2024年10月22日
シングルマザーとして住宅ローンの取得を考える際、「パートやアルバイト勤務でも借りられるのだろうか?」と不安を感じる方も多いかもしれません。収入や条件が厳しいと思われがちですが、実際にはどのような選択肢があるのでしょうか。
今回の特集ページでは、母子家庭・シングルマザーでも利用できる住宅ローンを紹介しています。また、参考情報として日本の母子家庭の年収や収入の状況などの統計データも紹介していますので参考にしていただければと思います。
まず、「母子家庭だから」という理由で住宅ローンを利用できないということはありません。住宅ローンの審査では「貸したお金を長期にわたって返済できるだけの安定した収入があるのか」、「収入に見合った金額なのか」、「万が一、返済してもらえなくなったとしても、貸した資金を回収できるだけの価値が担保物件にあるのか」という点が重視されます。統計的に母子家庭やシングルマザーのご家庭は統計的に収入の安定していないので、審査で厳しく見られやすいという懸念はありますが、家庭環境・家族構成を理由に住宅ローンの審査に落とされるということはありません。
目次
全国の母子世帯の調査結果でも、母子家庭の場合、母親が子育てと仕事を両立しなければならないため、非正規雇用(派遣社員やパートなど)でしか雇用してもらえないケースが多かったり、収入・雇用が不安定になりがちという傾向があります。統計上は住宅ローンの審査で重視される収入の安定性の面で不利な状況にあるのは否めません。
母子家庭にも様々な家庭がありますが、その中でも非正規雇用(派遣社員・パート)として働きながら子育てを行っている人が住宅ローンの審査に通過するのは簡単なことではありません。
一方で、近年は、様々な企業が女性の活躍を推進し、男性・女性という性別による差は縮小していて、審査に通りやすい環境の家庭もあります。父子家庭でも同じことですが、今の時代は「母子家庭」という一言ですべての家庭をまとめることはできません。ただし、派遣社員やパート社員で働きながら子供を育てているシングルマザーの場合、残念ながらどんな住宅ローンでも利用できるわけではありません。
無理のない価格の物件を選び、住宅ローンの成り立ちや審査基準などを確認して住宅ローンをちゃんと選んで申込することで、マイホームの購入も住宅ローンの利用も実現できる可能性が十分あります。
住宅ローンを利用できる可能性があると言っても、”キャリアウーマン”と言われるような高収入を得ている場合を除くと、母子家庭やパートタイマーとして働く人におすすめの住宅ローンはフラット35です。
フラット35とは、長期固定金利の住宅ローンです。最大35年間、借入時に決定した金利が変わらないため、返済計画が立てやすく、金利上昇リスクを避けられます。
フラット35は国が定める制度に従って提供されている住宅ローンで、その目的の1つに「幅広い家庭がマイホームを持つことを支援する」というテーマがあります。申込の受付は提携金融機関が行っていますが、住宅ローンの審査基準や商品性は基本的に住宅金融支援機構が決定しているため、家庭に複雑な事情を抱えていても利用しやすいような住宅ローンになっています。
民間の金融機関にとって住宅ローンは”ビジネス(商売)”です。ビジネスである以上は収益を確保するためにも貸倒率を計算するなど利用者を選ばなければなりません。その点、フラット35は国が支援する住宅ローンなので、採算度外視とも言える審査基準になっていて審査に通る可能性が高い住宅ローンです。
なお、フラット35はどの300を超える金融機関で取り扱っていますが、金融機関で金利や手数料・サービス内容が異なるので注意が必要です。おすすめはフラット35最大手のARUHI(アルヒ)です。
ARUHIはARUHIスーパーフラットと言う独自商品が通常のフラット35よりも低い金利で利用できる点が最大のポイントです。豊富なフラット35の融資実績と店舗網があるのも利点の1つで、店舗で知識と経験が豊富な専門スタッフにしっかり相談できるのは間違いなく心強さを感じでしょう。
※なお、ARUHIはauじぶん銀行・ソニー銀行の住宅ローンも取り扱っています。フラット35を申し込みながら、それらのネット銀行の低金利の住宅ローンにも申し込めるので、少しでも良い条件の住宅ローンを契約したい人にとってARUHIは相談候補です。
フラット35は、派遣社員、場合によってはアルバイドでも利用できる可能性がある住宅ローンですが、利用できる物件に制限があります。最初に物件がフラット35の基準を満たしているかを確認しておく必要があります。フラット35の基準を満たしているかどうかは不動産会社に確認すればすぐわかりますし、以下のような条件があります。
詳しくはフラット35を提供する住宅金融支援機構のホームページなどでも確認できます。
なお、購入する物件がフラット35の利用条件を満たしていない場合の有力候補として、また、純粋に変動金利タイプの住宅ローンを利用したい場合に、フラット35と合わせて申し込んでみて欲しいのが、年収100万円から利用できるイオン銀行の住宅ローンです。「イオン銀行がシングルマザーでもウチの住宅ローンを利用できますよ」と言っているわけではありませんが、民間銀行の住宅ローンの中では相当利用しやすい審査基準になっていると思いますので、候補の1つに加えておくことをおすすめします。
続いて、母子家庭の方を取り巻く環境の解説、それに基づいてどのような住宅ローンがおすすめできるのかの解説をつづけます。全国の母子家庭の居住環境などを確認しつつより良い住宅ローン選びの参考にしていただければと思います。
厚生労働省では5年毎に全国の母子世帯について調査してその統計データを公表しています。まず、その中から、母子家庭の住居の所有状況と、母子家庭の年収(就労による収入)の項目を参照しながら解説してみたいと思います。以下は令和3年に公表された調査結果です。
まず、令和3年の総数の行を確認してください。母子家庭全体の持ち家率は34.4%、本人の名義の住宅に住んでいる人の割合は15.9%となっています。
日本全体の持ち家率は60%強と言われていますので母子家庭の持ち家比率は日本全体の半分程度です。また、死別で母子家庭になった家庭の場合、約7割が持ち家で、本人名義の割合も5割を超えていますね。配偶者が亡くなった場合、団信で住宅ローンが完済された住宅を相続するケースが多いことがわかります。
上記は母子家庭の平均年収の統計データです。
一般家庭の平均年収と比較すると少ないことがわかります。やはり、子育てをしながら働かなければならないことが、収入面にも影響を与えていることがわかります。
最近は、民間銀行の住宅ローンも差別化と共に利用条件の緩和がすすみ、派遣社員にも貸し出ししている住宅ローンが増えてきています。
特に、低金利で人気のネット銀行のauじぶん銀行の住宅ローンは派遣社員でも利用可能ですが、年収200万円以上となっていますので、「派遣社員で年収200万円以上」の条件を満たせる人はauじぶん銀行の住宅ローンを選択肢に入れることをおすすめします。
なお、パートとして働いている人は派遣社員よりハードルが高くなり、残念ながら一般的な住宅ローンの利用は難しいのが実情です。
パートで働いている人の選択肢になるのが国土交通省などが所管する住宅金融支援機構が民間金融機関を経由して申込を受け付けている「フラット35」です。フラット35は「幅広い国民がマイホームを持てるようにすること」を目的として国の政策として提供されている住宅ローンなので、民間銀行とは違いパート社員でも住宅ローンを利用することができるのです。
※フラット35は購入する物件がフラット35の基準を満たしていなければなりませんので、購入物件の選ぶ段階からフラット35の利用を意識しておくと良いでしょう。
※フラット35の基準に床面積が一定の広さ以上あること、などの条件があります。都市部などで条件を満たそうとすると物件価格が高くなります。その結果、収入面から現実的な物件を見つけられない可能性も十分にあります。
厚生労働省の調査では母子家庭で元夫からの養育費を受け取っているかの調査も行っています。これによると全体の60%以上が受け取っていないとなっています。
受け取っている家庭では月額43,000円程度を受給しているのが平均値と調査結果になっています。
一方、元夫と死別により母子家庭となった場合には遺族年金、死亡保険金などを受けている可能性が高く家計の状況が大きくことなると思われます。
離婚して母子家庭となって現時点では養育費をもらえている人でも将来的に養育費を受け取れなくなるリスクがあります。
これは、賃貸物件でも同じことですし、ご家庭の状況や離婚後の関係性にもよりますが、養育費を受け取り続けられることを期待しすぎた住宅ローンの利用にならないような注意は必要です。
母子家庭やシングルマザー向けに住宅補助や住宅手当の支給を行っている市区町村は多数あります。
また、人口減少が進む地方の市町村の場合、母子家庭に限らず転入者を支援する制度がある場合もあります。
支給条件も市区町村によって様々です。支援施策があっても賃貸住宅に住んでいることが条件になっているケースもありますので、マイホームを持つ予定、住みたいと考えている自治体の支援施策の内容については自治体のホームページや問い合わせ窓口に必ず確認するようにしましょう。
また、そうした補助や手当ても住宅を購入するからと言って、打ち切られる性質のものはほとんどないと思われます。(念のため事前に確認はした方がよいですが)
結論から申し上げると、児童扶養手当てには影響しません。住宅ローンを利用し、マイホームを購入した場合でも、所得が大きく変動するなどのことがないと手当額に影響しない仕組みとなっています。
下記、厚生労働省のページから引用した所得制限の表になります。
お子さんが1名の場合、年収160万円までであれば、児童手当は全額支給となります。(住宅ローン有無、マイホーム有無は関係ない)
母子家庭と言っても、年収1000万円を超えるぐらいの収入を維持しながら子育てを両立している家庭もあります。そのようなご家庭であれば、「母子家庭であること」を意識せずに住宅ローンを探すことで問題ありません。
ここでは、派遣社員・パート社員として働きつつマイホームを持ちたいと考えている方におすすめしたい住宅ローンを具体的に紹介していきたいと思います。
まず、国土交通省などが所管する公的機関である住宅金融支援機構が提供するフラット35がその筆頭です。
フラット35は、幅広い国民がマイホームを持てるように支援するための住宅ローンです。一方で、ある程度の技術基準を満たす住宅を増やしていくことも目的としている住宅ローンなので、利用できる物件に一定の基準がありますが、一般的な金融機関の住宅ローンを利用しにくい/できない自営業、個人事業主、会社役員、パート、アルバイトでも住宅ローンを利用できる可能性があります。
継続的に得られる収入であれば年収100万円程度でも審査に通ることができるとされています。
実際に窓口で相談したい人やフラット35を長年取り扱っている実績を重視したいという人などを中心に問い合わせしてみて欲しいのは、断トツのフラット35取り扱い実績があるアルヒです。アルヒは全国の主要都市を中心に全国区で店舗がありますので、何か困ったことがあれば近くのアルヒ店舗に相談してみると良いでしょう。
アルヒの強みは何と言っても豊富なフラット35の取り扱い実績です。フラット35という制度ができた直後から様々な家庭事情の人にフラット35を融資してきた実績がありますので、相談先としてかなり信頼できる金融機関です。
アルヒでは2020年4月から全疾病保障の付帯が可能となりました。具体的にはインフルエンザを含めた、精神疾患を除くすべての病気・けがが理由で働けない状態で住宅ローン返済日を迎えた場合に、月々の住宅ローン返済が保障されたり、就業不能が12か月継続した場合に住宅ローン残高がゼロとなりもので、女性の方は保険料(上乗せ金利・特約料)が半額となるもので、アルヒが女性を強く意識して、今回の新サービスを導入したことを読み取れます。
どれぐらいの金額を借りることができるのかについて解説したいと思います。母子家庭だから借り入れ可能金額が減るようなルールはありません。借り入れ可能金額は年収次第です。と言うことで、以下に年収毎の借入可能額の目安を某金融機関のシミュレーションツールを利用して試算したものを紹介しておきます。
(借り入れ可能金額は年収以外にも金利の影響を受けます)
借入れ可能額 | 月々の返済額 | |||
20年返済 | 35年返済 | 20年返済 | 35年返済 | |
100万円 | 530万円 | 841万円 | 24,970円 | 24,974円 |
150万円 | 795万円 | 1,262万円 | 37,455円 | 37,476円 |
200万円 | 1,061万円 | 1,683万円 | 49,987円 | 49,978円 |
250万円 | 1,326万円 | 2,104万円 | 62,472円 | 62,480円 |
300万円 | 1,591万円 | 2,525万円 | 74,957円 | 74,983円 |
350万円 | 1,857万円 | 2.946万円 | 87,489円 | 87,485円 |
400万円 | 2,476万円 | 3,928万円 | 116,652円 | 116,646円 |
※借入可能額は収入に対するローンの返済額の割合で計算されます。「ローンの返済額」には、フリーローン・カードローンなどの返済額も合算されますので、住宅ローン申込前にそのようなローン商品は完済・解約しておくようにしましょう。
例えば、フラット35は遺族年金も収入に合算することができます。提出書類は増えますが遺族年金の受取がある場合、必ず就労による収入に合算したうえで審査してもらうようにしましょう。
住宅ローン控除は、職業や家庭環境が影響することはありません。住宅ローンを利用していて一定の基準を満たしていると住民税や所得税が減額(還付)される制度です。この制度は年収が多い方が得をする制度になっていますので、所得が少ないと実は減税効果はあまり期待できません。
その場合、しっかり手続きしてほしいのがすまいの給付金です。なお、母子家庭・シングルマザーの場合には寡婦控除もあり、年収500万円以下の場合には所得控除が大きく確保されていますので、課税所得が少なめに算出されます。そのため、住宅ローン控除の適用がさらに受けにくい構造となっています。
例えば、母子家庭・シングルマザーの正社員で平均的な年収が270万円と言われていますが、この年収の場合の所得税は年間6万円程度、住民税で14万円ですが、仮に1000万円の住宅ローンの残高が年末にあると約10万円が住宅ローン減税を受けることができます。(実際には寡婦控除の分、住宅ローン減税で受けれる還付は減ることとなります)
住宅ローン控除は制度の仕組み(納めた税金が戻ってくるという仕組み)上、年収が多い人の方がメリットが大きくなっていますので、年収が一定以下の人を対象にすまいの給付金という制度で補助金を支給する仕組みも提供していますので、条件を満たす人はこの制度もしっかりと活用するようにしましょう。
※すまい給付金の申請受付は終了しました。詳しくは公式サイトをご確認ください。
すまい給付金の公式サイト http://sumai-kyufu.jp/
今回は、母子家庭・シングルマザーの住宅ローンについて解説しました。シングルマザーだからといって必ずしも住宅ローンの審査に不利になるわけではありません。ぜひ本記事を参考に、ご自身に合った住宅ローンを検討してみてください。
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