公開日: 2026年7月17日

注文住宅を建てるご家族から、「土地の購入資金だけ先に住宅ローンで借りられないの?」というご相談をよくいただきます。一般的に、住宅ローンは建物が完成して住宅が引き渡されるタイミングで実行されます。つまり、土地の購入から建物の引き渡しまでの間、支払いだけが先に来る「空白期間」が生まれてしまうのです。
では、その空白期間の支払い代金はどうしたら良いのでしょうか。この記事では、auじぶん銀行で住宅ローンを組む場合を例に、注文住宅購入時の資金調達の手段を、家計への影響もふまえて解説します。
目次
auじぶん銀行は、KDDIと三菱UFJ銀行の共同出資で2008年に開業したインターネット銀行です。『いつどこにいても自分のいる場所が銀行になる』ことが名前の由来となっています。なお、2025年1月末にauフィナンシャルホールディングスが三菱UFJ銀行保有分の株式を取得し、現在はKDDIグループの完全子会社として運営されています(三菱UFJフィナンシャル・グループとの協業関係は継続)。
auじぶん銀行は住宅ローンを提供する銀行の中でも定評がある銀行で、住宅ローン情報を取り扱う各種情報メディアをみると、auじぶん銀行はランキングで上位の常連になっていることがわかります。
代表的な魅力として、以下の3点があげられます。
auじぶん銀行の住宅ローン金利は、住宅ローンを提供する銀行の中で、かなり低水準のグループに属します。参考までに、2026年7月適用の変動金利は年1.134%(全期間引下げプラン・物件価格の80%以内で借り入れる場合。2026年7月1日に当編集部が公式サイトで確認)です。金利は毎月見直されるため、最新の適用金利は必ず公式サイトでご確認ください。
住宅ローンの借入金利は、基準金利から銀行が引下げを行うことで最終的な利率が決まる仕組みになっています。auじぶん銀行は、引下げ幅を大きくとり、借入金利を低く抑えています。
本来銀行は金利が収益源のはずですが、auじぶん銀行は店舗を持たない低コストな銀行であるため、好条件を優先させるために収益性を落としても利益がしっかり残っているのだと分析できます。
多くの消費者がauじぶん銀行を選ぶ理由の1つに団信が充実している点があります。団信とは、債務者に万が一のことがあった時のためにかけられている保険のことです。通常、「死亡・高度障害」が発生すると保険金が支払われ、住宅ローンはなくなります。お子さんのいるご家庭にとっては、住まいと教育費を守る大切なセーフティネットです。
国内の銀行で提供されているほとんどの住宅ローンには、団信がついています。保険料は銀行が負担し、消費者の保険料支払いはないのが一般的です。
auじぶん銀行では、満50歳以下で健康状態の告知に問題がない方に限り、団信に「がん50%保障」「月次返済保障」「全疾病長期入院保障」を金利上乗せなしで付けられます。さらに2023年7月には保障が拡充され、がん50%保障団信に4つの疾病(急性心筋梗塞・脳卒中など)の100%保障が追加された「がん・4疾病50%保障団信」となっています(引受保険会社はライフネット生命保険)。
がん50%保障は、債務者が「がん」と診断されると残債が半分になる保障です。闘病以後の経済的負担が軽くなるので、体を気遣い仕事をセーブすることが可能になります。がんは日本人の2人に1人はなる病気と言われているので、この保障が付いているのは、ご家族の暮らしを守るうえで大きな安心だといえます。ただし、上皮内がんなど、一部の軽度ながんは保障の対象外です。
がんに限らず、全ての怪我や病気に対する保障が「月次返済保障」と「全疾病長期入院保障」です。
月次返済保障は、怪我や病気で31日以上入院した際に、毎月の返済を保険金によって支払うことができる保障です。長期入院になった場合には、30日ごとに月次返済保障が発動されます。そして、継続180日以上の入院となった場合には「全疾病長期入院保障」が発動され残債がなくなります。
疾病時の保障を付帯することができる銀行は増えていますが、その場合は金利を上乗せしなければならないのが一般的です。つまり、安心と経済性を天秤にかけなければいけないということです。しかし、auじぶん銀行では、これらの保障が金利上乗せなしで付けられるため、迷うことなく安心を得ることができます。なお、がんと診断されると残債が全額0円になる「がん100%保障団信」も年0.05%の上乗せという低コストで選べます(いずれも満50歳以下・2026年7月時点。最新の保障内容は公式サイトでご確認ください)。
auじぶん銀行は、いわゆるネット銀行です。店舗を持たないためサービス提供の範囲は全国となっています。地方在住の方が住宅を購入する場合、「近くには地銀しかなく店頭に行ける金融機関の選択肢が限られる」という悩みが生じがちです。しかし、auじぶん銀行であれば、住宅ローンの申し込みはオンラインで完了するため、地域による不便は特に生じませんし、小さなお子さんがいて外出しづらいご家庭でも、自分の好きな時間に手続きができるという利点があります。
また、通常店舗や郵送で住宅ローンを契約する際に、金額に応じた印紙税が必要になりますが、auじぶん銀行は契約がオンラインで完了するため、紙の契約書がなく印紙税が不要になります。
上述の利点を鑑みると、住宅ローンを借りるならauじぶん銀行を選択したいところですが、注文住宅を購入の方は注意が必要です。auじぶん銀行では、「土地購入代金分を先行して融資し、建物の完成時に残りのローンを実行する」という土地先行の融資(分割融資)は行なっていないからです。公式サイトでも「建物完成時の一括融資となり、土地代金や中間金の支払いのタイミングで分割しての融資はできない」ことが明記されています(2026年7月時点)。
銀行によっては、土地代金の融資を先行するプランを実施していますので、他行と混同しないことが大切です。
だからといって、注文住宅購入者がauじぶん銀行の利用を諦める必要はありません。auじぶん銀行では、建物保有者に土地購入代金分だけを融資したり、土地代金を住宅ローン以外の方法で工面できる方向けに物件引き渡し時に土地建物の合計額に融資することは行っているからです。
(参考)
auじぶん銀行の住宅ローン公式サイト
auじぶん銀行では、「とりあえず土地だけを買っておく」という方を対象にした住宅ローンの融資は行なっていません。ただ、建物を購入済みの方が土地のみを購入する場合には、融資を行なっています。ただし、「実家の土地に建物を建てたので、土地も自分の名義にしたい」という場合は注意が必要です。同行では親子間売買は住宅ローンの対象外とされています(詳細な条件は公式サイト・審査でご確認ください)。
(参考)
auじぶん銀行の住宅ローン公式サイト
土地代金を住宅ローン以外の方法で調達できれば、建物完成時に土地建物セット分の金額でauじぶん銀行の住宅ローンを借りることができます。土地代金の調達方法は主に以下の2つがあげられます。
それぞれの特徴を、ご家庭の状況に合わせて整理すると次のとおりです。
| 調達方法 | 向いているご家庭 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現金で立て替える | 土地代金相当の貯蓄があり、手元資金に余裕がある | 教育費など将来の支出用の資金まで取り崩さないよう配分に注意 |
| つなぎ融資を借りる | 貯蓄は建物完成後に備えて残しておきたい | 住宅ローンより金利が高め。団信が付かない場合は生命保険で備える |
土地購入代金を一時的に現金で準備できる方は、土地と建物合計額分の住宅ローンをauじぶん銀行で借りることができます(土地取得からの期間などの要件があります。本審査の時に、土地購入時の売買契約書、重要事項説明書、土地代金の領収書等が必要になります。最新の条件は公式サイトでご確認ください)。
ここで、「現金があるのであれば、わざわざ土地購入代金分を含めて住宅ローンを組む必要はないのでは?」と疑問に思う方はいると思います。確かに現金があるのに、わざわざ借金をする必要はありません。
しかし「手元の資金はなるべく残し、住宅ローンをフル活用したい」と考える方はいます。手元資金を教育費や万一の備えに残したり、投資に向けることで、将来の資産形成を効率的に行うことができるからです。住宅ローンの支払い金利、事務手数料等の支出よりも、投資によって得られる利益の方が大きいと見込んでいる方は、手元の資金を残すために積極的に住宅ローンを利用しています。このような選択をすると、万が一のことがあった際に運用資産と住宅の両方を家族に残すこともできます。
しかし、投資にはリスクがありますので想定通りにいかない可能性があることはいうまでもありません。お子さんの進学時期など「使う時期が決まっているお金」まで投資に回さないことが、家計を守る大前提です。
土地購入から建物完成までの資金を貯蓄で準備できない方のために、「つなぎ融資」があります。
つなぎ融資とは、土地購入後から、住宅ローンが実行されるまでの数ヶ月〜1年程度の期間の資金を本当の意味で「つなぐ」ためのローンです。
auじぶん銀行自体はつなぎ融資を行なっていませんが、現在は提携先のつなぎ融資(東光商事、アプラスなど)を公式に紹介しており、つなぎ融資の金額を住宅ローンの借入金額に含めて申し込むことができます(2026年7月時点・公式サイトで確認)。ノンバンク等のつなぎ融資で土地代金や着工金・中間金を支払い、建物完成時にauじぶん銀行の住宅ローンが実行されてつなぎ融資を完済する、という流れです。なお、紹介先の一つであるアプラスはSBI新生銀行グループの会社です。ただし、つなぎ融資には団信がついていないことが多いため、住宅ローンが実行されるまでの間だけ死亡保険に加入しておく必要があります。
1.土地を見つける
2.建築会社(ハウスメーカーなど)を決める
3.auじぶん銀行の住宅ローン審査を申し込む
4.つなぎ融資の審査を申し込む
5.3と4が問題なく通過したら、土地購入から建物引き渡しまでにかかる資金をつなぎ融資で調達する
6.建物引き渡し時にauじぶん銀行の住宅ローンが実行され、つなぎ融資を完済する
多くの人は、つなぎ融資に団信が付いているかどうかを気にしていません。
ただ、実はこの点は重要になります。もし、団信なしのつなぎ融資を借りていて、建築中に債務者に万が一が起きた場合、遺族に建築を続行する十分な収入や資産がなければ、やむを得ず土地を売ってつなぎ融資を返済しなければならないケースも想定されます。しかも、その場合は土地を売却する際の不動産仲介手数料や建物を壊す費用が遺族の負担になってしまいます。
土地を購入してから、建物の完成までに万が一が起きる可能性は低いため、この点は多くの方が見落としています。しかし、家計の担い手に万一があったとき、残されたご家族が住まいの計画ごと立ち往生してしまうリスクは、小さくても備えておきたいところです。
つなぎ融資を受けてから、住宅ローンが実行されるまでの数ヶ月〜1年程度の間は、かけ捨て型の定期保険で備えると安心です。保険会社や被保険者の年齢によりますが、3,000万円くらいの保険金であれば、月5,000円前後の保険料で加入できる場合があります。遺族を困らせたくないと考える方は、生命保険はしっかりと検討する必要があります。
住宅の引き渡し後は、住宅ローンを返済していく形になるため、 auじぶん銀行であれば、がん保障が付いた団信で守りが強固になるため、余分なかけ捨て保険を解約することも忘れないようにしましょう。
ちなみに、auじぶん銀行のがん50%保障団信と全く同じ保障内容の生命保険は、筆者が知る限りでは、見当たりません。仮に近い内容の保険を死亡保険とがん保険の組み合わせで作る場合、保険料がかなり高額になってしまいます。つなぎ融資を借りている期間の生命保険は、auじぶん銀行の団信の内容に似せようとはせず、最低限の保障に抑えるなどの割り切った考え方をするのも一案です。
ここで、auじぶん銀行の融資対象にはならない土地を解説しておきます。せっかく土地を見つけても融資対象でなければ審査に通らないからです。同行のウェブサイトでは、次のような土地(および土地上の建物)は融資の対象外とされています(2025年4月調査時点。最新は公式サイトでご確認ください)。
(参考)
auじぶん銀行の住宅ローン公式サイト
意外と見落としがちなのが「借地」が対象外になっている点です。auじぶん銀行に限らず、多くの銀行では借地の物件を住宅ローンの対象外にしています。
住宅を探していると土地の権利が「借地権」となっている物件が見つかります。土地は所有権を購入するよりも借地権を購入する方が、安価な傾向があります。地代の負担はありますが、固定資産税がかからないため、借地権の物件には一定のニーズがあります。
土地の売買契約書を交わした後に、「借地は対象外」といって銀行に断られてしまうとauじぶん銀行の利用ができないばかりか、住宅ローンの借り入れ先探しに奔走しなければならなくなります。
これから土地を購入予定の場合、住宅ローンの審査に通らない可能性が高いため、事前に土地の権利関係者や都市計画の状況を確認することが重要です。
Q. 土地の売買契約を先に結んでしまいました。auじぶん銀行の住宅ローンはもう使えませんか?
A. 使えなくなるわけではありません。auじぶん銀行の住宅ローンは建物完成時の一括実行のため、土地代金は「現金での立て替え」か「提携先のつなぎ融資」で先に支払い、建物引き渡し時に土地建物の合計額で住宅ローンを実行する形になります。土地取得からの期間などの要件があるため、契約後は早めに同行の審査手続きへ進むのがおすすめです。
Q. つなぎ融資の負担はどのくらい見ておけばよいですか?
A. つなぎ融資は住宅ローンより金利が高めですが、借入期間が数ヶ月〜1年程度と短いため、利息負担は借入総額に比べれば限定的です。金利・事務手数料は提供会社ごとに異なるので、紹介を受けた提携先の公式情報で総額を確認し、建築費の見積もりと合わせて資金計画に織り込んでおきましょう。
Q. 建築中に世帯主に万一のことがあったら、家族はどうなりますか?
A. つなぎ融資に団信が付いていない場合、返済義務はそのまま残ります。建築を続けるのが難しければ土地を売却して返済に充てることになりかねません。つなぎ融資の利用期間だけ、かけ捨ての定期保険でつなぎ融資額をカバーしておくと、ご家族の住まいの計画を守れます(住宅ローン実行後は団信が引き継ぐため、重複する保険は見直しましょう)。
住宅購入の際には、優先順位を決めて、判断をしていくことが大切です。例えば土地は唯一無二の存在なので優先順位は高いといえるでしょう。住宅ローンを借りる銀行選びも、優先順位の高い項目になります。住宅ローンの返済期間は長いため、少しの金利の違いや団信の内容が大きく家計やライフプランに影響するからです。
一方で、つなぎ融資は金利が高いものの、借入期間が短いため経済的な負担は大きくありません。「つなぎ融資の手配が面倒」という理由で、つなぎ融資を行なっている銀行だけに絞って銀行を選択するのは合理的ではありません。現在はauじぶん銀行も提携先のつなぎ融資を紹介してくれます。住宅ローンの商品性自体に焦点を当てて銀行選びをすると、冷静に判断ができると思います。
参考サイト:auじぶん銀行 住宅ローン 公式サイト
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