2024年10月14日
auじぶん銀行は、KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資で設立したインターネット銀行です。『いつどこにいても自分のいる場所が銀行になる』ことが名前の由来となっています。
auじぶん銀行の住宅ローンの借入金利は、日本国内の全ての銀行が提供している住宅ローンの中でも相当な低金利水準です。また、借入時50歳以下であれば、がん50%保障団信や全疾病保障といった疾病保障が無料で利用できるのも魅力です。
ただし、いざ、auじぶん銀行で住宅ローンを借りようと考えた際に、多くの方が「全期間引下げプランと当初期間引下げプランのどちらを選べば良いのか」ということに悩みます。どちらの商品が特に優れているというわけではなく、借りる方の金利の見通しと返済計画によって合うプランは変わるので、初めて住宅ローンを借りる人が悩むのは当たり前です。
この記事では、そんなauじぶん銀行の住宅ローンにおける全期間引下げプランと当初期間引下げプランのメリット・デメリットや違い、また、どういった方にそれぞれのプランが合うのかを解説したいと思います。
目次
一般的に私たちが住宅ローンを借りる時に適用される”借入金利”は、「基準金利―引下げ幅=借入金利」という計算式で決定されます。auじぶん銀行は、この「引下げ幅」を大きく取ることで、魅力的な低金利を打ち出しています。
全期間引下げプランとは、借入期間中(借入開始から完済予定日まで)の全期間の引き下げ幅を平均的に引き下げるプランです。
変動金利を選択した場合は、当初に決定した引下げ幅が完済時まで続きます。auじぶん銀行の変動金利は、引下げ幅が大きくなっており、他の銀行の変動金利と比較しても相当な低水準を実現しています。
一方、固定金利の場合は、一定の引下げ幅が借入期間中維持されるものの、引下げ幅自体は変動金利よりも控えめになっています。
基本的に、全期間引下げプランにおいては変動金利の利率が、固定金利の利率の数分の1程度になっており、当初の金利だけで選ぶなら、変動金利に軍配が上がります。
全期間引下げプランが向いている方は、変動金利派の方です。
実は、固定金利を選んだ場合で、当初の固定金利特約期間が終了した際には、特段の指示を出さない限り、変動金利に移行されます。
固定金利特約期間が終了したあとの変動金利の引下げ幅は、最初から変動金利を選んだ場合の引下げ幅よりも小さくなっています。
全期間引下げプランを選択するのであれば、最初から変動金利を選ぶことで大きな幅の引下げ幅を全期間に渡って享受することができます。
当初期間引下げプランは、当初の固定金利特約期間の金利の引下げ幅が大きめに取られているプランです。ゆえに当初の固定金利特約期間中の借入金利は、全期間引下げプランよりも低くなっています。
しかし、当初の固定金利特約期間終了後の金利の引下げ幅は、全期間引下げプランの引下げ幅よりも小さくなります。当初期間引下げプランも、固定金利特約期間終了時に、特段の指示を出さなければ、変動金利に移行されます。
固定金利特約期間には、20年、30年、35年といった長期の期間も存在します。
35年ローンを組んでいる方が、35年の固定金利特約期間を選んだ場合は、全期間が当初の固定金利特約期間になります。
つまり、全期間引下げプランで35年の固定金利特約期間を選ぶのであれば、当初期間引下げプランで35年の固定金利特約期間を選ぶ方が、合理的ということになります。
当初期間引下げプランは、全期間を固定金利にしたい方に向いています。
ただし、当初期間引下げプランで当初の固定金利特約期間終了後の上がってしまった金利を払い続けるのは得策とはいえません。なぜなら、当初引下げプランは特約期間終了後の金利の引下げ幅が小さいため、比較的高い金利になってしまうからです。
例えば、35年ローンを組んでいる方が、当初期間引下げプランで当初の固定金利特約期間を5年にした場合、5年経過後の残りの30年は全期間引下げプランよりも高い金利になってしまうということです。仮に、残りの30年で変動金利を選択するのであれば、最初から全期間引下げプランで変動金利を選んでおいた方が良かった、ということになります。
当初期間引下げプランを選択する場合、全ての期間を当初の固定金利特約期間で覆うのであれば、「引下げ幅が大きい金利で全期間固定できる」というメリットがあります。
例えば、35年ローンを組む方が当初期間引下げプランで当初の固定金利特約期間を35年に設定すれば、途中で引下げ幅が縮小され、金利がアップしてしまうという事態を防げます。
また、固定金利派で、繰上げ返済を積極的に行い当初の固定金利特約期間中に返済を完了させてしまう、という計画の方にも当初期間引下げプランは向いています。
プラン名 |
金利の種類 |
当初の固定金利特約期間 |
当初の固定金利特約期間終了後の引下げ幅 |
全期間引下げプラン |
変動金利 |
全期間一定の引下げ幅 |
|
固定金利 |
引下げ幅は当初期間引下げプランより小さい |
引下げ幅は、最初から変動を選んだ場合より小さいが、当初期間引下げプランよりは大きい。 |
|
当初期間引下げプラン |
固定金利 |
引下げ幅は全期間引下げプランより大きい |
引下げ幅は全期間引下げプランより小さい |
(出所)auじぶん銀行ウェブサイト「住宅ローン」
どちらのプランを選ぶかを判断する上で大切なポイントが今後の金利の行方です。
日本の金融機関の住宅ローンの基準金利は、長期的に低下傾向になっています。1980年代〜1990年代にかけておきた「バブル」が崩壊した後に、変動金利の低下が進んだことにより、1990年代の後半からは20年以上低水準が続いています。
つまり、ここ20年程度は「住宅ローンの金利が上がり、変動金利で借りていた方の支払いが苦しくなる」という現象は、理論上は起きていないことになります。
しかし、変動金利は、日銀の政策金利の影響を受けるため、今後については、誰も確証が持てません。
日銀が金利を上げるとしたら、目標としている消費者物価指数の上昇率が安定的に年2%を超えるようになってからだと思われます。
海外では金利を上げている国が多くなっています。(2023年4月時点)日銀の金融政策にどのような影響が出るかが注目です。
本記事執筆時点(2023年4月)においても、欧米の利上げの打ち止め感はありません。日本も2023年に入ってから2022年よりさらに消費者物価指数の上昇率が高まっていることから、「日銀もいつかは利上げに動くのでは?」と思っている人は少なくありません。
もし利上げが行われた場合、「変動金利から固定金利に変更すれば良いのでは?」と考える人はいると思います。固定金利に変更すれば、その後の利上げの影響は受けなくなるので一安心だからです。実際、auじぶん銀行のウェブサイトを見る限り、変動金利から固定金利への変更は受け付けているようです。一方、固定金利特約期間中は変動金利に変更はできないようです。ただ、利上げを理由に金利プランを変更したいのであれば、固定金利からわざわざ金利上昇時にリスクのある変動金利に切り替える人はほとんどいないでしょうから、この点は問題にならないと思われます。
(参考)auじぶん銀行 【住宅ローン】金利タイプの変更はいつでもできますか。
https://help.jibunbank.co.jp/faq_detail.html?id=1196
それよりも悩ましいのが「金利が上がるのは変動金利より固定金利の方が先になりやすい」という傾向がみられることです。固定金利は10年もの国債等の金利に連動する傾向があります。国債は市場で金利が決まります。
2023年7月現在、日銀はイールドカーブコントロールによって、国債を大量に買うことで金利を抑えています。「コントロール」とはいっても日銀は一定の変動幅は許容しているため、2022年中から2023年にかけて、徐々に国債の金利は上昇してきました。それにより、auじぶん銀行の固定金利もやや上昇した感があります。
一方、変動金利は、政策金利に連動するといわれています。政策金利は、2023年4月現在、2016年からスタートしたマイナス金利を維持しており、上昇のきざしは見られません。
日本に限らず、金利が上がり始める場合、国債金利が政策金利より先に動くことが多いため、固定金利が変動金利よりも先に上昇する傾向があるわけです。
ゆえに「金利が上がり始めたから変動金利から固定金利に変更しよう」と思い立った時には、固定金利はすでに高い水準にある可能性があります。しかし、変動金利のままで「どこまで金利が上がるかわからない」という恐怖感を持つくらいであれば、多少金利が高くなってしまっても固定金利に変更するのは、ありかもしれません。
全期間引下げプランを選ぶか、当初期間引下げプランを選ぶかは、変動金利を選ぶか固定金利を選ぶか、という選択をすることと、ほぼ同義です。
筆者がFPとしてセミナーを行ったり、個別相談を受けていると「変動金利と固定金利のどちらが正解ですか?」という質問を受けることは日常茶飯事です。
ただ、ここまで記事を読まれた方はお気づきだと思いますが、どちらが正解ということはありません。
端的にいえば、金利が上がらなければ、全期間引下げプランで変動金利を選ぶのが正解であり、金利が上がった場合は、当初期間引下げプランで固定金利を選んでいたのが正解だった、ということになります。つまり、結果が出るまで正解はわからないということです。
考え方として、変動金利は、世の金利情勢に左右されるといえます。「金利が上がったら世の中の流れなのだから仕方ない」と割り切れる方は、変動金利が向いています。もちろん、金利上昇に耐えられる借入額に抑えることが重要です。
一方で、固定金利と変動金利の金利差は、金利上昇リスクに対する保険料だと考えることもできます。金利上昇による経済的ダメージに耐えられない方は、保険に加入する感覚で固定金利を選ぶのもありだということです。
迷った場合は、一部ずつ両方のプランを選ぶミックスローンという選択肢もあります。
住宅ローンを借りる際には「繰上げ返済」の予定はしっかりと考えておく必要があります。
前提として、「繰上げ返済をすることで、金利負担が軽減されるため、総返済額は少なくなる」ということがいえます。だからといって、繰上げ返済を急ぐことだけが、選択肢ではありません。
ここからは、繰上げ返済をすべきか否かを判断するための考え方を解説します。
全期間引下げプランで変動金利を選択した方や、全期間分の固定金利特約期間を選んだ方の中には、「繰上げ返済はせず、35年めいっぱいかけて返済する」という方も少なくありません。
このように考える理由の1つに、団体信用生命保険(団信)の存在があります。
団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンを借りた人が死亡または高度障害を負った場合に、保険金でローンの残債が返済される仕組みです。加入者が万が一の事態に陥っても、家族に住宅ローンの負担が残らないようにするための保険です。
住宅ローンを借りる際には、団信に加入しなければならないのが一般的です。団信は、債務者に万が一のことがあった場合に、残債が完済される生命保険です。
auじぶん銀行には、死亡・高度障害時を保障している通常の団信だけでなく、がんに罹患した場合を保障する団信もあります。
例えば、「がん50%保障団信」は、がんと診断されると残債が半分になる保障が付いています。残債が半分になるということは、毎月の返済額が半分なることを意味します。
がんの療養後は、体力が完全には戻らないことも想定できます。そのような場合でもがん50%保障団信に加入しておけば、がん罹患前の半分程度の返済をしていけば良いので、返済が滞る可能性を低く抑えることができます。
また、がん50%保障団信には、入院保障も付いています。がん以外の病気や怪我を含めて、入院が継続31日以上になった場合には、毎月の返済額分の保険金が支払われます。
入院が長引いた場合は、入院30日ごとに同じように保険金が支払われます。
そして、入院が継続180日以上となった際には、残債が完済されます。
auじぶん銀行では、がん50%保障団信に金利上乗せなしで加入できます。
手元資金は、投資などで効率的に増やし、住宅ローンは団信で守られている、という状態を作ることで、万が一の時の備えは強固になります。
当初期間引下げプランを選択した方で、当初の固定金利特約期間が借入期間よりも短い方は、毎月の返済額が途中から上がってしまう可能性が高いことに注意しましょう。
返済額が上昇した際には、期間短縮型の繰上げ返済で残債を完済してしまうか、返済額軽減型の繰上げ返済を行うことで、金利が上がっても、毎月の返済額が増加してしまうことを抑えることができます。
金利プランを選択することも大事ですが、そもそも「自分はいくらまでなら借りても問題ないのだろう」という不安をお持ちの方は多いと思います。
借入額は、現在だけでなく、未来も想定して考える必要があります。
まず、現在に関しては、「住宅ローンの毎月の返済額+住宅の維持費(管理費用、修繕費用、固定資産税等)」が無理のない金額であるかどうかを家計簿を付けて考えてみましょう。この時点で赤字になってしまう場合は、借入額が収入に対して多すぎるのか、他の支出が多いのか、原因を見つけることが大切です。家計簿アプリを使うことで、突出した支出を発見できる場合があります。
現時点では、返済額に問題がない場合は、未来においてもシミュレーションをしてみましょう。たとえば、子供の教育費が大きくなる時期に金融資産が尽きてしまう場合は、再検討の必要があります。また、返済途中で定年退職を迎え、急激に家計が赤字になるプランも危険です。住宅ローンは、固定費として家計の重しになるので、将来においても無理のない範囲内に収まるように、借入額を検討することが大切です。変動金利で借りる方は、金利上昇時のシミュレーションもやっておきましょう。
この記事では、auじぶん銀行の全期間引下げプランと当初期間引下げプランについて解説しました。とにかくスタート時点の金利を低くしたい、金利上昇リスクには納得をしている、という方は全期間引下げプランの変動金利が向いています。
一方、全期間固定金利の安心を得たいという方は、当初期間引下げプランにし、「借入期間=当初の固定金利特約期間」とすることで、途中から金利が上がってしまうことを回避することができます。
また、住宅ローンの返済は、返済金額が変わらなくても家計の支出の状況によって苦しくなることがあります。auじぶん銀行のウェブサイトに備え付けられているシミュレーションを利用し、毎月の返済金額を確認しましょう。そして、その金額が今だけでなく、将来も返済可能な金額なのかを確認することが大切です。
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