リスクがあることが前提です。借入金額は、多少金利が上がっても教育費や生活費を圧迫せず、返済に苦しまない額にしておくと安心です。
(参考:日本銀行ウェブサイト)
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/seisaku/b42.htm/
固定金利のメリットは金利上昇リスクがないことです。契約時に返済額が確定するため、教育費のかかる時期の家計の見通しを立てやすいのは、ご家族にとって大きな安心材料です。
「日本もそろそろ金利が上がるだろう」と考える方は固定金利を選んでいるわけですが、固定金利型の住宅ローンの代表ともいえる住宅金融支援機構が提供するフラット35(借入期間が21年以上35年以下、融資率9割以下、団信付き)の金利は上昇傾向が続いています。
(参考 住宅金融支援機構 【フラット35】借入金利の推移)
https://www.flat35.com/kinri/kinri_suii.html
固定金利のデメリットとして挙げられるのは、変動金利に比べて金利が高めに設定されている点です。よほど特殊な状況でない限り、固定金利のほうが金利水準は高くなります。
また、当初固定金利タイプの場合、当初期間終了後は基準金利からの引下げ幅が縮小するので、借入金利が上昇する可能性が高いことにも注意が必要です。auじぶん銀行の固定金利特約は2年・3年・5年・10年・15年・20年・30年・35年から選択でき、当初期間引下げプランは当初の固定金利特約期間の金利引下げ幅が大きくなっているプランです。住宅ローンを比較的短い期間で返済する計画を立てたい人に向いているプランだといえます。
ここまで見てきた通り、変動金利と固定金利にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶべきか迷う方は少なくありません。また、固定金利を選ぶ場合でも、当初固定期間を何年にするかは悩みどころです。こうした金利選択の悩みを解決する方法のひとつが、ミックスローンです。ミックスローンは2本の住宅ローンを組み合わせて借りるタイプの契約形式です。
2本の住宅ローンの割合は50:50に限定されず、30:70、もしくは 25:75など、自由に決められます。また必ずしも変動金利と固定金利のように種類の異なる組み合わせにする必要はありません。下記にミックスローンの組み合わせの例を記載します。
固定と変動を組み合わせるのがミックスローンの最も代表的な形です。固定金利と変動金利をバランスよく組み合わせることによって、月々の返済額を抑えることができるだけではなく、変動金利のメリットも受けながら、金利が上昇した時の負担にも備えることができます。変動か固定かに迷った方は、この方式を選ぶと良いでしょう。
例えば当初固定10年の住宅ローンと当初固定20年の住宅ローンの選択に迷った時のように、どちらの固定金利タイプにしようか迷った時にもミックスローンは有効です。
同じ変動金利の住宅ローンを2つ組むこと自体には一見メリットは感じられません。しかし、変動金利をいずれ固定金利に変更する可能性がある方にとってはこの組み合わせは有効です。変動金利の住宅ローンを2本で組んでおけば、どちらか片方だけを固定に変えることができます。後から変動と固定のミックスローンに変更したり、種類の違う固定金利のミックスローンを組むなどのように先々の選択肢を広く持つことができるということです。
ミックスローンを利用する場合、住宅ローンの契約が2本立てとなるため、通常の1本の契約に比べて登記費用などの諸費用が高くなる可能性があります。あらかじめ費用面も含めてしっかり確認しておくことが大切です。詳細はauじぶん銀行や司法書士などの専門家に確認しておくと安心です。
また、auじぶん銀行のミックスは1契約あたり500万円以上10万円単位で設定する必要があります。2本合わせると、合計1,000万円以上の借り入れでないとミックスは利用できない計算になります。
さらに、auじぶん銀行では審査の結果、保証会社の利用が必要とされた方用の「保証付金利プラン」が存在します。保証付金利プランの利用者は、ミックスローンを利用できませんので、その点にも注意が必要です。
ミックスローンは、金利が上がっても上がらなくても「どちらを選んでも少しの後悔が残る」と感じやすい借り方です。
例えば、35年ローンを組む場合に、全期間引下げプランで変動金利を借り、当初期間引下げプランで10年固定金利を借りたとします。
この場合、仮に当初の10年間に基準金利が上がらない場合は、「結局金利は上がらなかったから、今後も上がらない気がするので10年固定金利の方も全期間引下げプランの変動金利に変更したい」という想いが生じる可能性があります。経験によって見解がはっきりしてくるということです。もちろん金利が上がった場合は、上記とは違う考えが生じるでしょう。
全期間引下げプランの変動金利の金利引下げ幅は、当初期間引下げプランの当初の固定金利期間が終了した後の金利引下げ幅より大きくなります。上記の例でいうと10年経過後は、金利の低い全期間引下げプランと、金利が相対的に高い当初期間引下げプランのローンが存在することになります。
しかし、金利プラン(全期間引下げプランまたは当初期間引下げプラン)は途中で変更できないため、全期間引下げプランと当初期間引下げプランで借りていたミックスローンを全て全期間引下げプランにすることはできません。
上記の例では、当初期間引下げプランの10年固定金利のローンを優先的に繰上げ返済し、10年後以降の返済がない状態を作っておけば、金利が相対的に高いローンを抱えなくてすみます。
ミックスローンで固定金利を選ぶ場合は、金利の引下げが大幅に変わるタイミングをしっかりと把握しておくことが大切です。返済期間の途中で金利優遇が減少する可能性もあるため、繰上げ返済を計画的に行うなど、将来を見据えた返済プランを立てておく必要があります。
将来の金利については、有識者の間でも見方が分かれており、明確な予想をすることは困難です。実際、2026年7月末の日銀の金融政策決定会合では政策金利が据え置かれた一方で、長期金利の上昇を受けて固定金利を引き上げる銀行が相次ぐなど、「短期の政策金利」と「固定金利のもとになる長期金利」は別の動きをすることがあります。
通常、ミックスローンを検討している方の多くは「金利が上がるかもしれない」という不安がある方だと思いますが、本当に重要なのは金利の先行きを正確に当てることではなく、万が一金利が上がった場合でも、ご家族の暮らしを守りながら無理なく返済を続けられるように備えておくことです。
例えば5,000万円の住宅ローンを借りた場合で、5年経過後に金利が2%上がってしまった例で、毎月の返済額がどのくらい変化するのかを下記のとおり表にしました。
【前提】
借入金額:5,000万円
変動金利の当初借入金利:年0.5%
変動金利の金利引き上げ後の借入金利(5年経過時点):年2.5%
固定金利:年2.0%
返済期間:35年
(金利は筆者が任意に設定。実際のauじぶん銀行の金利とは異なります)
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全額変動金利で借りた場合 |
全額固定金利で借りた場合 |
50:50のミックスローンで借りた場合 |
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当初5年の毎月返済額 |
129,792円 |
165,631円 |
変動:64,896円 |
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5年経過後の毎月返済額 |
171,409円 |
165,631円 |
変動:85,704円 |
上記の表から、変動金利が上がっても上がらなくても、ミックスローンは最良の選択にはなり得ないことがわかります。一方で、金利が上がった際の返済額の上昇幅は、変動金利のみで借りるよりも小さいという利点があります。このように「金利が上がった際に返済が滞らないように対策しておくこと」の1つがミックスローンを利用する目的の1つです。
ミックスローンは固定金利と変動金利どちらを選ぶか迷った際に検討される方法です。合理的な選択肢のひとつですが、実際には変動金利を選択する利用者が多い傾向にあります。住宅金融支援機構が実施した「住宅ローン利用者の実態調査」の2026年1月調査の結果によると、住宅ローン利用者の75.0%が変動金利を選択したと答えています。
一方で、この割合は前回調査(2025年4月調査)から4.0ポイント減少しており、固定期間選択型(14.9%)や全期間固定型(10.1%)を選ぶ方は増えています。金利上昇を受けて、固定タイプを検討するご家庭が少しずつ増えていることがわかります。
(参考)住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査
https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/user/index.html
それでも変動金利を選ぶ方が多数派である理由としては、以下の点が考えられます。
もともと固定金利は変動金利より高めに設定される傾向がありますが、近年は固定金利の上昇が目立っています。一方で、変動金利は相対的に低い水準を維持している状況です。
例えば、住宅金融支援機構の全期間固定型住宅ローン「フラット35」(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)の金利は、2026年7月資金受取分で最も多い金利が年3.140%まで上昇しています。※2026年8月分の金利は本記事更新時点では未発表です。最新の金利は公式サイトでご確認ください。
(参考)住宅金融支援機構 【フラット35】最新の金利情報
https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
変動金利と固定金利の差が開いていることが、変動金利を選ぶ方が多数派であり続ける理由の1つとして考えられます。
いくら変動金利の方が固定金利よりも利率が低いといっても、金利が上がることに対する不安は拭えないものです。変動金利に影響を与える短期プライムレートは、日本銀行の長期的な金融緩和対策のもと、長年にわたって大きな上昇がみられませんでした。
ただし、この状況は変わりつつあります。2024年以降の利上げを受けて短期プライムレートを引き上げる銀行が増えており、auじぶん銀行も2026年3月に住宅ローン基準金利の改定を発表しています。「日本の金利は上がらない」という長年の前提のままで考えるのは、注意が必要になってきました。
(参考)日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降
https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/
それでも、「返済当初の負担をできるだけ軽くして、教育費の準備と両立したい」というご家庭を中心に、変動金利を選ぶ方が多い状況が続いています。
二者択一を苦手とする方は多いと思いますが、金融商品は、迷ったときに両方選ぶことができるという特徴があります。
住宅ローンを組む際には多くの方が変動か固定かの二者択一で考えてしまいますが、ミックスローンを利用することで、両方選ぶことが可能になります。
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