公開日: 2026年8月23日 更新日: 2026年9月18日

2021年5月11日、NTTドコモと三菱UFJ銀行が金融事業で包括的な業務提携契約を締結したと発表しました。発表当時は「ドコモユーザー向けの住宅ローン」誕生への期待が高まりましたが、その後の展開は少し意外な形になりました。2026年8月時点の状況とあわせて、ご家族の住宅ローン選びの目線で整理します。
NTTドコモに限らず携帯通信事業者(携帯キャリア)は、携帯電話料金の値下げにより本業の通信事業による利益が減少傾向にありました。
そのため、各社で非通信事業の成長を狙った動きが活発になり、NTTドコモはKDDIやソフトバンクと比べて非通信事業で出遅れていると言われるなか、金融業界最大手の三菱UFJ銀行と包括的な業務提携を結ぶことで巻き返しを図ろうとしました。
三菱UFJ銀行も長引く低金利政策で国内金融事業の収益力が落ちており、これを底上げする狙いがありました。
発表された内容には「両社による独自の住宅ローンの開発や資産運用サービスでの協働など、金融サービスの各領域における協働事業も今後検討する」と明記され、ドコモユーザー向けの住宅ローン提供への期待が高まりました。あわせて、ドコモポイントがたまる専用の銀行口座(支店)や無担保ローンなどの金融商品を共同で展開する計画も示されていました。
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なお、三菱UFJ銀行は、KDDIとauじぶん銀行を開業し、住宅ローン業界で注目される存在に育てた実績があります。2022年にはオリコンの住宅ローン顧客満足度ランキングでauじぶん銀行が1位を獲得するなど、通信サービス事業者向けの金融サービス開発に知見があり、ドコモとの協働にも期待が寄せられていました。
両社の協働は、まずデジタル口座サービス「dスマートバンク」として2023年に実現しました。三菱UFJ銀行の口座とドコモのdアカウントを結びつけ、口座の利用に応じてdポイントがたまるアプリ型のサービスです。
ただし、このdスマートバンクは2026年1月29日をもってサービスを終了しました(新規申し込みの受付は2025年10月27日に終了)。そして、提携当初に検討されていた「ドコモ契約者専用の住宅ローン」という独立した商品は、この提携からは生まれませんでした。
三菱UFJ銀行との協働が縮小する一方で、NTTドコモは自前の銀行を持つ道を選びました。2025年10月1日に住信SBIネット銀行を連結子会社とし(三井住友信託銀行と議決権50%ずつの共同経営)、2026年8月3日には商号を「株式会社ドコモSMTBネット銀行」へ変更。金融機関コード・支店番号・口座番号は変更ありません。
住信SBIネット銀行はもともとネット銀行の中でも住宅ローンの取扱高が大きい銀行でしたから、「ドコモ経済圏の住宅ローン」は、三菱UFJ銀行との共同開発ではなく、銀行ごとグループに迎える形で事実上実現したことになります。
実際に2026年8月21日からは、商号変更を記念した住宅ローンの新規借入と対象のドコモサービスの契約で最大10万ポイント(期間・用途限定のdポイント)を進呈するキャンペーンが始まっています(2026年12月30日まで)。ただし、ご家庭で検討する際は条件をよく確認してください。公式発表によれば、借り換えは対象外、借入金額1,000万円未満も対象外(1,000万円以上2,000万円未満は最大5万ポイント)で、「ローンプラザ」「住宅ローンショップ」などの対面拠点経由の借り入れ+口座とdアカウントの連携が条件です。あわせて同日から、全国196店のドコモショップで「ドコモSMTBネット銀行」の口座開設サポートも始まりました(ドコモショップでは住宅ローンなど金融商品の案内は行われません)。最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。
「ポイントがたまるから」という理由だけで住宅ローンを選ぶのは禁物です。住宅ローンは数千万円・数十年にわたる契約で、家計に与える影響が大きいのは金利・諸費用・団信(団体信用生命保険)です。ポイント還元は魅力的に見えても、金利差や手数料差に比べれば家計へのインパクトは小さいことがほとんどです。上のキャンペーンのように借り換えが対象外だったり、借入額や申込経路に条件が付いたりするのも一般的です。まずは金利・総返済額・団信の保障内容で比較し、ポイントは「同条件なら有利になる要素」として捉えるのが、ご家族の暮らしを守る選び方です。
住宅ローンの選択肢としては、SBI新生銀行のように、事務取扱手数料が借入金額の2.20%(税込)の定率型でわかりやすく、一般団信を上乗せ金利0円で付帯できる商品もあります。金利や保障のバランスを見ながら、複数行を比較して検討すると良いでしょう。
通信会社とメガバンクグループによる金融事業の立ち上げ・提携には多くの事例があります。ただし2025年以降、その勢力図は大きく整理されました。
| 出資企業名 | 設立企業・サービスと現在 |
| KDDI、三菱UFJ銀行 | auじぶん銀行(2025年1月末にKDDIの完全子会社へ。三菱UFJ銀行は持分を売却) |
| KDDI、三菱UFJフィナンシャル・グループ | auカブコム証券(2025年2月に「三菱UFJ eスマート証券」へ社名変更・三菱UFJ銀行の完全子会社へ) |
| ソフトバンク、LINE | LINE Bank(2023年3月に設立プロジェクトを中止) |
| Zフィナンシャル(ソフトバンク)、三井住友銀行 | PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行) |
| みずほ銀行、ソフトバンク | J.Score(2023年1月に新規申込終了→LINE Creditへ事業統合) |
| NTTドコモ、三井住友信託銀行 | ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行。2026年8月に商号変更) |
KDDIと三菱UFJフィナンシャル・グループは2025年、共同運営してきた銀行と証券を「銀行はKDDIへ、証券は三菱UFJへ」と互いに寄せる形で資本関係を整理しました。ソフトバンクはPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)を傘下に持ち、みずほ銀行と提携した無担保ローン「J.Score」は2023年1月に新規申し込みを終了しています。そしてNTTドコモは、三菱UFJ銀行との提携では専用住宅ローンに至らなかったものの、住信SBIネット銀行の買収という形で「通信キャリアが銀行を持つ」流れに合流したのが現在地です。
提携の発表当時に期待された「ドコモ住宅ローン」は、5年の時を経て「ドコモSMTBネット銀行」の住宅ローンという形で選択肢になりました。とはいえ、ご家庭にとって大切な比較の軸は変わりません。金利・諸費用・団信の保障内容を軸に複数行を比較し、教育費や将来のライフイベントを見据えて無理のない返済計画が組める一本を選ぶことが何より大切です。ポイントやキャンペーンは、その比較で並んだときの「最後のひと押し」として活用しましょう。
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