2022年12月26日
住宅ローンの人気ランキングの上位は、いつもネット銀行(対面型銀行のインターネット専用サービス含む)がひしめいています。
住宅ローンを選択する際に、ほとんどの人が真っ先に気にするのが「借入金利」だと思います。また、最近は債務者に万が一が起きたときに残債分の保険金が支払われる「団体信用生命保険(以下、団信)」の商品性に関心が高い人も増えています。
ネット銀行は、店舗を抱えるとどうしても膨らみがちな「不動産関係費」や「人件費」がかなりスリムに抑えられています。経営の費用負担を顧客に皺寄せする必要がないためか、住宅ローンの商品性は優れている傾向があります。
この記事では、ネット銀行の中でも特に、住宅ローンの人気ランキングでいつも上位に位置する「auじぶん銀行」と「PayPay銀行」について取り上げます。どちらの方が自身に合っているのかを比較してみてください。
目次
まずは、auじぶん銀行とPayPay銀行とはどういった銀行なのかを解説します。
※審査の結果によっては、保証付金利プランとなる場合があり、その場合、上記の金利とは異なる金利となります。 金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5 年、10年に限定されます。それぞれの金利プランの詳細はこちらから確認してください。
※お借り換え用の変動金利は、【お借換え】変動金利引下げキャンペーン(2023年4月14日(金)~2023年6月30日(金)の間に融資実行)適用後の金利です。この金利は2023年5月現在の金利にお借り換え変動金利引下げキャンペーンの金利引下幅を適用した金利であり、実際のお借入日の金利により変動します。審査の結果によっては、本金利プランおよび本キャンペーンをご利用いただけない場合がございます。
auじぶん銀行は、2008年6月設立の大手通信会社の子会社とメガバンクが株主となっているネット銀行です。スマホやパソコンで、預金、振込、ローンの申込などが手軽にできる最先端の銀行の一角です。特に住宅ローンには定評があり、2022年オリコン顧客満足度®︎調査住宅ローン総合では第1位に輝いています。
PayPay銀行は、多くのインターネット系サービスを提供するグループ企業の傘下にあるネット銀行です。2000年9月に日本初のネット銀行として設立しました。元々はジャパンネット銀行という名称でしたが、2021年4月に社名をPayPay銀行に変更しました。住宅ローンの金利は国内でもトップクラスの低金利水準です。
業界トップクラスの低金利という点が似ている両行ですが、細かく見ると異なる点が多くあります。ここでは、金利、事務手数料、団信、ペアローン、収入合算、年収基準、といった項目で比較をしてみます。
最新の金利情報については、各社の公式サイトから最新情報を確認してください。
項目 | auじぶん銀行 (公式サイト) | PayPay銀行 (公式サイト) |
事務手数料 | 借入金額×2.20%(税込) | 借入金額×2.20%(税込) |
団信(51歳未満対象) | 【金利上乗せなし】 ・がん50%保障団信
【上乗せ金利:年0.1%※】 ・がん100%保障団信
【上乗せ金利:年0.2%※】 ・11疾病保障団信
※2022年5月2日以降お借入れのお客様が対象です
| 【上乗せ金利なし】 ・一般団信プラス(がん先進付) ・がん50%保障団信
【上乗せ金利:年0.1%】 ・がん100%保障団信
【上乗せ金利:年0.3%】 ・がん100%+10疾病保障団信
|
団信(65歳未満対象) | 【上乗せ金利なし】 ・一般団信
【上乗せ金利:年0.3%】 ・ワイド団信 | 【上乗せ金利なし】 ・一般団信
【上乗せ金利:年0.3%】 ・ワイド団信 |
ペアローン | あり | あり |
収入合算 | あり | あり |
年収基準 | 200万円以上 | 200万円以上 |
auじぶん銀行について:審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。 金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5 年、10年に限定されます。
(出典)各社ウェブサイトの情報を基に筆者作成
両銀行の変動金利の借入金利を比較すると、2022年12月時点の金利引き下げサービスなどを適用しない金利ではPayPay銀行の方が低金利です。ただし、ネット銀行の間では住宅ローンの競争原理が働いているため、常に最新の金利を各銀行のウェブサイトで確認するようにしましょう。
また、PayPay銀行は、借り換えの金利が新規借り入れの金利よりも有利である点は、auじぶん銀行と異なります。事務手数料は、「借入金額×2.20%(税込)」ということで同じです。
ただし、借入金利や事務手数料だけでなく、団信の内容を比較することも大切です。
auじぶん銀行とPayPay銀行の団信の内容は、下記の表のとおり一見するとよく似ています。しかし、詳細は異なりますので、よく保障内容を理解することが大切です。
項目 | auじぶん銀行 | PayPay銀行 |
団信(51歳未満対象) | 【金利上乗せなし】 ・がん50%保障団信
【上乗せ金利:年0.1%※】 ・がん100%保障団信
【上乗せ金利:年0.2%※】 ・11疾病保障団信
※2022年5月2日以降お借入れのお客様が対象です
| 【上乗せ金利なし】 ・一般団信プラス(がん先進付) ・がん50%保障団信
【上乗せ金利:年0.1%】 ・がん100%保障団信
【上乗せ金利:年0.3%】 ・がん100%+10疾病保障団信
|
団信(65歳未満対象) | 【上乗せ金利なし】 ・一般団信
【上乗せ金利:年0.3%】 ・ワイド団信 | 【上乗せ金利なし】 ・一般団信
【上乗せ金利:年0.3%】 ・ワイド団信
|
両行とも、金利上乗せなしで加入できる「がん50%保障団信」と金利上乗せが必要な「がん100%保障団信」をラインナップしています。まずはこの2つの団信を比較してみます。その後、他の団信についてもみていきます。なお、この記事で解説する全ての団信には、死亡・高度障害保障およびリビングニーズ(余命6ヶ月以内と判断されると死亡保障と同様の保険金が支払われる保障)の特約は最低限の保障として付いています。これらの最低限の保障のみの団信を「一般団信」といいます。
がん50%保障団信は、がんと診断されると残債の半分が保険金で返済される団信です。この保障については、両行の差はほとんどありません。保険金の支払い対象となるがんに、「上皮内がん」や「皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん」が含まれないあたりも共通しています。
ここで注目は auじぶん銀行のがん50%保障団信には、「月次返済保障」と「全疾病保障」が付帯されていることです。月次返済保障は、精神障害を除く病気や怪我で入院が31日以上となった場合に、月の返済が保険金によって免除される保障です。入院30日ごとに保険金が支払われます。
「全疾病保障」は、入院が継続180日に達した際に、残債が保険金で完済される保障です。治療が長引く病気や怪我をした際に役立つ保障です。
PayPay銀行のがん50%保障団信には、「月次返済保障」と「全疾病保障」が付いていません。この点は大きな違いです。がん50%保障団信については、auじぶん銀行が優れているといえるでしょう。
がん100%保障団信は、その名のとおり、がんと診断されると残債が保険金により完済される保障です。両行とも上乗せ金利は年0.1%です。(auじぶん銀行については、※2022年5月2日以降お借入れのお客様が対象です)
auじぶん銀行のがん100%保障団信は、がん保障の部分ががん50%保障団信よりもグレードアップしたと理解して差し支えありません。「月次返済保障」と「全疾病保障」は付いています。
PayPay銀行のがん100%保障団信は、そう単純ではありません。同行のがん100%保障団信には、がんの診断時の残債100%完済保障の他に、がん診断給付金100万円が付いています。また、残債に係る保険金や上記がん診断給付金の対象外である「上皮内がん」や「皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん」の罹患時でも保険金が受け取れる「上皮内がん診断給付金(50万円)」や「皮膚がん診断給付金(50万円)」も付帯されています。
まず、auじぶん銀行には金利を年0.2%上乗せすることで加入できる11疾病保障団信があります。(2022年5月2日以降お借入れのお客様が対象です)
11疾病保障団信には、がん100%保障の他に、がん診断時に100万円、上皮内がん・皮膚がんの診断時は50万円、精神障害を除く病気や怪我で5日以上入院した際に10万円、がんが原因で先進医療を受けた際に1回500万円(通算1,000万円まで)までの給付金が支給される「給付金特約」が付いています。また、がん以外の10種類の生活習慣病で入院が180日以上になった際に、残債がなくなる特約もあります。ただし、がん団信にあった月次返済保障はありません。
PayPay銀行にあって、auじぶん銀行にないのが「一般団信プラス(がん先進付)」です。この団信は、一般団信に民間のがん保険が付いたような団信です。金利の上乗せは必要ありません。「上皮内がん」、「皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん」といった軽度のがんを除く「所定のがん」と診断されたら、100万円の給付金が受け取れます。また、100万円の支給対象になったがんの診断確定日から1年以内にそのがんが原因で先進医療を受けた際には、1回最大500万円(通算1,000万円まで)の給付金が受け取れます。
PayPay銀行の「がん100%+10疾病保障団信」は、年0.3%上乗せ金利が必要な団信です。保障内容は、auじぶん銀行の11疾病保障団信と似ており、がん100%保障、がん診断時の給付金100万円、上皮内がん・皮膚がん診断時の給付金50万円、連続5日以上の入院があった際の入院一時金10万円、10種類の生活習慣病で入院が180日になった際に残債が完済になる保障が付いている上、病気や怪我で入院31日以上になった際にその月の返済が免除される初回入院給付金、その後入院が30日を経過するたびに毎月の返済が免除される継続入院給付金も付いています。auじぶん銀行の11疾病保障団信に、月次返済保障まで付いているイメージです。
一般団信プラス(がん先進付)に加入したい場合は、PayPay銀行を選ぶしかありません。auじぶん銀行の11疾病保障団信とPayPay銀行の「がん100%+10疾病保障団信」は、保障内容では後者に軍配が上がりますが、上乗せ金利も高くなってしまうため、どちらが優れているとはいえません。
ここまで解説してきた疾病保障付きの団信は、51歳未満の人が対象です。51歳以上の人、または51歳未満であっても健康状態に問題があったり、病歴があるなどの理由で51歳未満向けの団信に加入できない人は、一般団信の対象になります。
健康上の理由で、一般団信の加入も難しい場合には、一般団信と同じ保障内容の「ワイド団信」が対象になります。auじぶん銀行、PayPay銀行共にワイド団信は取り扱っており、どちらも上乗せ金利は年0.3%です。
最近共働き世帯を中心に利用されている「ペアローン」と「収入合算」については、どちらの銀行も利用できます。
項目 | auじぶん銀行 | PayPay銀行 |
ペアローン | あり | あり |
収入合算 | あり | あり |
ペアローンは、夫婦で1本ずつ、合わせて2本のローンを組むことで1つの物件を購入する方法です。2人の負債を合わせるので希望の通りの物件を買いやすくなります。
収入合算は、配偶者が主債務者の連帯保証人になる方法です。審査の際に、主債務者だけでなく、配偶者の収入も考慮するため、単独ローンより借入額は増やせます。
ペアローンの場合は、夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できます。しかし、収入合算の場合は、住宅ローン控除は主債務者しか利用できません。夫婦それぞれの納税額を鑑みて、どちらを利用したらより多くの税額控除を受けられるかを考えて選択しましょう。
auじぶん銀行、PayPay銀行共に年収200万円以上の人が対象になります。実は、年収の下限を400万円以上に設定しているネット銀行も見受けますので、この2つの銀行は、より多くの人に住宅ローンを提供しようと考えていることがわかります。ネット銀行らしい好感できる営業姿勢です。
auじぶん銀行とPayPay銀行はどちらがより優れているとはいえません。2022年12月時点ではPayPay銀行の変動金利は、auじぶん銀行のそれより低いですが、ごく僅かな違いのため、月を跨ぐと優劣が逆転している可能性もあります。住宅ローンの金利は、融資実行時に決まるため、引き渡し日がまだ先の場合は、金利が変わってしまっていることがあります。また審査結果によって個別に提示される金利は異なるため、ネット情報だけでは判断できません。団信の内容などの頻繁には変わらない基準で選択をすると、納得感のある住宅ローン選びができると思います。
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